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イェチョンはソルタクたちの急襲を受け、壊滅状態に陥っていた。イェチョンも刀を抜いて応戦したが、ソルタクの手にかかって死んでしまう。味方はほとんど討たれ、朱蒙やイエソヤたちはすでに逃げ場を失っていた。
朱蒙は敵方の槍を奪い、痛んだ身体でひとり奮戦する。配下をことごとくやられ手ごわしと見てソルタクも自ら朱蒙に戦いを挑むが力及ばない。そこでイエソヤを人質に取って朱蒙に降伏を促す手段に出た。朱蒙はやむなく武器を捨てた。
以上の経過をたどって朱蒙は牢獄に閉じ込められているわけだった。
その頃、マウリョン神女は帯素方の立場から不吉な予感を覚えていた。
「今、何とおっしゃいましたか。死んだはずの朱蒙が生きているというのですか?」
「その可能性があります」
「でしたら、早く王妃さまにこれを報告しましょう」
「確認もできてないのに、下手に口にはできない。かえって私が追い込まれてしまうかもしれない。このことは伏せておいてください」
金蛙王が息を吹き返して、王妃たちは頭を抱えていた。
「これもみんなヨミウルのせいだ。ヨミウルを始末しておくべきだった」
「母上、それはどういう意味ですか」
ヨンポが訊ねた。
「父上の死を望んでいたのですか。そういう話は聞きたくありません」
「お前は昔のように戻ってほしいのか。朱蒙の影に怯え、陛下の侮辱を受けていた時に戻った方がいいというのか」
「私だって戻りたくはありません。しかし、朱蒙も死んで夫余の太子は兄上に決まっているのに何を心配することがあるのですか」
王妃はためいきをついた。
「お前は陛下の性格がわからないのか」
帯素が言った。
「父上は死ぬまで権力を捨てるお方ではない。朱蒙が死んだとしても私と四出道を牽制するため、またほかの朱蒙をつくれる人なんだ」
大使者が帯素のもとへやってきた。
「これからどうするつもりですか」
「ここで引き下がれば終わりだ。私を助けてくれ」
「・・・陛下は身体が回復したとはいえ、国事を行うことはまだ無理です。陛下に会って代理統治を求めてください」
「・・・」
「今の状況ではこれが最善の方法です。万一に備え、四出道の馬加に書簡を送りましょう」
金蛙王のそばには柳花夫人がいた。金蛙王は朱蒙の話をした。
「わしだって胸が裂ける思いがする。そなたはどれだけ辛いことか」
「私は朱蒙が生きていると信じています」
「・・・」
「必ず戻ってきます」
「帯素王子が陛下にかわって統治を行った間、宮中では血なまぐさい事ばかりが続きました。王妃と四出道を牽制していた陛下の忠臣らを監禁し、帯素王子は漢との戦を避けるという名分で、ヒョント郡の太守ヤンジョンの娘と婚姻しました。諸臣下はみな、帯素王子の横暴にただ息を殺してご機嫌を伺っていました」
柳花夫人の話を聞いている金蛙王の表情は次第に怒張に満ちてきた。
「陛下。夫余の将来はとても暗いです。早く気力を回復させてください」
帯素も金蛙王の出方を気にかけていた。ナロに言いつけた。
「陛下の部屋に誰が出入りするか詳しく把握しろ」
「はい」
「それと柳花夫人の動きも徹底的に監視しろ」
金蛙王は忠臣のソンジュを呼んだ。
「ソンジュよ。これからお前にやってもらいたいことがある」
「何でもお申し付けください」
「フクチ将軍をわしのところへ連れてこい」
ソンジュは急いで出かけて行った。
ソンジュが部屋を出て行った後、金蛙王は激しく咳き込んだ。身体はまだ十分に回復しきれていないのだ。
ソンジュはフクチ将軍を連れて金蛙王の元へ戻ってきた。
ナロはそれを監視していた。
金蛙王は大将軍に言った。
「大将軍、わしはそなたの忠誠心を一度も疑ったことはない」
