黒猫チャペルのつぶやき

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青春18きっぷで行く奥の細道

2009年03月23日 | みのりのつぶやき-旅行
 3月19日父殿が一日休みを取り、4連休となったのを利用して鉄道の旅に出た。青春18きっぷというのを使って、普通電車のみを乗り継いでの旅行である。父殿母殿は昔からこの種の旅の愛好者であったようだが、私が生まれてからは初めてのことである。朝7時頃に家を出て、まずは私鉄で北千住に出て、お弁当を買い込んでここからJRを乗り継いで行く行程がスタートする。

 常磐線で、水戸、いわきと終点まで行っては乗り継ぎを繰り返す。お天気も良く、太平洋を車窓に眺めながら揺られていく心地よい旅路である。少し東京を離れただけで、乗り合わせる人々の風俗も顔立ちも違って見えるのが新鮮である。いわきでまたお昼のお弁当を仕入れて、父殿のと母殿のとかわるがわる頬張り、運転士さんに話しかけたりしながら旅は続き次は仙台で乗り換え、さらに東北本線に入って、午後4時過ぎ小牛田に到着。ここでは駅前のスーパーマーケットに立ち寄って少しく菓子類、飲料の類を仕入れて、内陸に向けて一名奥の細道ラインという、陸羽東線に乗ってこの日最後の行程に入る。ここでも運転士さんに盛んに話しかける。東京近郊の電車と違ってワンマン電車という形式のため、運転士さんが客席と隔てられずすぐ側にいるので話しかけやすいのもあるし、彼らものんびりしていて運転中でも気軽に応対してくれるのである。鳴子温泉駅で最後の乗り換え、雪の残る峠を越えて山形県下に入り、程なく到着した赤倉温泉駅で下車、6時20分。そこここに残る雪が美しく目に映える、山間の静かな駅である。

 駅まで予約をしていた宿のご主人が車で迎えに来ていただいていて、早速乗り組んで出発。なだらかな岡の道を登り、雪解けの水が滔々と流れる小国川にかかる橋を渡った温泉街の入り口に立つのが、目指す宿「湯守りの宿三之亟」であった。囲炉裏のある広い玄関で靴を脱ぎ、ご主人自ら荷物を持って先に立って案内して下さった部屋も静かで落ち着いたたたずまいだった。聞けば江戸時代から連綿と続く老舗であるという。荷物を解いて、すぐ別室に容易していただいた食膳に向かう。廊下が入り組んでいて道に迷いそうな館内の雰囲気も面白かった。お食事には焼き鮎、山形牛のシチュー、豆乳なべなどが出て、ご飯やお漬物がすこぶるうまかった。

 食後いよいよ温泉へ。この宿の名物である天然の巨大な岩盤上に設けられた岩風呂はこの時間帯女性専用で、私も母殿と一緒に入った。深湯、中湯、高湯と三つに分かれた風呂があり、一番深いところでは大人でも立って入らないといけないという深湯には私は尻込みして近づかず、最も浅くてぬるめの高湯にもっぱら入って過ごした。程よい暗さであり、天井も高く広々とした空間で、私と母殿以外誰もいないゆったりとした贅沢な入浴を味わった。豊富な湯量のもちろん源泉かけ流しの湯が素晴らしく心地よかったのは言うまでもなし。父殿の方はこの夜は露天風呂に一人で入って、すぐ側を流れる小国川の流れを楽しみながらこちらも贅沢な気分を味わっていた由。

 翌朝も6時頃から起きて、今度は父殿母殿と三人で混浴の時間帯にあたっている岩風呂に再び赴く。父殿は深いところに入ってみてたわむれ、母殿はやや熱めの中湯にゆっくりと入り、私は例によって高湯に入ってそれぞれ楽しむ。8時、広間で朝食。風呂で他の人に会わないと思ったら、昨晩の相客は私達の他に一人の男性客だけだったことを知る。お味噌汁、お漬物がおいしい。食後やや小雨の降る中、傘を差して出かける。ご主人、駅まで送ると申し出て下さるが、次の電車まで結構時間があったのでのんびり歩いていく。駅前で雪遊びをして時間をつぶし、やってきた電車で昨日乗換えをした鳴子温泉まで戻る。鳴子では、昨年上野駅でお披露目をしているのを見たリゾート快速みのりという、私と同じ名前の電車が丁度反対側からやってきていたのに出くわし、喜んで写真を撮る。駅前の共同浴場に入る。赤倉に比べると硫黄臭の強い、いかにも温泉らしい温泉である。こちらも湯量は豊富で心地よく温まる。お蕎麦を食べる。こけしを作っている店でヨーヨーを買ってもらう。天気も良くなったので、鳴子峡というところを通って一駅歩く気で出かけるが、遊歩道が冬季閉鎖となっていて引き返す。途中で私は父殿の背中で眠ってしまう。電車で赤倉温泉に戻ると、この日到着の相客を迎えに三之亟のご主人の車が来ていたので乗せていただいて宿に帰る。温泉街を川に沿って散策する。そこいらの土手にふきのとうがいくらも生えているのを見る。また岩風呂に入り、早めに夕食を取る。父殿は鳴子で買い求めた日本酒を飲んでご機嫌である。夜8時過ぎにはもう皆で寝に就く。

 21日朝は5時前に起床、また3人揃って岩風呂を堪能する。途中相客の方も入ってきたが私達に気づくと遠慮して早々に去って行かれた。6時前にフロントに降り、女将さんにこしらえていただいたお弁当を受取ってご主人の車で朝一番の電車に間に合うように駅まで送っていただく。ここの皆さんには本当によくしていただいた。いい宿であった。来たときとは逆に6:23の新庄行きの始発で出発、車内でお弁当を食べ、陸羽西線に乗り継ぐ。ここの運転士さんも気さくな方で、話しかけていたら持っていた山形新幹線の写真を記念に下さった。余目駅で降りて駅頭を散策し、今度は羽越線に乗り継ぎ海沿いを行く。もう雪の姿が見えないのが少し寂しいが、太平洋側とは異なってきりりとした感じの海の眺めも悪くはなく、遠い島影を見たりして心地よい旅は続く。お昼前に着いた村上駅でお弁当を買うつもりでいたらどこにも売っておらず、新潟まで来てようやく買い入れ、快速くびき野号の特急電車のような車両の四人がけの席を占めてお昼を取る。

 長岡で上越線に乗り換え、また雪の残る山間を行き、水上で最後の乗り継ぎ、18:20新前橋到着。ほぼまるまる12時間電車に乗っていた勘定である。ばあばの家に一泊、来合わせていたMおじさんのフィアンセの方にさんざん甘える。翌日も近くの温泉につかりゆっくりしてから昼過ぎ出て、東京に帰った。大好きな電車三昧、温泉三昧をたっぷり楽しんだ、今までにない味わい深い旅であった。

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