音楽業界の違法コピー対策の大きな転換を示す動きかもしれない――英EMI Groupは全楽曲をプロテクトなしのMP3形式で販売する可能性について、幾つかのオンライン音楽ストアと話し合いを持っているとこの件に詳しい多数の筋が伝えている。MP3形式の音楽は自由にコピーでき、ほとんどのデバイスで再生できる。
もしもEMIがこのような契約を結んだら、消費者がオンラインで購入した楽曲の利用制限を撤廃することでデジタル市場を拡大するという緒に就いた取り組みを最初に採用する大手レーベルになる。先日にはAppleのスティーブ・ジョブズCEOが、コピープロテクトなしの楽曲を販売することを唱え、こうしたプロテクトは音楽業界を悩ませてきた違法コピーを食い止めるのにほとんど役になたっていないと主張した。
こうした制限を廃止すれば、消費者はあらゆるオンラインストアで買った曲をあらゆるデバイスで再生できるため、デジタル音楽売り上げを拡大する一助になるだろうという考えだ。現状では、例えば、AppleのiTunes Storeで購入した楽曲は同社のiPodでしか再生できない。これは、レコード会社と競合音楽サービスからの不満を招いている。
今回の件に詳しいある人物は、ここ数カ月間で複数の音楽企業がコピープロテクトを廃止するアイデアを提案したと語る。ただし、いずれもEMIほどの段階までには行っていないようだ。またほかの企業は、コピープロテクトソフトは違法コピーを防止する上で重要だとして、明らかにまだ廃止に反対している。Warner Music Groupのエドガー・ブロンフマンJr.氏は2月8日、同社は依然としてこのようなプロテクトは不可欠だと信じていると語った。
EMIは、iTunes Storeと競合する幅広いオンラインストアと話し合ったと考えられる。これら競合サービスには、RealNetworks、eMusic.com、MusicNet、Viacom傘下のMTV Networksが含まれる。この件に詳しい筋は、EMIがこの戦略案を実施前にやめてしまう可能性はまだあると注意を促している。この案を追求するかどうかの決定は早ければ9日にも下される。
EMIの広報担当者は「憶測」にはコメントしないと述べた。
EMIにとってこの案は、同社がデジタル音楽戦略の開発で遅れているとの見方を払拭する機会となる。ほかのレコード会社はさまざまなオンラインの取り組みを試してきたが、EMIは、例えば、Google傘下のYouTubeとライセンス契約を結んでいない唯一の大手レーベルだ。
同社は売上高で世界第3位のレーベルで、ビートルズ、レディオヘッド、ビースティー・ボーイズなどのアーティストを抱えているが、中にはまだデジタル形式で音楽を販売していないアーティストもいる。有名なのがビートルズだ。
幾つかの小さな例外を除いて、大手レーベルはこれまで、オンラインで販売される楽曲にコピー防止ソフトを付けることを主張してきた。DRM(デジタル権利管理)と呼ばれるこの種のソフトは常に音楽プレーヤーと互換性があるとは限らない。例えば、iTunes StoreのDRMソフトは他社の音楽プレーヤーに対応しないため、一部の人はそれが売り上げを阻害するかもしれないと考えている。
一般には、デジタルダウンロード販売の継続的な成長が、音楽業界が中核製品のCDの売り上げが減少する中で生き残るためのカギになると見られている。CD売り上げが減り始めたのは2000年、初代Napsterにより、オンラインで無料デジタル楽曲を簡単に入手できるようになったころだった。CD売り上げは米国の音楽売り上げの約85%を占めるが、今年だけで、2006年の同じ時期から20%減少した(Nielsen SoundScan調べ)。
デジタル音楽の売り上げは上昇し続けているが、ここ数カ月は成長率が鈍化しており、CD売り上げの減少ペースについて行けていない。これが音楽業界の懸念の元だ。
DRMに賛成する向き張は、CD売り上げは急速に減少し、デジタル音楽売り上げは――以前よりもペースは鈍ったものの――まだ上昇基調にあるため、音楽業界が新たなデジタル時代において自分を守ることは重要だと主張する。