「陛下、私は死ぬ日まで陛下と夫余のため忠誠をつくします」
「わしが国事を行えなかった間、帯素と王妃が権力を掌握したと聞いたが」
「そうであります」
「大将軍が生きていて本当によかった。わしはすべてを元に戻す」
「ということは?」
「大将軍が密かに動かせる兵士はどれくらいだ」
「多くの兵士を動かしては帯素王子様が気付いてしまうでしょう。私に兵官部の武官に知られずに動員できる兵士は千人あまりです」
「それくらいいれば十分だ。大将軍は夫余宮の近くに兵士を待機させ、わしが命令するやいなや宮内に入れ」
「はい、承知しました」
ナロは帯素に金蛙王側の動向を報告した。
「フクチ大将軍が陛下の部屋へ入りました」
大使者は顔色を変えた。
「兵士を動かすつもりに違いありません」
帯素も表情を強張らせた。
「私を殺すつもりだろう」
「まず大将軍を始末しましょうか」
ナロが伺いを立てた。
「大将軍を殺すつもりなら最初から殺しただろう。だが、大将軍に従う将軍が多いので、大将軍を殺したら兵士らを掌握できなくなる・・・」
「四出道からはまだ連絡は入らないのか」
大使者が訊ねた。
「まだです」
帯素はナロに言いつけた。
「護衛総官部と宮守備隊に警戒を緩めないよう伝えろ」
「承知しました」
四出道では帯素からの書簡を手に会議を行っていた。諸加を束ねる王妃の叔父は言った。
「もう選択肢はない。クムワの独断の下で屈辱に耐えながら生きていける諸加は抜けたらいい」
一人がそれに呼応した。
「私の息子はこの前の戦で戦死しました。仕返しします」
他の者も続いた。
「私たちが変えなければ、夫余が滅びます」
王妃の叔父は決断し配下を呼んだ。
「兵士を準備しろ。夫余宮に出征する」
大将軍はマリたち三人を呼んだ。
「信頼できる護衛武官を密かに集めろ」
マリたちは顔を見合わせた。二つ返事で大将軍の命に従った。
マリたちを監視していたナロの配下がマリのもとへ駆けてきた。
「何事だ」
「ソンジュとオイ、マリ、ヒョッポの動きが疑わしくなりました」
夫余宮は金蛙王と帯素の主導権争いで配下たちの動きが慌しくなった。
大将軍は集めた兵士らの前で、金蛙王の勅令を掲げた。
「陛下の極秘命令だ」
兵士らはいっせいに呼応した。
この様子を物陰から探っている武官がいる。大将軍を監視し続けるナロの配下だ。
一方、旗揚げされた諸加の軍勢は夫余に迫っていた。
帯素のもとへナロがやってきた。
「どうだ?」
「フクチ将軍が宮外で将軍たちと打ち合わせしています。ソンジュも護衛武官らと密かに通じています」
「・・・」
「王子様。こちらが先手を打つべきです」
「待て。早まってはいけない・・・」
大使者も苛立って言った。
「四出道の兵士が早く宮に到着すればいいのだが・・・!」
夫余のただならぬ空気をソルランも身で感じていた。ハウチョンを呼んで訊ねた。
「帯素王子様はまだ執務中なの?」
「はい。まだ執務室から出ていません」
「私が顔を出してみましょう」
帯素はソルランを部屋に通した。
「こんな遅くまでお休みにもならず、何をなさっておられるのです。何か心配事でも・・・?」
「そうではない。国事が多くて遅くなったのだ・・・」
そう取り繕ったもののソルランを見ているうち、帯素の気持ちは変化した。
「夫人」
「はい、王子様」
「もし私が夫余王になれなかったらどうするつもりだ?」
「何をおっしゃっているのです」
ソルランは笑みを浮かべた。
「王子様はすでに夫余王になったも同然。王子様が王になるのに障害になるなら、相手が誰でも私が始末します。難題に直面したらいつでも私におっしゃってください。私から父に頼みます」
帯素は頼もしそうな表情をソルランに向けた。
ソンジュはマリらに決行の日を告げた。
