ヨコハマたそがれ

　８日、母殿がお知り合いの方の個展に招かれて出かけられるのに便乗し、父殿も一緒に、横浜に赴いた。今まで何度か通り過ぎたことはあるが降りてみるのは初めての地で、上天気の下、一日もの珍しく行楽を味わった。お昼前に着いて、デパート屋上の遊園地でしばらく遊んだ後、いったん母殿と別れ、父殿と二人行動になる。父殿は私を肩車に、シーバス乗り場に向かい、乗船券を購入。程なくやってきた水上バスに乗り込み、操舵室のすぐ後ろの席に陣取り、みなとみらいの桟橋までクルージングを楽しむ。暖かい日差しを浴びながら、たくさんの船、かもめの群れ、次々にやってくる波しぶきを眺めながらの船遊びは短いながら快適そのままだった。

　船員の皆様に「バイバイ」と手を振って元気良く桟橋に上陸、目の前には大観覧車やジェットコースターの配された遊園地、ランドマークタワーの威容、海浜に広がる美しい公園などの景観が居並び、見るもの全てに目を奪われる。まずはおなかがすいてきたので、ごはん！ということになり、再び父殿の肩車で運河沿いの道を歩き、ジェットコースターの乗客の悲鳴を聞きながら観覧車の下を通って、近くのショッピングモール内のフードコーナーでラーメン、餃子の類を父殿と分け合って食べた。ジュースとおやつも買って、桟橋近くの公園に戻り、潮風を浴びながら広い芝生の公園を駆け回って遊ぶ。

　おじさんが走らせているラジコンカーに見入ったり、巨大な船のいかりのオブジェによじ登ってみたり、水面に小石を投げてみたり楽しみはつきず。そろそろお昼寝する？と言われて素直に横になってみたが、やはり遊びたい気持ちのほうが強く寝てなどいられず、すぐ起きて近くの華麗なホテルに入り込んで結婚式の花嫁さんを眺めたりして、結局ちっとも寝ないでたっぷりと陽光を浴びて終日過ごした。お友達と別れた母殿がやはり水上バスで後を追ってこられ、桟橋から「マーマー！」と大声でお迎えしてまた三人一緒になり、再び遊園地の方に行って母殿とメリーゴーランドに乗ったり、赤レンガ倉庫をのぞいてみたりしながら歩いて山下公園まで散策し、日も暮れかけてきたところで中華街へ。

　父殿の肩の上で半分眠り込みそうになりながら、中華街に入って食べ物の匂いをかぐと再び私は元気になって、肉まんを買ってもらってほおばり、また小さい中華食堂に入ってチャーハンや春巻きなどを旺盛な食欲で平らげた。途中で買った月餅などのお菓子の袋を自分で持つ！といって放さず、駅までの道すがら振り回して歩いて怒られたりもした。電車に乗っても眠ることもなく、ずっと車窓の景色を眺めて指差してみたりしながら帰る。

　長い長いお散歩だったが、見るもの聞くもの珍しく、食べ物には更に大満足の満ち足りた一日だった。長いこと肩車した父殿にはご苦労様であった。なお、帰宅してから、月餅もちゃんと食べた。独特の味わいで、うまかった！