雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「プレーヤー」(連載79)




韓国ドラマ「プレーヤー」(連載79)
     

☆主なキャスト&登場人物


○ソン・スンホン➡(カン・ハリ(チェ・スヒョク))
○クリスタル➡(チャ・アリョン)
○イ・シオン➡(イム・ビョンミン)
○テ・ウォンソク➡(ト・ジヌン)
○キム・ウォネ➡(チャン・インギュ)
○アン・セホ➡(メン・ジフン 係長)
○ユ・イェビン➡(チュ・ヨニ)



 プレーヤー」第6話→(俺たちの妹)⑨


★★★


 ハリは勝手にずんずん部屋の奥へと進む。
「やあ、凄いですね。びっくりです。こんなに金持ちだったとは…」
 部屋を見回していう。
「意外と施設は儲かるんですね」
「今日はどんな用で…?」
「そうでしたね」とハリ。「大したことじゃないんですが」
 ソファに腰をおろす。
「アリョンはヨンソン出身ではなかったんですよ」
「そうですか」
「たくさんいるから勘違いしたんでしょうね。結局、違ったんです」
「…」
「せっかくですから、何か飲み物でもいただけますか?」
 ペク・ソンは困っている。
「温かい、お茶でも?」
「ありがとうございます。よろしく。どうせなら高級なのを…いや、身体にいいお茶を」
 ペク・ソンは憮然としてお茶を淹れにいく。
「やあ、ほんとにすごい家ですね。豪邸だ」
 ペク・ソンは給湯コーナーでお茶を淹れる振りをして携帯を取り出した。配下に連絡を取り始める。
 そんな彼にハリは鋭い視線を送った。


★★★


 ジヌンとビョンミンは奮闘を続けたが、手に武器を持った相手たちに打ちのめされ出す。
 そんな中、ヤンテはペク・ソンからのメールを受け取った。


― 別荘に来い。ネズミが現れた。


 メールを見るなり、ヤンテはジヌンらを叩きのめしている配下たちに声をかける。
「おい、そいつらはもういい。あっちにアリョンの客が来たらしい。まったく、面倒な女だ。行くぞ」
「おい、コラ!」
 引き上げて行こうとする連中にジヌンが叫んだ。
 ヤンテらは足を止める。怪訝そうに振り返る。
 ジヌンは不敵な顔で立ち上がった。
「今、何と言った!」
 ヤンテは吹き出す。呆れた口調で言った。
「大人しくしてろ」
 ビョンミンも立ち上がった。
「アリョンが何だって?」
 そう叫ぶなり連中に突進していく。ジヌンも続いた。
 再び乱闘になった。
「かかってこい。こいつら! 何人でも相手してやる!」




 包丁を手にしたペク・ソンにハリは歩み寄った。
「院長、何してるんです?」
「いや」
「もう、ペク・ソンと呼ぶべきかな」
 ペク・ソンは背を向けたままメガネを外した。テーブルに置いた。
 そばのナイフを握るなり、ハリに襲いかかった。
 身をかわし、ハリはペク・ソンの腕を取った。
「正直な出方だな」
 シャツの腕がまくれ、火傷の跡が露出する。
 ペク・ソンはハリを押しのけた。包丁を振り回した。ハリは後ろに逃れ、上着を脱いだ。上着を振り回し、ペク・ソンの攻撃を防ぐ。
 ついに腕を取ったハリはペク・ソンを寝技に持ち込む。逆手で腕を捩じる。逃れようとするペク・ソンに脚を巻き付けて身体を捩じる。
 2人の身体は上に下に入れ替わり、ハリがペク・ソンの身体を押さえつけた。上からパンチを浴びせた。2発、3発と浴びせた。
 ペク・ソンは抵抗力を失った。
 ペク・ソンの身体に乗っかってハリは言った。
「もう一度だけ聞く」
「…」
「アリョンはどこだ?」
 ペク・ソンは観念して目をつぶった。
「どこにいる! 答えろ!」




 ハリはアリョンたちの監禁された部屋のドアを開けた。
「アリョン…」
 ペク・ソンらに痛めつけられたアリョンを見て、次の言葉はすぐには出てこなかった。
 2人はしばし、黙って見つめ合った。
「何でここに?」
「決まってるだろ」
 ハリは答えた。
「妹を捜しに来たんだ」
 アリョンの縄をほどきながらハリは言った。
「君がヨンジか」
「誰ですか?」
「俺か? 俺は…こいつの兄だ」
 アリョンに目をやってハリは答えた。アリョンはハリを見上げた。
 ハリはアリョンに続いてヨンジの縄をほどいた。


 連中に痛めつけられたアリョンを2人で支えて部屋を出て来ると、ライフル銃を構えてペク・ソンが立っている。
 ハリは恐れもせずに言う。
「まったく、面倒なおじさんだな」
「…」
「撃てないならそうして構えるんじゃない」
 いきなり銃口が火を噴いた。
「あっ!」 
 ハリは叫ぶ。
 弾丸はソファを撃ちぬいた。威嚇の一発だったのだ。
「撃てるのか?」
 ハリは両手を上げた。
「おい、お前たちも手をあげろ」
「…こいつらを助けるために1人で来たのか」
「仕方がなかったよ」
「…」
「とにかく―義理を欠いたやつらなんだ」
「この世界で義理は通じない。お前たちが死んでも誰も気にしないだろう」
「まあな…俺が死んでも誰も気にしない。でも、こいつは違う」
 ハリはアリョンを見た。ちらと目くばせした。
「何だと?」
 ハリは次にペク・ソンを見た。
「アリョンのことをどう思う?」
 
♦ ハリの質問に、ジヌンは答えた。
「俺たちの妹だよ」
♦ ビョンミンも応じた。
「そうだ、妹だよ。生意気だけど…」
 
 ハリの質問にペク・ソンが答えをためらっていると、部屋を仕切るガラスがいきなり割れた。粉々に割れ、一味の身体が飛び込んできた。
「妹に手を出したのは誰だ!」
 ガラスの割れた空間からジヌンが入ってくる。
 ペク・ソンが慌ててライフル銃を向ける。その先端を左手で握り、ジヌンは銃口を天に向けた。
「お前か!」
 余った右手で顔面にパンチを見舞う。
 ペク・ソンは床に崩れ落ちた。
 ビョンミンがアリョンのそばに駆け寄った。
「アリョン、大丈夫か? 誰がやったんだ、お前か?」
 ペク・ソンを見る。 
 ジヌンも駆け寄った。
「ケガしてるじゃないか」
「人相が悪いのにさらに悪くなった」とビョンミン。「このケガどうするんだ」


 アリョンのそばでみんながワイワイやってるどさくさ紛れにペク・ソンは外へ逃げ出した。
「外へ逃げたぞ。追いかけろ」
 ペク・ソンを追いかけて出たジヌンは中へ戻ってくる。血相を変えていう。
「すごい人数だぞ」
「何だと」とハリ。
 5人は再び緊張する。
「逃げられない。どうするんだ」
「決まってるさ」とハリ。「行くしかない」
「計画は?」とジヌン。
「あるさ」
「…」
「全員で突っ込む」
 ハリはアリョンたちを見た。
「ゆっくり来いよ」
 そう言って車のキーをアリョンに投げる。
 ハリはジヌンとビョンミンを見た。
「全員で行こう」
「わかったよ」
 2人は決死の覚悟で頷きハリに続いた。




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