「今夜だ。陛下の命令が下ると同時に私が護衛武官を率いて、帯素王子とヨンポ王子を拘禁する。お前たちは宮を出てフクチ将軍の兵士たちを引き入れろ」
「はい」
「夫余の運命が我々の手にかかっている。素早く動き、宮を掌握せねばならない」
フクチ将軍は兵を率いて行動を開始した。
しかし一歩先んじて宮へ到着したのは諸加の兵たちだった。
頃はよしと護衛武官を率いて行動を起こしたソンジュたちだが、諸加の到着を知った帯素らに機先を制され取り囲まれた。
「こんな時間にどこへ行く」
ソンジュはうろたえながら答えた。
「見回りに行くところです」
「それだけの護衛武官を率いてどこを見回ろうというのだ」
説明も行き場も失ったソンジュらは無謀な戦いを挑むほかなかった。ソンジュ率いる護衛武官らはことごとく斬り倒され、ソンジュも帯素によって負傷し、捕らえられた。
その頃になって宮に到着した金蛙王の命を受けたフクチ軍だったが、宮は掌握された後だった。宮内の塞からいっせいに弓を構えられ、フクチ軍は一戦を交えることもなく降伏した。
密かに進めた作戦だったが、状況の思わぬ異変にマリらはただうろたえるだけだった。
諸加の将軍は高笑いを響かせた。
「大将軍! 一歩遅かったようだな」
金蛙王は宮を掌握した諸加の将軍らに取り囲まれた。捕まったソンジュは目の前に引っ張り出されている。
「陛下。もう終わりました。宮の外では城門に入れなかった大将軍が血の涙を流しています」
金蛙王は無念そうにした。
諸加に後押しされた帯素は金蛙王の前に跪いた。
「父上。私を本当に殺すつもりですか。私と母上を殺してまで、父上が得ようとしているのはいったい何ですか。私がどうして父上に剣を向けなければなりませんか」
「・・・」
「何とか仰ってみていただけませんか」
「・・・わしの病気を利用して権力を握ろうとしたのはお前だ。狡猾なやつだ。万全の準備をしてわしを口実にするとはな。何が望みなのだ。わしの命がほしいか」
帯素は薄ら笑いを浮かべた。
「どうして私がそんなことをするのです。父上はまだ国事を行うほど気力が回復していません。気力が回復なさるまで、私に代理統治をさせてください」
柳花夫人が口を荒げた。
「代理統治だなんて・・・陛下がご無事なのに代理統治を云々するのはどういうことですか!」
「黙れ!」
王妃の叔父が叫んだ。金蛙王に向かって言った。
「陛下。陛下は四出道との関係をあまりにも悪化させました。帯素王子の代理統治をさせなければ、陛下と四出道の関係は永遠に回復できません。夫余の将来を考えてください」
「陛下。許してはいけません」
柳花夫人もすかさず訴えようとするが、王妃の叔父は命令した。
「夫人を外へ引っ張り出せ!」
柳花夫人を引っ張っていこうとする兵に金蛙王は叫んだ。
「その手を離せ!」
兵は柳花夫人の手を離した。
金蛙王の言葉にひるんでみなの動きが止まった。言葉も止まった。
しばしの沈黙の後、帯素が言った。
「夫人を連れて行け」
柳花夫人は外へ連れ出されて行った。
「ふっふふふふ。ふっふふふふふ」
金蛙王は不気味な声で笑い出した。
「お前の思うようにやってみろ。ふあっはははは。あっははははは・・・」
捕らえられている朱蒙をソンタクの部下が連れにやってきた。連れて来られた館の前ではイエソナも縄をかけられて待っていた。二人は見つめあった。
ソンタクはひざまづかされた朱蒙に向けて言った。
「お前が夫余国の王子、朱蒙か」
「・・・」
ソンタクは笑い声を響かせた。
「思いがけなく幸運が訪れた。お前の正体を知らなかったら、首を斬って殺していただろう。夫余の王子である以上、簡単には殺せない。こいつをヒョント城に連れて行け!」
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