雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「がんばれ!クムスン」(148)





 韓国ドラマ「がんばれ!クムスン」(148)


 ジェヒは決意を秘めノ家の門を再びくぐった。
 ピルトとジョンシムは憂うつな顔でジェヒを迎えた。
 ピルトが切り出した。
「それで今日の用件は?」
「前回は緊張してお話できなかったのですが、先日の母のご無礼に対し、お詫び申し上げます。申し訳ありません」
 ピルト始め、ジョンシム、ソンラン、テワンともおとなしくジェヒの言葉に聞き入っている。
「予想外の出来事で――私も、あとで事実を知り、すぐ謝罪するべきでしたが、余計に気分を害されると思いました」
「もう過ぎたことだ・・・それじゃ本題を聞こう」
「はい。まず――許可いただければお二人を義父母として仕えます」
「それは・・・そうはいかないわ。私たちはあなたの義父母ではないわ」
「本題に入ろうよ」とテワン。「前置きが長すぎる」
 ジェヒはテワンを見、ピルトたちに視線を戻した。
「お二人が何を心配されてるかと一晩中考えました――おそらく私がフィソンのよき父になれるかのご心配だと思いました。それは当然のことです」
「・・・」
「フィソンに兄弟ができた時の――フィソンの立場をお考えだと・・・そこで預けていただけるなら――フィソンの小学校入学まで5年間、子供を作りません」
 ジェヒの発言にクムスンは驚く。ソンランも驚いている。
「そして5年間フィソンにつくし、フィソンだけを愛し、真の親子になります。5年なら、真の親子になるのに十分な時間だと思います」
「・・・」
「本当です。まだ私のことを――信用できないかも知れませんが・・・」
「いいえ。話は分かりました。そこまで深く考えているとは――それほど、クムスンのことを思ってるのでしょう。ですが――前に話したとおりフィソンはダメです。フィソンの姓はノです。ノ・フィソンです」
「お義父さま・・・」
「お前はフィソンを連れていき――姓の違う父親のもとで育てるのか?」
「・・・」
「姓の違う兄弟や父親と暮らしながら――自分が誰なのか、父親は誰なのか――自己の確立を妨げるつもりなのか?」
「あの・・・」と口をはさみかけるソンラン。
「それは心配ありません」
 ジェヒがすぐ応じた。 
「気になって調べたところ――2008年の法改正に伴い――フィソンの姓はク氏に変更できます」
 ピルトとジョンシムは同時にジェヒを見た。鋭い目と表情になった。
「お二人にとっては辛い選択でしょうが、フィソンにとって最善の方法だと思います」
「――・・・」
「私が結婚を急ぐ理由もそのためです。私もフィソンの自己の確立を妨げないように――自分の子として育てていきたいのです。本当の父親だと思ってほしいのです」
「・・・」
「フィソンが成長し――じつの父親でないと知るまでに本当の家族になり・・・」
「その必要はない」ピルトはきっぱり言った。「誰がじつの父親になれと? ク氏に姓を変えるだと? お前の頼みか?」
 ピルトはクムスンを見た。
「姓を変えてじつの父親になれと頼んだのか?」
「違います」
 困惑するクムスンに代わってジェヒが答える。
「そんな話は・・・」
「もう結構だ。帰ってくれ。早く帰って。フィソンの姓をク氏にするなんて話にならん」
 ピルトはジェヒをにらみつけ、部屋に入ってしまった。
「お帰りください」ジョンシムは言った。「二度とこの件で来ないで。念を押しますが――フィソンは渡しません」
 ジョンシムもピルトに習って部屋に入った。
「まったく」
 テワンは舌打ちした。
「何をしてたんだ、いったい!」
 とジェヒをなじり、これまた席を立った.
 二人はむなしく外に出た。
 クムスンは呆然となって坂道を下りだした。二人は声もなくとぼとぼと歩いた。クムスンは足を止めた。
「それじゃここで」
「お前は?」
「家に帰らないと・・・義父母が怒ってるから」
「かえって話をこじらせたようだな。こんなつもりじゃなかったが・・・」
「分かってるわ」
「俺も叔母夫婦の戸籍だから気になって――それで調べたんだ」
「・・・」
「俺も母子家庭だし、じつの父親になってやりたくて・・・」
「わかってます。よく分かるわ。痛いほど分かるの。それから――ありがとう」
「・・・」
「私のため・・・フィソンのために――そこまで考えてくれて」
「でも結果が最悪だよ。本当に何をしてたんだか・・・」

