晴彦日記

双極性障害1型と1型糖尿病(インスリン注射必要)と闘いながら、少しでも幸せになれるように頑張っています。

宮治誠著 カビ博士奮闘記

2009年03月28日 19時45分59秒 | 読書
宮治誠さんが生物活性研究所にいた時に
中曽根内閣により研究所自体がリストラされそうになった時代があります。
これに対して徹底抗戦し
10年の期限付きで千葉大学真核微生物研究センターが生まれました。
この10年期限付き制度は現在でも残っています。

彼が目指したのは国際化と菌株保存でした。
ブラジルや中国と共同研究のパイプを作り
日本の研究者を海外に派遣し、海外の研究者を日本で研究させる
戦略は見事に成功しました。
世界中から菌株を集めることができました。

研究面では西村和子先生が支えました。
黒癬という皮膚病を引き起こす
ホエルアニア・ウェルネッキーというカビの分類では
西村・宮治理論が認められています。
多くの研究成果について論文発表も精力的になされています。

現在では千葉大学真核微生物研究センターは
日本一の真菌保存機関であり
日本一の病原性真菌を研究する機関だと思います。
帝京大学医真菌研究センターが日本二番だと思います。

カビの病気になる人は殆どが白血病、がん、先天性免疫疾患、
臓器移植患者、エイズ患者などの日和見感染症です。
またカビはヒトからヒトへうつる伝染病ではありません。
ごく少数なカビの病気は健康な人には起こりません。

健常な人でも感染し、100人の1人が感染する
コクシジオイデス・イミチスが最も怖いカビです。
このカビは南北アメリカの一部の地域にしかおらず
日本では生育できないと考えられています。

バイオセーフティーレベル3に該当する真菌は以下のものがあります。
Blastomyces dermatitidis
Coccidioides immitis、コクシジオイデス・イミチス
Histoplasma capsulatum、カプスラーツム型ヒストプラスマ
Histoplasma. capsulatum var capsulatum
Histoplasma. capsulatum var duboisii
Histoplasma farciminosum、ファルシミノースム型ヒストプラスマ
Paracoccidioides brasiliensis、パラコクシジオイデス・ブラジルエンシス
Penicillium marneffei

コクシジオイデス・イミチスを用いて実験する場合は注意深さが必要です。
その他のカビの実験上での危険性は分かりませんでした。

本著はカビを取り扱う研究者にとり
カビについておもしろおかしく書かれた良書だと思います。

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