『女皇の帝国 内親王那子様の聖戦』と言い、最近の架空戦記って、その手の本が多いよね。それがシリーズ化されるほど売れるわけだし、現に。ひと昔前には、荒巻義雄『紺碧の艦隊』なんかが売れたもんだけど、今は何でも“萌え”なのかなぁ。
まぁ、今の“仮想敵国”は中国か、北朝鮮か、あるいは・・・韓国か、ってところなんだろうけど、この手の未来戦記は、戦前にも流行したことがあって、その時の“敵国”はアメリカ。
何かの本で読んだことがあったなぁ、と本棚を探してみると、あったあった。猪瀬直樹『黒船の世紀』(小学館、1993年)の第Ⅱ部「日米未来戦記の流行」ってヤツだ。そこには、日米が未来に戦争で激突する「日米未来戦記」に読者の多くが熱中して、ある小説には、どっちが勝つか懸賞付きで、読者に予想させるものまであったという(P.205)。
こうした小説が登場するのは、明治末期からだそうで、<米国における日系の移民排斥>を機に、日米関係が急速に悪化したことが背景にあると「大正期における日米未来戦記の系譜」は論じている。なるほどねぇ・・・。
装いを変え、時代が変わっても、架空戦記に熱中する“空気”は変わってない・・・ってことなのかな。ただ、戦前でも、そういうシミュレーションに熱中するだけでなく、現役軍人や軍事評論家は冷静に日米開戦を分析していたという『日米もし戦わば―戦前戦中の「戦争論」を読む』(光人社)って本も出てる。
「戦前は神がかってて、北朝鮮みたいだった」って言い方があるけど、そりゃ思想統制や軍国主義が蔓延ってたとは言っても、それ一色で、自由が一切なかったわけじゃないだろう(無論、左翼は激しく弾圧された)。制約がありながらも、一定の自由は担保されてたわけで、その中で理知的な分析を発表する媒体は十分にあったはず。
戦前の方がむしろ良かった、明るかった・・・とまで言う気は毛頭ないけどね。
簡単に書くはずが、思わぬ長文になってしまった・・・ヤバイ、もう、寝よう。今日もニコ動で睡眠用BGMを。それじゃ!
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