「クムスンを早くだそう」ピルトは言った。「5千万ウォンあれば十分だ」
「・・・」
「裕福な母親もいるのに部屋を借りるのも変だ。だから、その金を持たせるんだ。クムスンにやった金だ。結婚資金も必要だろう」
「・・・」
 ジェヒを送ってクムスンが戻ってくる。
 テワンはお茶を飲み、クムスンを迎えた。
「お義父さまたちは?」
 テワンは部屋の方にあごをしゃくった。その時、インターホンが鳴った。
「俺が出ますよ。行って」
 クムスンは部屋をノックした。
「お義父さま、私です」
 クムスンは部屋に入り、二人の前に座った。
 ピルトは言った。
「また失望させるんだな。フィソンはダメだと言った。なのにまだ懲りずにあの男は――フィソンをよこせだと? フィソンの姓まで変えるだと?」
「・・・」
「呆れたよ――よくもジョンワンの子を・・・何だ? 戸籍制度が撤廃だと?」
「・・・」
「いつから企んでいたんだ? いつからあの男と組んで――フィソンに”パパ”と呼ばせ、戸籍のことまで」
「お義父さま・・・」
「この家を出なさい。出来るだけ早く出て行け。ここにいる理由がない」
「お義父さま・・・」
 そこにテワンが入ってきた。
「クムスンさん、おばあさんがいらしたよ」
「早く行きなさい。それから――もう一度言うができるだけ早く出なさい」
「・・・」
「おばあさんがお待ちよ。早く行きなさい」とジョンシム。
「お義母さん・・・」
「・・・」

 外ではジョムスンがクムスンの出てくるのを待っている。
「まったく、いつまで待たせるつもりなの?」
 クムスンが出てくる。
「おばあちゃん」
「まあ、クムスン」
「おばあちゃん・・・」
 クムスンは涙顔になる。
「どうしたの? どうした?」
 クムスンは泣きながらジョムスンに抱きつく。
「この子ったら――どうしたんだい? 何があったの?」
「お義父さまたちがフィソンを置いて行けと・・・」
「まあ・・・」
「絶対にフィソンは渡せないと・・・結婚するならフィソンを置いていけと・・・どうすればいいの――どうしよう」
「なんてことよ、どうして・・・困ったわね」
 ジョムスンはクムスンの背中をたたき、なだめ続ける。

 ジョムスンはクムスンを食堂に連れて入った。
「食べなさい。こういう時こそ食べないと」
「おばあちゃんも・・・」
「ねえ、クムスン」
「・・・」
「きっと――本気じゃないわよ。子供と離すなんてことは――身体の一部が削られるほど胸が痛むことだ。きっと違うわ。お前が手術すると言ってあんな大金を出してくれた人たちだ。そんな人たちが――子供を置いていけと無理強いするはずが・・・それは結婚せずに、一生、自分たちに尽くせということだ」
「そうよね?」
「もちろんよ。今は腹が立ってるだけのことよ。お前が離れようとしているから、寂しくて思いだしたのよ、ジョンワンを・・・それにジェヒが来たから――余計に腹が立ったのよ」
「そうよね・・・きっとそうよね」
「そうだよ。そう信じるんだ。だから焦らないで待つのよ」
「おばあちゃん――私・・・義父母を騙してまで先生と交際できなくて・・・結婚のことを話したけど、無理して急ぐつもりはないの」
「分かってるわ」
「この間、フィソンを連れて先生とファミリーレストランに行ったの。初めて行ったお店でフィソンが本当に喜んでくれた。正直、あの日は――早く結婚したいと思ったわ。でも――今でも、あの家を出ると思うと・・・胸が痛むの。本当に、あの家の家族が好きなのよ」
 頷き続けるジョムスン。
「おばあちゃん・・・私だけじゃないよね? お義父さまたちもまさか最後まで――置いてけと言わないよね?」
「そうよ、大丈夫。人はみんな心でつながっているのよ。こんなに義父母を尊敬し大事に思ってる。相手も同じ気持ちだよ。それにお前は今まで――旦那もいないのに同居をして――フィソンを育てようと一生懸命やってきた。それを知らないとでも?」
「そうね・・・」
 クムスンの顔に笑顔が戻ってくる。

 しかし、ああ言ってクムスンを励ましたものの、家に帰ってきたジョムスンは心配が膨らんでいた。
「ああ、困った。本当に困った。何ということよ・・・」
 そうして一歩部屋に上がると、妙な音楽が聞こえだした。
「何、これは・・・幽霊が病気にでもなったの?」
 ジョムスンはスンジャの部屋を開けた。
 スンジャは胎教で、編み物をしながらオペラを聴いていたのだった。