今回の件に詳しい筋によると、EMIは当初、12月末にこの問題を検討し始め、オンライン音楽ストアに提案書を配布したという。その中には、将来の売り上げに対して徴収されることのない、一度限りの数百万ドルの「リスク保険」の支払いの要求が含まれていた。この交渉について知る3人の人物は、オンラインストア側はおおむねこの要求に二の足を踏んだと伝えている。
その後EMIは1月末、仏カンヌで音楽カンファレンスが開かれていたころに新たな提案書を携えて交渉に復帰した。同社はオンラインストアに、MP3などの音楽を販売する権利と引き替えに幾ら前払いするか提案するよう求めた。これらの提案は8日に提出される予定だったとこの件を知るある筋は言う。この人物は、EMIが、オンラインストアの提案する金額の合計に基づいてMP3戦略を進めるかどうかを決めると聞いていた。
全米レコード協会(RIAA)は以前からコピープロテクトを求めていた。同団体はジョブズ氏が取り上げつつも一蹴した選択肢――Appleが自社のDRMを競合他社にライセンスする――を支持した。同団体の会長ミッチ・ベインワル氏は声明文で、AppleがDRMを開放すれば「われわれが長期にわたって市場で求めてきた相互運用性が実現される」と主張している。
音楽業界とIT業界の関係者は、ジョブズ氏はEMIの計画案を知った後で(DRM放棄を求める)メッセージを書いたのかもしれないと考えている。だがこの件に詳しい筋は、ジョブズ氏がこれを書き始めたのは3週間前で、自社の音楽製品を他社のハード・オンライン音楽サービスに対応させるよう欧州当局から圧力を受けたことに対するものだとしている。
ジョブズ氏はこのメッセージの中で、大手レーベル――中には欧州企業が一部あるいは全部を保有する会社もある――に注意を向けるよう当局に促している。「現状に不満がある人々は、DRMなしの楽曲を販売するよう音楽企業を説得することにそのエネルギーを向けるべきだろう」
■ Source: ITmedia News
もしもEMIがこのような契約を結んだら、消費者がオンラインで購入した楽曲の利用制限を撤廃することでデジタル市場を拡大するという緒に就いた取り組みを最初に採用する大手レーベルになる。先日にはAppleのスティーブ・ジョブズCEOが、コピープロテクトなしの楽曲を販売することを唱え、こうしたプロテクトは音楽業界を悩ませてきた違法コピーを食い止めるのにほとんど役になたっていないと主張した。
こうした制限を廃止すれば、消費者はあらゆるオンラインストアで買った曲をあらゆるデバイスで再生できるため、デジタル音楽売り上げを拡大する一助になるだろうという考えだ。現状では、例えば、AppleのiTunes Storeで購入した楽曲は同社のiPodでしか再生できない。これは、レコード会社と競合音楽サービスからの不満を招いている。
今回の件に詳しいある人物は、ここ数カ月間で複数の音楽企業がコピープロテクトを廃止するアイデアを提案したと語る。ただし、いずれもEMIほどの段階までには行っていないようだ。またほかの企業は、コピープロテクトソフトは違法コピーを防止する上で重要だとして、明らかにまだ廃止に反対している。Warner Music Groupのエドガー・ブロンフマンJr.氏は2月8日、同社は依然としてこのようなプロテクトは不可欠だと信じていると語った。
EMIは、iTunes Storeと競合する幅広いオンラインストアと話し合ったと考えられる。これら競合サービスには、RealNetworks、eMusic.com、MusicNet、Viacom傘下のMTV Networksが含まれる。この件に詳しい筋は、EMIがこの戦略案を実施前にやめてしまう可能性はまだあると注意を促している。この案を追求するかどうかの決定は早ければ9日にも下される。
EMIの広報担当者は「憶測」にはコメントしないと述べた。
