URAKARA8話(1)
URAKARA episode 8 (1)
ギュリの親心(1)
「KARA」のギュリはメンバーのリーダーであるとともに親代わりでもある。
今日もニコルの出演するラジオの放送に耳を傾けながら、そのことを日記にしたためるギュリである。
ニコルは話している。
「ワーイ、みんな起きてるか。ニコルだよ。よろしく、お願いしまーす」
「えーっ、まずこんな質問が届いてるよ。ニコルちゃんがオフの日にしてみたいことは何ですか?」
「ええ・・・う~ん、私は、KARAのみんなとお寿司が食べたいです。たーべたい、たーべたい!」
「お寿司って、ニコルちゃん、何がすきなの・・・?」
「えっと・・・ウニ、イクラ・・・チュットラーッ!」
他のメンバーは寝静まっている。
ニコルの陽気なハイテンションに一人頷きながら笑みをもらすギュリなのだった。
翌朝。玄関先には誰の姿もない。
いきなりクローゼットの扉が開き、神出鬼没の社長2号がギュリの前に出てくる。
ギュリは驚く。
「何で帽子?!」
社長2号のかぶっているのはギュリの帽子か? 彼はギュリのそばにやってきながら言った。
「ギュリ、あなたにミッションを与えます」
「ミッション?」
「しかし、惚れさせ屋ではありません。今回のミッションは・・・」
例によって左手の指を一本立てた。ギュリを向き直った。
「大掃除です!」
「大掃除?」
社長2号は部屋に進んだ。
「何ですか、この部屋は!」
言われてギュリは部屋を見回した。
「忙しいとはいえ、これは女の子の部屋ではないでしょうが!」
「すみません・・・」
ギュリは社長2号の前でうなだれた。
「さあ、みなさんで片づけなさい」
ギュリはメンバーを叩き起こした。
「さあ、みんな掃除だよ、掃除をやろう!」
しかし、ジヨン、ハラ、ニコルの三人はまだ眠たそうにしている。
「ほら、ちゃんと起きてったら!」
「せっかく、オフだというのに・・・!」とハラ。「お買い物行きたいのに」
ジヨンが同調した。
「私も行きたい。原宿がいい」
「原宿!?」
眠そうにしていたニコルも目を開けた。
三人は声を揃えた。駆けっこの真似してギュリに訴えた。
「原宿! はらじゅく!ハラジュク!」
そこにスンヨンの声が割って入ってきた。
「はーい、はいはいはいはい!」
彼女は手に何か持っている。三人にひとつずつ握らせだす。
はたき、コロコロ、バケツに雑巾だ。
よけいなものを握らされて、三人はあっけに取られた。スンヨンの背中を怪訝そうに見た。スンヨンが振り向くと、さっと目を逸らした。何よ、二人揃って、という顔をする。
ギュリは説得を始めた。
「ちゃんと掃除したら、あとでご馳走が待っているからさ」
「ごちそうが?」
「うん。みんなでお寿司を食べに行こうよ!」
「えっ! すしぃ――ッ?」
「ヤッターッ!」
三人は歓喜の声とともに飛び上がった。お祭り騒ぎをやりだした。
スンヨンがギュリに言った。
「そんな約束なんかしていいの?」
「うん、大丈夫よ。オフなんだし」
嬉しさで騒いでいる三人を鼓舞した。
「さあ、部屋を片づけるわよ」
部屋の片づけが始まる。
張り切って始めたものの散らかり放題の部屋を片づけるのは大変だ。
スンヨンが訊ねる。
「これ、誰の?」
ジヨンとハラは答える。
「それはニコルのよ」
ギュリ。
「じゃあ、これは?」
「ニコルだけど」
スンヨンはかたまりをかざした。
「これは?」
「ニコル」
スンヨンは呆れてそれらを前に投げ出した。
「全部、ニコルじゃない!」
ギュリは叫んだ。
「ニコル、自分のを片づけてよ」
顔を出したニコルは衣類のかたまりを二階から投げた。
「これもよろしく」
「もうっ、ニコルったら!」
トラブルを起こしながらも掃除は続いた。
「ワン、ワンワンワンワン」
ギュリの前に犬のぬいぐるみが立ちはだかった。
「ねえねえ、イヌ飼っちゃダメ?」
ジヨンが顔を出した。
「ダメ」
「ニャーン、ニャン、ニャン」
次はハラが飛び出した。
「ネコは?」
「ダメ! 世話なんかできないでしょ?」
ニコルが出てきて言った。
「出来るよ」
ギュリは嘆息した。
「無理よ。自分のことだって出来てないのに」
三人はそろってつまんなさそうな声を出した。
そこへスンヨンがコロコロ棒を突き出した。
「何よ。勝手なことばかり言わないの」
ギュリの肩ばかり持つスンヨンに三人は逆切れしてネコのように絡みだした。
ギュリは呆れてため息をついた。
しかし、どうやらこうやらで掃除も一段落ついた。
ギュリはお寿司の件を思い出し、携帯を取り出した。グルメ紀行の雑誌を手に予約電話を入れたのだったが・・・。
「お寿司って、これ?」
パック入りの寿司を見て四人は落胆した。
「お店に出かけるんじゃなかったの?」
「そう思っていたんだけど、予約が取れなかったの」
「なんだ・・・」
「仕方ないわね」
やむない空気がみなぎった時、一人が異を唱えた。
「ヤダ!」
「ニコル・・・!」
スンヨンが言った。
「私、お店のじゃなきゃいやよ」
「いいじゃない」
ハラが箸を分けながら言った。
「私はいや」
ニコルはムキになった。ギュリをにらみつけて言った。
「ウソつき!」
自分は後ろのソファへ引き下がり、腕を組んだ。こんな寿司なんか絶対食べないという姿勢だ。
そんなニコルを悲しそうに見て、ギュリは席を離れてしまった。
ハラはニコルを責めた。
「今のは言いすぎだよ」
そこへインターホンが鳴り、お届け物が届いた。ファンから届いたぬいぐるみや花などだった。その中にゴソゴソと動く物があった。
「今、動いたよね」
「イヌ? ネコ?」
ハラやジヨンはすてきな贈り物の期待で興奮した。
ニコルを呼び、三人で動かそうとしたらすごく重いものだ。たちまち息があがってしまった。
「いったい、誰宛になってるの?」
「ニコルになってるよ」
ジヨンが答えた。
「誰からだろう?」
三人が首をかしげていたら、ダンボール箱が内側から押し広げられるように破れた。
ハラたちは恐怖の悲鳴をあげたが、そこから出てきたのは調理キャップをかぶった年配の男であった。
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