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第3部(5)三菱重工「長崎から旗を降ろさない」産経から転載

2013-12-29 09:01:49 | (英氏)原発・エネルギー問題

第3部(5)三菱重工「長崎から旗を降ろさない」

2012.12.3 22:12 (1/3ページ)九州から原発が消えてよいのか

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 造船の町・長崎市の中核をなす三菱重工長崎造船所。穏やかな海面をたたえる長崎湾岸に、大型船を停留した巨大なドックや工場群が2キロにわたり延々と続く。ゴンゴンゴン…。クレーンや重機の稼働音が三方を山に囲まれたすり鉢状の湾内に響き渡る。

 長崎造船所は、長崎湾の本工場をはじめ長崎、諫早両市の4工場の総称だ。起源は江戸末期、徳川幕府が開設した西洋船舶の修理工場「長崎鎔鉄所」に遡る。戦時中は造船技術の粋を集めた戦艦武蔵も建造し、戦後も造船大国・日本の牽引役を担ってきた。

 現在、造船部門は4割に過ぎず、火力発電用ボイラーやタービンなど原動機部門が5割を占めるが、「三菱重工の発祥の地」という意味合いを込めて今も「造船所」を名乗る。

 敷地面積は計240万平方メートル(東京ドーム51個分)、平成23年度の生産高は3303億円。グループ会社を合わせた従業員数は計9500人。長崎、諫早両市の製造業全体の30%を占める。下請け会社を含めると約1万3500人で43%となる。飲食店などのサービス業もこの日本有数の巨大工場に依存しており、長崎造船所なくして長崎、諫早両市は成り立たないと言ってよい。

 電力使用量もものすごい。同造船所の生産設備の動力だけで夏場の最大使用電力は一日あたり65万キロワット時、一般家庭6万5千世帯に相当する。

 それだけに、九州電力が公表した企業向け平均14・22%の値上げは大きなダメージとなる。

「厳しさの追い打ちに」

 

 「円高の中、必死に製造コストを削り、踏ん張ってきたんですよ。今夏もできる限りの努力で10%以上の節電を達成しました。それだけに電気料金の値上げは非常に厳しい。もちろん対策を考えますが、これ以上どうすればいいのか…」

 造船所内のインフラ関係を統括する総務部の飯島文昭次長は厳しい表情でこう語った。

 造船のみならず、自動車や機械など日本の主力メーカーは、中国、韓国の企業の台頭による供給過剰や、鋼材の高騰に加え、円高で苦境に立たされてきた。23年の造船の新規受注量は前年比35・2%減の771万トン。韓国(2520万トン)、中国(1544万トン)に大きく水をあけられた。

 長崎造船所も生産高の7割を海外輸出用製品が占め、円高の影響は経営を直撃する。そこで、工程別の専門職だった技術者を、複数工程をこなすことができるマルチ職に育てるほか、人員配置の効率化などでコスト削減に努めてきた。三菱重工と日立製作所の火力発電事業統合を決めたのも、海外勢に対抗するための合理化の一環だった。

 造船業では、電気料金は製造コストの数%にすぎないというが、円高などですでに三重苦、四重苦の状況におかれているだけに事態は深刻だ。

 

「長崎の基幹産業」

 

 「政府の成長戦略との整合性が図られているか検証がいる」

 三菱重工の大宮英明社長は、政府が9月に革新的エネルギー・環境戦略で「2030年代の原発ゼロ」を掲げた際、こう異議を唱えた。これは産業界の総意だといえる。

 野田佳彦首相は衆院解散後、盛んに「原発ゼロ」を繰り返しており、もし民主党が衆院選に勝利し、政権を継続すれば、玄海、川内の両原発の再稼働はますます難しくなる。そうなると再値上げは現実味を帯び、2030年代には原発ゼロと引き換えに電気料金2倍の時代が到来する可能性がある。

 日本未来の党や社民、共産両党などはさらに過激な原発ゼロを唱えており、たとえ自民、公明両党が政権を奪回としても反原発圧力はなお続くだろう。電力供給不安が続くばかりか、将来にわたって電気料金値上げが続く可能性が高まると、国内のメーカーはどう考えるか。当然、国内工場を閉鎖し、海外に生産拠点を移すことを検討するだろう。下請けの中小企業は一緒に海外に移るか、倒産・廃業の道を選ぶしかない。

 だが、長崎造船所には海外移転という選択肢はない。造船設備の投資費用はあまりに巨額でとても割に合わないからだ。長崎造船所幹部社員はこう語った。

 「長崎造船所はわが社にとって特別な場所なんです。長崎の産業界を支えてきた自負と責任もある。だから出て行くなんて考えられません。絶対に長崎から三菱の旗を降ろすわけにはいかない。歯を食いしばって乗り越えなければ…」

 原発再稼働の可否は、歴史と伝統の街の存亡を握っているのだ。


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