EMIにとってこの案は、同社がデジタル音楽戦略の開発で遅れているとの見方を払拭する機会となる。ほかのレコード会社はさまざまなオンラインの取り組みを試してきたが、EMIは、例えば、Google傘下のYouTubeとライセンス契約を結んでいない唯一の大手レーベルだ。
同社は売上高で世界第3位のレーベルで、ビートルズ、レディオヘッド、ビースティー・ボーイズなどのアーティストを抱えているが、中にはまだデジタル形式で音楽を販売していないアーティストもいる。有名なのがビートルズだ。
幾つかの小さな例外を除いて、大手レーベルはこれまで、オンラインで販売される楽曲にコピー防止ソフトを付けることを主張してきた。DRM(デジタル権利管理)と呼ばれるこの種のソフトは常に音楽プレーヤーと互換性があるとは限らない。例えば、iTunes StoreのDRMソフトは他社の音楽プレーヤーに対応しないため、一部の人はそれが売り上げを阻害するかもしれないと考えている。
一般には、デジタルダウンロード販売の継続的な成長が、音楽業界が中核製品のCDの売り上げが減少する中で生き残るためのカギになると見られている。CD売り上げが減り始めたのは2000年、初代Napsterにより、オンラインで無料デジタル楽曲を簡単に入手できるようになったころだった。CD売り上げは米国の音楽売り上げの約85%を占めるが、今年だけで、2006年の同じ時期から20%減少した(Nielsen SoundScan調べ)。
デジタル音楽の売り上げは上昇し続けているが、ここ数カ月は成長率が鈍化しており、CD売り上げの減少ペースについて行けていない。これが音楽業界の懸念の元だ。
DRMに賛成する向き張は、CD売り上げは急速に減少し、デジタル音楽売り上げは――以前よりもペースは鈍ったものの――まだ上昇基調にあるため、音楽業界が新たなデジタル時代において自分を守ることは重要だと主張する。
今回の件に詳しい筋によると、EMIは当初、12月末にこの問題を検討し始め、オンライン音楽ストアに提案書を配布したという。その中には、将来の売り上げに対して徴収されることのない、一度限りの数百万ドルの「リスク保険」の支払いの要求が含まれていた。この交渉について知る3人の人物は、オンラインストア側はおおむねこの要求に二の足を踏んだと伝えている。
その後EMIは1月末、仏カンヌで音楽カンファレンスが開かれていたころに新たな提案書を携えて交渉に復帰した。同社はオンラインストアに、MP3などの音楽を販売する権利と引き替えに幾ら前払いするか提案するよう求めた。これらの提案は8日に提出される予定だったとこの件を知るある筋は言う。この人物は、EMIが、オンラインストアの提案する金額の合計に基づいてMP3戦略を進めるかどうかを決めると聞いていた。
全米レコード協会(RIAA)は以前からコピープロテクトを求めていた。同団体はジョブズ氏が取り上げつつも一蹴した選択肢――Appleが自社のDRMを競合他社にライセンスする――を支持した。同団体の会長ミッチ・ベインワル氏は声明文で、AppleがDRMを開放すれば「われわれが長期にわたって市場で求めてきた相互運用性が実現される」と主張している。
音楽業界とIT業界の関係者は、ジョブズ氏はEMIの計画案を知った後で(DRM放棄を求める)メッセージを書いたのかもしれないと考えている。だがこの件に詳しい筋は、ジョブズ氏がこれを書き始めたのは3週間前で、自社の音楽製品を他社のハード・オンライン音楽サービスに対応させるよう欧州当局から圧力を受けたことに対するものだとしている。
ジョブズ氏はこのメッセージの中で、大手レーベル――中には欧州企業が一部あるいは全部を保有する会社もある――に注意を向けるよう当局に促している。「現状に不満がある人々は、DRMなしの楽曲を販売するよう音楽企業を説得することにそのエネルギーを向けるべきだろう」
■ Source: ITmedia News
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