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韓国ドラマ「プレーヤー」(連載68)

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韓国ドラマ「プレーヤー」(連載68)

☆主なキャスト&登場人物


○ソン・スンホン➡(カン・ハリ(チェ・スヒョク))
○クリスタル➡(チャ・アリョン)
○イ・シオン➡(イム・ビョンミン)
○テ・ウォンソク➡(ト・ジヌン)
○キム・ウォネ➡(チャン・インギュ)
○アン・セホ➡(メン・ジフン 係長)
○ユ・イェビン➡(チュ・ヨニ)


 プレーヤー」第5話→(仲間とは何か)⑨


★★★


 ハリを追ってアリョンはやって来る。
「何かあったのか?」
「…」
 アリョンはちらとビョンミンたちの方を見た。
「言いたくないか」
「言ったら変わるの?」
「ん?」
「…」
「そうか」 
「戻ったら?」
 ハリは背を向けたアリョンを呼び止める。
 アリョンの前に立った。腕を組んだ。
「理由は分からないが…」
「そんなにお金が大事?」とアリョン。
「…どういう意味だ?」
 アリョンはためらった。話せば自分の過去をハリにさらけ出すことになる。
「少し頭を冷やしてくるわ」
 アリョンは背を返した。ハリは黙って彼女を見送った。


★★★


 外に出たアリョンはオートバイを走らせた。
 走らせながらヤンテらと繰り返したひったくりなどの悪事を思い起こした。ヤンテの仲間に引きずり込まれたらヨンジも適当に使いまわされるだけだ。そして用済みになったら捨てられる。
 自分もそうだった。ドジを踏んで捕まりそうになったら、奴らは助けてくれもせず金だけ奪って逃げ去った。
 アリョンは遠くまで走ってきてひと息入れた。

 その時、携帯が鳴った。一つ目でなく、二つ目の携帯だった。
 ヨンジからだ。
 用向きを聞く前にヨンジの声が流れ出た。
「お願い、助けて。私を助けて」
「ヨンジよね。どうしたの」
「すごく怖いの。助けて」
「どうしたの? 説明して、何があったの」
「昨日の人に追いかけられて」
「昨日って、どういうこと。ちゃんと話して」
 ヨンジの悲鳴がした。二度三度と聞こえた。
「ヨンジ、どうしたの? そこに誰かいるの?」

「もう、わかったろう。後はお前次第だ」
 アリョンは唇を噛む。
「その子に手を出さないで。私とは関係ない子よ…」
 電話はすぐさま切れた。
「待って。話を聞いて」
 しかし、応答はない。ヨンジが切羽詰まった状況にあるのを察してアリョンは苛立った。
 居ても経ってもいられずヘルメットを被った。オートバイを走らせた。
 こうなったら連中のところに飛び込むしかなかった。


 
 廃車を扱う仕事場でヤンテはアリョンが現れるのを待っていた。
「来たか。久しぶりにここへ帰ってきた気分はどうだ?」
 アリョンは案内してきた男より前に進み、ヤンテの前に立った。
「ヨンジはどこ?」
「そう急ぐなよ」
「話して。どこなの?」
「…心配するな。安全なところにいるから」
「用件は何?」
「それだ。仕事がある。お前がやれ」
 ヤンテは傍らのボックスの中に手を入れた。
「重要な仕事だからナム社長がお前に頼みたいと言ってる」
「…」
「狙ってるヤツが多いんだ」
 ボックス中から何かキーを取り出した。アリョンに投げてよこした。
「そこにはこいつが案内するから、何人か連れて行け。言っておくがバカなマネはするなよ」
 アリョンはしかめっ面で背を返す。
 すぐにヤンテの声が飛んできた。
「アリョン、ちょっと待て」
 振り返るとヤンテは言った。
「携帯は置いていかないと」
 アリョンはヤンテの前に黙って戻り、低いテーブルの上に携帯を投げ置いた。しかめっ面のまま背を返した。
 その背に向けてヤンテは手を振った。




 アリョンの戻りが遅いのを気にし、ハリは何度か電話を入れた。しかし、ずっと通じない。今もアリョンは出なかった。
「やっぱり出ないか?」とジヌン。
「ああ、出ない」
「するな。来なくていいから」とビョンミン。
「そんな言い方ないだろ」とジヌン。「ひどいヤツだな」
「何がひどいんだ」
「相手にされなくてすねてるのか?」
 ビョンミンは笑った。
「そんな理由ですねるわけないだろ。分かってくれよ」
 ジヌンは笑いを返す。
 2人の話を聞かず、考え込んでいるように見えたハリは決然と2人を見た。
「俺たちだけで先に始めよう」
「運転は?」
 ハリは答えた。
「俺がやるから」
 ジヌンたちは目を合わせた。
「行くか」




 ソジン銀行から1人の男が出てくる。アタッシュケースを持って通りを歩き出した男の携帯が鳴った。
「今、回収しました」
 電話をすますと通りに止めてあった車の運転席に乗り込む。
 男が乗り込んだとたん、助手席からハリも乗り込んだ。
 ハリは男を見つめ返す。
「元気だったか?」
「…」
「元気そうじゃないか。ん?」
「お前は誰だ?」
 男はムスっとした顔で訊ねる。
 前方を見てハリは答える。
「俺の金を取りに来た」
 男の名はチェ・ユンギュ。パク社長の財産管理人だった。
 チェ・ユンギュはハリを見て笑い出す。
 ユンギュに合わせてハリも笑い出した。


「あっはははははは」
 ユンギュは危機を感じてドアを開けた。外に飛び出して来るのをジヌンが待っていて捕まえる。

 ユンギュはジヌンの手でハリたちの車に強引に連れ込まれた。先にジヌンらを行かせて、ハリはチェ・ユンギュの車に乗り込んでハンドルを握った。
 


 アリョンを用向きで行かせた後、ヤンテはナム社長に電話を入れた。
「準備を終えました」
「重要な取引だ。ぬかるなよ」
 ヤンテの電話を受けたナム社長はヤンテらもよく知らないボスの前に立った。
「進めましょう」
「腕は確かか?」
 ナム社長は答えた。
「私が知る限り、最高のドライバーです」
 左腕にケロイドを持つその男は静かに頷いた。

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