大学時代に所属したサークルでは丸山氏の『日本の思想』や大塚久雄氏の『社会科学における人間』がテキストでいわゆる戦後民主主義の啓蒙をした人たちを読まされたから、左翼系の文化系サークルが多い大学では異端視されてたんだ。丸山氏、大塚氏とも没後10年。2人の全集はたまに紐解いてみるけど、まだまだ安易に時代遅れと否定していいもんじゃないと思う。憲法改正が政治的課題の俎上に載せられる現在においてはなおさら。
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以前の記事で、“牛乳有害説”に反GM陣営が反論してないじゃないかって書きたら、最新号の「生活と自治」に「牛乳の不当な評価に反論する!」という北大名誉教授・仁木良哉氏のインタヴューが3ページに渡って紹介されてて、大体妥当な内容。それに国内の酪農の現状レポートが2ページというところ。まぁ、はっきり言って“有害説”はネット上で流通しているものはもちろん、相当にお粗末なもの。だからここに掲載されてることには基本的に賛同するんだけど、反GMや反食品添加物のリスクの高さを煽る言辞だって、さして変わらないんじゃないかって思うよ。
最近、“食品添加物の神様”と呼ばれていた(自称。本当ですかね)という安部司氏の『食品の裏側』が僕の予想に反してベストセラーになったけど、これ、<食育の本>としてなら、良いと思うんだ。けど、添加物の安全性への直接的な言及を避けながら、いかにもグロテスクなものの如く描き出す記述ってやっぱりヘン。そこは「ベストセラー『食品の裏側』の裏側」が意を尽くした紹介をしているので一読をおすすめ。今、安部氏は“反食品添加物運動の神様”に祭り上げられちゃったからねぇ。上記のサイトは、食の安全に敏感な人にこそ読んでもらいたい。異論をきちんと消化する度量があってこその健全な消費者運動なんだからね。