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反GM運動が問われている

 遺伝子組み換え食品の輸入が始まったのは96年の秋。書いてみてもう十年経ったのか・・・と改めて思う。翌年にはダイオキシンが、その翌年には環境ホルモンが、そのまた翌年には『買ってはいけない』が大ベストセラーになった。01年にはBSEが、02年には牛肉の偽装詐欺事件が起こり、04年には鳥インフルエンザ・・・よくもまぁ、次から次へと呆れるほど、食の不安を煽るネタには事欠かない。
 で、実際売れるのも不安本の類。『買ってはいけない』は200万部近く売れたし、ややスタンスは異なるものの、『食べるな、危険!』も20万部以上売れ、改訂版も出てるし、最近では食品添加物のトップセールスマンが書いたという触れ込みの『食品の裏側』がベストセラー。
 それほど売れなくても、不安を煽る本のほうが数は圧倒的に多いし、一般向けに書かれていても、冷静な記述の本は良書でも・・・売れないnose6



 例えば元生協職員である渡辺宏さんの『「食の安全」心配御無用!』(朝日新聞社)や毎日新聞記者の小島正美さんの『リスク眼力』(北斗出版)などは推奨したい本(=^▽^=)なんだけど売れたって話はトンと聞かないanimal7
 もう一冊感銘を受けたのが松永和紀さんの本『「食品報道」のウソを見破る~食卓の安全学』で、その松永さんが連載中の「松永和紀のアグリ話」で、遺伝子組み換え大豆の危険(実験動物のラットにGM大豆を食べさせたら、子どもの死亡率が格段に高い、生き残ったものも体重減少などの影響が出たという)を裏付ける実験をした(という触れ込みの)ロシアの研究者が日本の市民団体が主催する学習会に呼ばれて行っている講演会に参加して、その内容のずさんさに猛烈に怒っている(松永和紀のアグリ話●「科学」の名に値しない遺伝子組み換え毒性試験)。
 はっきり言って、いささか難解でよく分からないところもあるんだけれども、要約すれば、親ラットの数が不明、実験群で栄養価がバラバラ、GM大豆で顕著な悪影響が出たのは、それだけが(有毒物質を多く含む)生の大豆を食べさせたせいではないのか?と疑問を呈するのだ。
 素人が考えても、毒性実験で信用するには、公平な条件、再現性(同等な条件で同じ方法で同じ結果が出る)が必要だってのは、常識。松永さんによれば「(この研究者は)予備的研究と称して実験の詳細を明かさず、実験の再現性検証を拒否している」という。それじゃあ、誰もこの実験の信憑性を判断できないじゃないか!
 ここまでズサンってのはにわかには信じられないけれども、主催者は、“疑惑”に真摯に応えてほしい。遺伝子組み換え食品自体は好ましくないものって自分は思っているけど、危険性の証明しようと、<目的のためには手段を選ばない>ことだけは止めてほしいと思う、切実に。 

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コメント一覧

haikyotansaku
 科学者とは?様へ。環境ホルモンや合成洗剤追放運動にも、今回ほど露骨な形ではないにしても(中西準子さんへの濫訴事件や大矢勝さんの本などを読むと)、同様の問題があるように思えます。
 「正直」であること。間違いは素直に認めること。本当に大事なことだと思います。
科学者とは?
そうですね。
こういう言葉のトリックだけを駆使するやり方は催眠商法などで見られます。オレオレ詐欺などでも見られます。
生協に求められているのは「正直」であるとこと私は考えています。
haikyotansaku
 コメントありがとうございます。僕は一介の配送担当者なので理系の素養ゼロです。ただ、反対する側の主張には慣れ親しんできましたので、今回の問題には正直失望しました。“圧力”で研究できなくなっているなどという言い方は“逃げ”としか思えません。
科学者とは?
私は生協職員で食品検査を担当しております。
科学者が研究内容を発表し、一定の自信があり、世界的に訴えるという必要性にかられた場合、常識的な科学者は次のような行動に出るべきでしょう。
初歩の初歩、自分の研究内容の詳細を明らかにすること。
学説というのは他の複数の研究者により、同様の実験をしてもらい、十分な結果が得られた時、一定の評価が得られるのは常識。普通はその評価が得たいため、質問があれば研究内容は詳細に答え、忠実な再現を行ってもらいたいはず。
それがなければ、どうやって他の研究者は忠実に追認の実験が出来るのでしょうか?
また科学者は、自分の学説が正しいかどうか、どこに問題があるのかどうか、論議しあうという習慣があります。それは真実を探求する大事なプロセスなのです。
今回、発表された科学者は、すいませんが、科学者としての責務を全く果たしていない、要はプロではないと感じております。
haikyotansaku
 「日本でも検証実験してくれる科学者さんを見つけて、実験してもらう」ことをやるべきなのは、行政ではなく、GMを批判する陣営がやるべきことだと思います。
 イリーナ博士の実験については、厚生労働省のページに、批判的な言及があり、その内容から見ても、とても信頼の置ける実験であるとは思えません。↓
http://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/qa/qa.html#D-17
 そもそも追試する基本データの提出を拒否すると言う態度を取ってる博士の実験をどうやって検証できるのでしょうか。
 東京都健康安全研究センターは、遺伝子組み換え大豆の投与試験として「動物の生涯にわたるような長期間の投与試験や次世代への影響をみるため、ラットのほぼ一生に相当する104週間(2年間)の投与試験と、マウスを用いた生殖試験(次世代試験)を行」っていて、そこでは影響なし(有意差ナシ)という結論になっています↓
http://www.tokyo-eiken.go.jp/issue/health/08/2-3.html
 素人が見ても、東京都の実験の方がはるかに真っ当なものであると考えざるを得ません。再現性が不可能な動物実験をタテにいくら、反GMの要求をしても誰も相手にしてくれません。
 今回の講演会は反GM運動の正当性を決定的に失墜させたものであると考えています。残念ですが。
マツバ
もと生協職員で現生協組合員理事です。上の講演会行きました。
やいのやいのいってないで、日本でも検証実験してくれる科学者さんを見つけて、実験してもらえば済むだけのことでしょう。イリーナ実験を今の段階で批判するのも時期尚早。彼女の説はまだ「仮説」であると判断することこそが「科学的」判断というものです。
ここで立ち止まるか、次に何をするかで世界一遺伝子組換えモノを、そうとも知らずに食べて人体実験に貢献している日本人に対して、GM業界が見方を決めるのだと思うけど。
検証の実験をさせるかさせないか、GM大豆使用を許可するかしないか、中立な環境を確保できるかどうか、見るべきところはいくらでもあるということです。
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