電力大手10社でつくる電気事業連合会と新電力(新規参入業者)23社などの電力業界が17日、2030(平成42)年度の温室効果ガスの自主削減目標の13年度比で35%前後減らすことを決めた。ただ、電力大手のように低排出の原発を持たない新電力は戦略を縛られることになりかねず、不満を隠せない。こうした不満に配慮する形で各社ごとの目標は見送られたが、双方の思惑のぶつかり合いは、あたかも、電力小売り全面自由化後の市場競争の「前哨戦」ともいうべき光景となった。
2030年度にCO2を35%削減へ
「巻き込まれるのは、いい迷惑だ」。ある新電力関係者は、電事連と共同で目標を作ることについて、こう本音を口にする。関係者によると、電事連が新電力の手足を縛ろうとしているとの疑念もあり、「電事連からの呼びかけを露骨に嫌がる新電力もあった」という。
新電力とは、石炭火力や太陽光などを使って自ら発電したり、工場の自家発電で余った電力を買ったりして、電気を安く販売する業者のことを指す。正式には「特定規模電気事業者」と呼ばれ、00年に自由化された大口向けの電力小売市場への新規参入業者として登場。経済産業省に届け出られた数は、今年6月30日現在で693社に上る。ベンチャー企業のほか、石油、ガスなど、ほかのエネルギー大手系も多い。
電事連と新電力が共同で環境目標を作るのは、初めてのことだ。話し合いが始まったのは3月。新電力側から参加したのは、NTTファシリティーズ子会社で新電力最大手エネットはじめ、主要23社だ。
最終的に確定した目標は、電力需要に左右されない販売電力1キロワットあたりのCO2排出量を、0.57キログラムから30年度は0.37キログラム程度まで減らす案。削減率は約35%で、政府が目指す「13年度比26%削減」を上回る。
新電力が不満なのは、自分たちが原発を持たず、低コストだが温暖化ガス排出量の多い石炭火力発電への依存率が高いからだ。排出削減量が多くなれば、それだけ発電量が押し下げられる度合いも大きくなり、不利にならざるをえない。また新電力は、資本も自前の電源も乏しいところが多い。
一方、電力大手は九州電力川内原発1号機(鹿児島県)が8月中旬に再稼働の見込みとなるなど、「脱原発ゼロ」の動きが本格化してきた。原発は温室効果ガス排出量が少なく、発電コストが低い。原発による発電が本格的に始まれば、大手は収益体質が強化され、いずれ大幅な電気料金値下げをでき有利となる。
新電力は、原発で発電される安い電気を電力卸取引所で買う手もありうるが、取引所での取引量は現在、全電力消費量の1%程度にすぎず、どこまで拡大余地があるのか不透明だ。
宮沢洋一経済産業相は「温暖化対策に向け、電力業界全体の自主的枠組みの構築を求める」と電力業界に要望している。これには、新電力も従わざるを得ない。
削減目標の決定作業では、新電力側の要望もあって、個社別の目標は決めない方向で落とし所が決まる結果となった。
自由化見据えた「前哨戦」も
来年4月の全面自由化で開放される家庭向け小売市場は、7兆5000億円に達するとされる。1%のシェアを奪うだけでも、売上高は800億円近くに上る巨大市場だ。
全面自由化に向けた商品戦略も次々に打ち出され、市場競争の口火が切られつつある。たとえばケーブルテレビ大手ジュピターテレコム(JCOM)は早くも4月、住友商事が出資する新電力サミットエナジーと組み、サービスエリアの戸建て住宅に対し、電気と放送、通信をセット販売していく方針を発表した。
一方、これまで独占してきた首都圏市場の「死守」が至上命題となる東京電力の幹部によると、「東電と契約している家庭に対し、他の事業者が電力使用量の調査を進めているという報告が上がってきている」という。すでに東電は携帯大手ソフトバンクや、共通ポイント運営会社など異業種との提携を発表し、利用者の囲い込みを急いでいる。
共通の環境目標の策定作業で浮き彫りになってきた電力大手と新電力の思惑のぶつかり合いは、こうした全面自由化後の激しい市場争奪戦に向けた「号砲」ともいえそうだ。(山口暢彦)
以上
だいたい、新電力なんか民主党政権時でできた再エネ法案に乗ってきた儲けしか頭にない企業ばかり。
従来の電力会社のように、安定供給の義務もなんにもない。
それで、文句があるなら事業を撤退すればいい。
まったく、
同感ですね。
この亡国の連中を一掃したいですよ。