 シワンとソンランはせっせと住まい探しを続けた。そしてお気に入りの家を見つけた。
 ピルトとジョンシムはフィソンを買い物に連れていくため、久しぶりに張り切って支度にかかった。
「朝晩の風が冷たくなったな」
 ジョンシムはフィソンに服を着せる。
「今日はおじいちゃんが新しい服を買って――ご馳走もしてくれるのよ。嬉しい?」
「はい」
「えっ! 嬉しいの?」
「はい」
 ジョンシムもピルトもそれを喜ぶ。
「さあ、行こう」
 部屋を出るとシワンたちが帰ってきた。
「おっ! じゃあ、みんなで出かけるか?」
「そうね、それがいいわ」
「どこかに出かけるの?」とシワン。
「ああ、フィソンと出かけるんだ。一緒に行こう。服を買ってやってたまには外食でも」
 シワンはためらいがちに頷く。
 ピルトはテワンも呼んだ。
「降りてきなさい。ちょうどいいな。俺たちだけよりソンランがいた方がいい」
 ソンランは愛想笑いし、シワンを見る。


 ヨンオクはキジョンにクムスンのことで相談した。
「――だから部屋を借りてやろうと思うの。どう思う?」 
 キジョンは二つ返事だ。
「もちろん、賛成だ。クムスンさんのためなら無条件で賛成だ。院長の反対もあるし――焦らずにまずは独立するのが先決だ。いい機会だ」
「私が探していいの?」
「ああ、早く見つけなさい。お金の心配はせず、いいところを探して」
「はい」
 ウンジュがウンジンを呼んできた。
 ウンジンが言った。
「あさって保護者面接なの。来たければ来て」
「おい、ウンジン。何だその言い草は?」
 ヨンオクもウンジンを睨みつける。
「ウンジン。私の出発前くらい笑ってて。じきに発つの」
「どういうこと?」とヨンオク。
「お姉さん、イギリスに行くの?」
「うん。パパには伝えたけど、来週には発つわ。仕事も片付いたからあとは発つだけよ」
「ウンジュ」
 ヨンオクが身を乗り出すようにした時、携帯が鳴った。ヨンオクは携帯に出た。
 ジェヒからだった。
 ジェヒはタクシーの中だった。
「一度、お会いしたいのですが――ご相談があるのです。クムスンの件です。はい。早い方がいいです」


 ミジャもクムスンのことであれこれ考えていた。
 決断し、携帯を手にした。
 クムスンは買い物の途中だった。
「クムスン、私よ。誰だか分かる? そうよ。元気にしてる? 私は元気じゃないわ。他でもなくて、明日、時間はどう?」
「はい、大丈夫です。それでは明日」
 クムスンは買い物をすませ、幼稚園に寄った。
「えっ? 義父が連れて帰ったと?」
 クムスンは急いで帰宅した。
 しかし、家は明かりも消え、人の気配がなかった。部屋にも誰もいなかった。
 フィソンを連れ、散歩にでも出たのだろうと思い、クムスンはみんなの夕食をつくった。そして家族の帰りを待った。しかし誰も帰ってこない。
 心配になりだす。
「公園じゃないのかな?」
 クムスンは携帯を握った。
 その頃、クムスン抜きでみんなの食事が始まっていた。
「クムスンさんがいなくて残念ね」とソンラン。
「一緒にくればよかったな」とシワン。
「そうだよ、父さん。クムスンさん」
 ピルトはクムスンを無視するように切り出す。
「さあ、まずは乾杯しよう。話もあるし、さあ、乾杯」
 乾杯がすみ、ピルトは話し出す。
「実はな――シワンとソンランに頼みがある。2人でフィソンに気遣ってくれ」
 シワンはソンランと顔を見合わす。
「クムスンは早いうちに――出ていくことになったから、フィソンは母親と離れることになり――当分、大変だろう。フィソンが早く慣れるよう、特にソンラン、お前は育児経験もあるし、特に気を遣ってくれ」
 ソンラン、テワン、シワンらの表情が変わりだす。
「父さん」シワンが言った。「クムスンさんが出ると?」
「出すべきだろ。一緒にいる必要がないよ」
「お義父さま・・・」
「もういい。話はここまでだ。さあ食べよう。フィソン、たくさん食べろ。ああ、いい子だ」
 この時、ピルトの携帯が鳴った。携帯を取り出し、クムスンからだと知ると、ピルトはこれを無視した。

 クムスンは茶の間の円卓の前でみなの帰りを待ち続けた。
 携帯で時間を確かめる。
「もう9時過ぎなのに・・・」
 鍋を温めなおすためにクムスンは立ち上がる。鍋を持って沸かしにいく。
 この時、玄関が鳴った。
「お義父さまですか?」
 迎えに出ると家族全員揃って部屋に入ってきた。
「みんなご一緒ですね」
「クムスンさん・・・」とシワン。「みなで夕食を食べて来たんだ」
「・・・」





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