ケセランパサラン読書記 ーそして私の日々ー

◆ 『死都ブリュージュ』 ローテンバック 作 窪田般彌 訳 岩波文庫

 四日に、もの書きの集まりがあって、二次会でなにがきっかけだったか、『死都ブリュージュ』の話になった。                 

             

 随分と昔に読んだ本だけれど、印象がとても強く残っている。
 こんなにも、人の心のゆらゆらとゆらめく様を描いている小説はそうない。



   作品中に描かれる愛の湖 Minnewater  
 
                          何気に、うら寂しい感じ……。
                                      季節は七月、夏なんですけどね。

                         

 
 小説『死都ブリュージュ』は、一見、谷崎の『痴人の愛』にも似ているような感じもするのだが、谷崎の強い生へ執着する感じは、この小説にはない。
 
 むしろ荷風の廃退的な感じと、似ているよう気がしたものだった。


 後年、荷風に関する文章を書くために、いろいろ読んでいたら、やはり若かりしころローテンバックに共感していたらしいことが分かった。
 げに納得。
 荷風は、フランス語で読んだらしい。


 
   

 ブリュージュは、ベルギーのとっても有名な観光地になってしまっているので、沢山の観光客がどっさりと訪れるところだけど、こんなにも静謐なところもある。

 でも、観光で訪れた外人の女が一人歩くには、若干、不安になるぐらい誰もいない観光ツアーの道から外れているの場所なので、少なくとも二人以上で散策することをオススメ。
 

 <この水辺の道 Minnewaterpark へ行ってみたい人へのメモ>
 ブリュージュ駅を背にして、ロータリーの横断歩道を渡り、観光客がどっさり向かう左側の道へは行かず、観光客はまず誰も行かない右側の道を林に入って行くと、水辺沿いに遊歩道があります。
 道なりに歩いていくと、ちゃんとペギン修道院の裏門らしき場所に辿り着き、ペギン修道院で、『尼僧物語』のオードリー・ヘップバーンなんぞ思い出しつつ正門から出ると、観光客がどっさりの旧市街地に至ります。

 

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