雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「上流社会（全16話）」から⑤

2020-06-16 18:52:53

韓国ドラマ「上流社会（全16話）」から⑤

★財閥世界が描かれ、そこに関わって生きる若い男女が登場し関りを持つなら、必ず交わされるのは以下のようなやりとりである。普通はこのような内容を親たちが関わってきてドロドロに塗りたくりかき回してしまうが、このドラマではそのような流れは発生しない。以下の二人は見合いした関係にありながら、両方の親たちの姿勢は淡泊そのものである。
　このドラマが焦点を当てているのは上流と庶民の若い男女の恋愛模様だけなので…。

　酒に酔ってユ・チャンスに絡んだイ・ジイを部屋に寝かしつけた後、チャン・ユナは外に出た。外ではユナが出てくるのをチャンスが待っていた。
「帰らなかったの？」
「寝たら帰ろうと…お前の用件は？」
「私が聞きたいわ」
　ユナは椅子を引いた。腰をおろした。
「何を企んでるのよ」
「…」
「女好きと聞いたけど、可愛い彼女も狙ってる？」
　腕を組んだチャンスは鼻で笑う。
「女は可愛くなくても何でも可愛いと言いたがる。送ってと言ったのは彼女の方だ」
「ぬけぬけと嘘を言うのね。そんなことを言う子じゃないわ。玉の輿にはまるで興味のない子よ」
「…」
「弄んだら許さないからね」
　ユナはチャンスを指さした。
「弄ぶわけないだろ。憶測で人を責めたたるんじゃない。今日の被害者は俺の方だぞ」
　チャンスは上着を広げて裸の胸をユナに見せつけた。
　ユナは目を背ける。
　チャンスも椅子に腰をおろす。目を背けたままのユナに訊ねる。
「どうして庶民の振りを？」
「…」
「このままでいたら、お前の正体を知った時―心が傷つくぞ」
「あなた、彼女の心がわかるっていうの？」
「皮肉るな。オッパと呼べ。お前の兄妹とは知り合いだ」
「じゃあ、私が今どうなのかも聞いて知ってるわね？」
「最近、知った。お荷物状態なんだろ？　だからってバイトはどうなんだ？」
「チャン家での暮らしに耐えるためよ」
「だから、他人の不幸を見ながら”私はまだマシ”と言い聞かせて留飲下げたりしてるのか？」
　ユナは首を振った。
「マシなもんですか。どこにいても地獄だもの」
「結婚すればいいじゃないか。簡単に解決する」
　ユナは顔を上げた。遠くを見る表情になった。
「私は恋愛結婚がしたい。素朴な暮らしに憧れてる。会長の娘じゃなく―私を愛してくれる男と出会いたい」
「お前は…つくづく変わったヤツだな。会長の娘は最高のスペックだぞ。どうしてその身分を捨てたがるんだ」
　ユナは椅子から立ち上がった。
「もうやめよう。余計な話をしたわ」
「…」
「帰るわ。帰ってゆっくり寝るわ。クビになったムシャクシャしてるし…チェ代理にはマジでムカついた…」
「ジュンギを悪くいうな。俺の友達だ」
　チャンスもそう言って立ち上がる。
「そんなの関係ない。最低なヤツ」
　二人は強い眼差しを向け合う。

　

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