ケセランパサラン読書記 ーそして私の日々ー

◇『古ヨーロッパの神々  The Golddesses snd Gods of Old Europe』  マリア・ギンブタス Marija Gimbutas 著 鶴岡真弓訳 言叢社

                       

 そのむかし今から6000年くらい前までのヨーロッパは、平和な文明が支配していました。人々は戦さを知らず、武器というものを持たず、稔りをもたらす女神の崇拝に集い、平等な社会に生きていました。

 この文明の中心は黒海に注ぐドナウ川の流域で、この名をとってドナウ文明とも言われます。(ちなみに漫画『マスターキートン』の主人公はドナウ文明の発掘を夢見ていたわけですが、実際に存在するのです)

 ところが紀元前3500年頃から、男尊女卑の暴力的・侵略的な文明が東から侵略してきます。これがインド・ゲルマン人です。(この人々の残虐さは『オーディン』のところで書いたことがあります。 今日の一冊 https://blog.goo.ne.jp/hiranoumi/d/20190909 )
 それまで平和に暮らしていた人々は慌てて土塁を造って防御しようとしますが、馬を操り戦いに馴れたインド・ゲルマン人にはひとたまりもありません。最後の拠点であった地中海クレタ島の陥落によって、平和な文明は姿を消しました。

 それから今に至るまで、男性中心の暴力的な文明が世界を支配し、生命を育む女性的な感性を抑圧してきたというのが、この本の著者マリア・ギンブタスの主張です。

 マリア・ギンブタスはリトアニア出身の考古学者です。この地はインド・ゲルマン人侵入以前のフォークロアが生きています。フォークロアの再評価と女性原理の復権は、ギンブタスの悲願でした。



             
 まさに縄文の土偶と酷似しています。

最新の画像もっと見る

最近の「今日の一冊 」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事