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韓国ドラマ「プレーヤー」(連載59

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韓国ドラマ「プレーヤー」(連載59)

☆主なキャスト&登場人物


○ソン・スンホン➡(カン・ハリ(チェ・スヒョク))
○クリスタル➡(チャ・アリョン)
○イ・シオン➡(イム・ビョンミン)
○テ・ウォンソク➡(ト・ジヌン)
○キム・ウォネ➡(チャン・インギュ)
○アン・セホ➡(メン・ジフン 係長)



 プレーヤー」第4話→(感情的に動くな)⑮


★★★


 翌日のラジオ、テレビ、新聞はトップニュースでナ社長の不正事業を取り上げた。


― 最終公判で嫌疑なしになった華陽物産のナ社長が検察に拘束、起訴されました。粘り強い捜査の末、逮捕されたナ社長は、国策事業担当の自治体職員から、競合会社の情報を集めていたとされ、社会に大きな衝撃を与えています。
 さらに巨額の違法賭博場運営の容疑が…
 
 庁内がでんぐり返るような忙しさの中、チョン検事はハリに電話で伝えた。
「あとは俺が片付ける。心配しなくていい…ああ、大丈夫だ」
 メン係長は言った。
「期待以上ですね。予想より、ずっと早い」
「そうだな。俺たちも頑張ろう」
「オーッ!」
 チョン検事の3人チームも拳を合わせて意気も上がった。


★★★



 メン係長らとおにぎりをついばんでいるチャン検事に内線で電話が入った。
「はい。分かりました」
 チャン検事は受話器を置いた。
「次長からだ。行って来る」
 メン係長を促す。



「ご苦労だった」
 ユ・ギフン次長検事は猪口に茶を注ぎ、チャン検事の労をねぎらった。
「恐縮です」
 チャン検事は両手で猪口を手にした。
「世論を聞いたろ? ”やっと息ができる”と」
「はい」
 チャン検事は恐縮してユ次長検事の話に聞き入る。
「メディアは好意的だ」
「…」
「そこで次の定期人事の時、新しい捜査チームを作る。それをお前に担当してほしい」
 おとなしく話に聞き入っていたチャン検事は顔を上げた。
「私がですか?」
 ユ・次長検事は黙って分厚いファイルをチョン検事の前に投げ置いた。
 チョン検事はファイルを睨みながら手にした猪口を口元に運んだ。




 チャン検事はハリらの事務所(アジト)を訪れた。
「悪くないね」
 話を聞いてハリは頷いた。
「仕事が途切れる心配もない」
「趣旨も気に入った」
 ジヌンも同調する。
「自分たちの取り分が減るんじゃない?」
 アリョンは疑念を呈する。
「心配しなくていい。君たちは非公式だ」
 余禄は適当に稼いでくれということらしい。
 ビョンミンは手を叩いた。
「俺は賛成」
「私も」とアリョン。「いい仕事みたいだから」
「まるで”活貧党”みたいだな」
 ハリは笑った。
「お前がいたら…”バカ党”だな。逃げるのが早い」
 ビョンミンを指さす。


 ジヌンとアリョンはくつくつ笑う。
 チャン検事は立ち上がった。
「詳しい話はゆっくり外でしよう」
「えっ、飲み会?」
「ああ」
 ビョンミンは急いでチャン検事に歩み寄る。
「チャン検事。次は俺が推薦するやつを」
「誰だ?」
「チョン会長といって、以前…捕まえた…」
 チャン検事はそそくさ先を歩く。
 後ろからハリが言う。
「まだビビってるのか?」
「そうじゃない」
 ハリたちはワイワイ言いながら事務所を出ていく。


 テーブルの上に残されたデーターファイルは、”犯罪収益金 還収チーム”との表題が記されていた。


 
 メン係長が電話対応を行っている時、チャン検事は出勤する。
 スーツを脱いでいるチャン検事に向けてメン係長は言った。
「チャン検事、何も言わずにお金を送ったんですか?」
「何の話だ」
「また、知らない振りをして…何ていうんだ?」
 メン係長は検察事務官と目を合わす。
「ツンデレ」
「それだ」
 指を鳴らす。
「1人で恰好つけるなんてひどいですよ」
 席についたチャン検事は苦笑した。
「おれがどこに金を送ったってんだ」
「もう~、演技がお上手ですね」
 メン係長はチャン検事の肩を押す。
「やめてくれって」
「あれ? ほんとに送ってないんですか? チャン検事から手術代を受け取ったという電話が…他の方からも」

 メン係長は女性事務官を見た。
「そうです」
「俺が?」
「ええ」

 そこまで話が進んで、チャン検事はやっとその送り主に気づいた。
 にやつきながら唇を指で撫でる。
「あいつか、ふっふふふ…ほんとに面白い男だ。詐欺師にしておくのはじつに惜しい…!」




 1人になった時、ハリには別の顔があった。それは重く暗いものだった。
 ハリは額に収まった一枚の写真を手にした。
 写真に納まっているのはバリバリの検事だった父とうら若き頃のチャン検事だ。チャン検事は花束を抱え、父と笑みを浮かべ合っていた。
 17年前の話だ。
「撮りますよ」
 あの時、カメラを構え写真を撮ったの自分だった。2人を尊敬し、憧れて検事への夢を育んでいたのがあの頃の自分だった。
「おめでとう」父はチャン検事を祝福していた。「検事と呼ばないとな」
「いえ、まだ任官前ですから」 
 ”第31期司法研修性 終了式”の日で2人はそんなやり取りを交わしていた。
「おめでとうございます」
「ありがとう。おお、君がスヒョクか。君も検事になるのが夢なんだって? はっはははは、賢そうな子だ」 
 自分も検事への夢で胸がいっぱいの頃だった。チャン検事は肩を叩いて言ってくれた。
「卒業したら一緒に仕事をしよう」
 その夢は失望に変わって砕け散った。
 写真には”過程は正当に 結果は公正に”の添え書きが入っている。
 この建前がドロドロに汚れきっているのが今の検察界だ。
 顔を上げたハリの表情は暗い。
「過程はわからないが、後者は同意します。見ていてください。これからが始まりです」
 ハリは父に誓って額縁写真を戻した。

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