中国総領事が日本威圧ツイート 林外相「コメント控える」
3/11(金) 17:40配信
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共同通信
中国の薛剣・大阪総領事がツイッター上で、ロシアに侵攻されたウクライナの教訓に関し
、弱者が強者にけんかを売るのは愚行だと日本語で書き込んでいた。軍事大国の自国と
ロシアを重ね合わせながら、中国動向を警戒する日本を威圧したとも受け取れる内容。
林芳正外相は11日の記者会見で「個人の発信の一つ一つにコメントするのは差し控えたい」
と述べた。
薛氏のツイートは2月24日付。自らの意向に沿う台湾関係者の発言を紹介した
動画を添付した上で、ウクライナ問題から得た「一大教訓」は「弱い人は絶対に
強い人に喧嘩を売る様な愚か(な行為)をしてはいけないこと」などと書き込んでいる。
ロシアの孤立が進む中、中国は何を思う ウクライナ情勢は台湾有事の
“シミュレーション”
北京冬季オリンピックが閉幕した翌日、プーチン大統領はウクライナ東部で
親ロシア派武装集団が一方的に独立を宣言している二つの人民共和国(ドネツク人民共和国、
ルガンスク人民共和国)を独立国家として承認する大統領令に署名した。そして、
その3日後、ついにロシアはウクライナへの侵攻に踏み切った。
プーチン大統領はウクライナについて、ロシアにとって単なる隣国ではない、
われわれの歴史、文化、精神的空間は不可分だとの認識を示していた。
ウクライナへの侵攻から既に10日が過ぎるが、国内外のメディアからはさまざまな報道がなされている。「ロシア軍の侵攻は思ったように進んでいない」「ロシア軍兵士の士気が下がっている」「クレムリンの中でプーチン大統領に物を言える人がいない」など、ロシアについてネガティブに報じるものが多いが、プーチン大統領としても、一度侵攻に踏み切った以上は弱気の姿勢を見せられなくなっている。また、通常兵力を比較してもロシア軍の優勢は明らかであり、欧米諸国がウクライナ軍への軍事的支援を強化したとしても、双方の攻防は長期化する可能性がある。
一方、ロシアのウクライナ侵攻を連想する形で、日本国内でも「台湾有事」を懸念する動きが加速化している。確かに、侵攻前からバイデン政権はロシアに対して政治的圧力を掛けてきたが、結局はロシアの侵攻を食い止められず、欧米諸国の対応は経済制裁やウクライナへの軍事支援に留まっている。そういった対応を中国が自らの台湾侵攻に照らし合わせ、あらゆる戦略を練っている可能性は高い。近年、インド太平洋では英国やフランス、ドイツやオランダなども軍艦を派遣するなどプレゼンスを強化しており、対欧米という対立軸は中国にとってウクライナもインド太平洋も変わらない。
しかし、ウクライナ情勢が進むにつれ、中国にとっては誤算もあったように感じられる。上述のように、プーチン大統領がウクライナへの侵攻を進めてから、ロシアを非難する反戦デモが全世界に拡大するだけでなく、欧米がロシアを国際送金網SWIFTから除外するという重い制裁に踏み切り、国連総会では対ロシア非難決議が141か国の賛成多数で採択されるなど、ロシアの孤立は予想以上のスピードで進んでいる。
また、北京五輪開会式の際にプーチン大統領が訪中して習国家主席と会談し、対米で戦略的共闘を強化することを共有したものの、パラリンピックを前にロシアが侵攻したことで、中国にとっては泥を塗られた形だろう。プーチンリスクに直面した中国は、今後どこまでプーチンを信じたらいいのか熟慮しているかもしれない。
そして、ロシアの孤立化を目の当たりにした中国は、台湾への侵攻によって世界からの孤立を恐れていることだろう。習政権は発足当初から米国に対して新型大国関係(米中が衝突・対抗の回避し、互いの核心的利益と尊重し、ウィン・ウィンの協力を米中関係の基本にする関係)を受け入れるよう要求してきたが、それは今日ではもう不可能と判断し、米国との競争や対立は避けされないものと認識している。しかし、世界からの孤立は習政権も回避したいと考えており、ウクライナ情勢が進むにつれ、中国にとっては誤算が大きくなってきている。
対外的影響力を拡大したい中国からすると、当然ながらロシアの侵攻に支持を表明することはできない。しかし、中国にとっての最大の競争相手も米国であることから、ロシアへの風当たりが強まる中でも習政権はプーチン政権との戦略的共闘を進めていくことになる。しかし、これまでのような雰囲気でそれはできなくなっており、習政権としてもロシアとどこまで戦略的共闘をするかを模索せざるを得ない状況になっている。ロシアのウクライナ侵攻は、習政権にとって重い課題となりつつある。
◆治安太郎(ちあん・たろう) 国際情勢専門家。各国の政治や経済、社会事情に詳しい。各国の防衛、治安当局者と強いパイプを持ち、日々情報交換や情報共有を行い、対外発信として執筆活動を行う。
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河北春秋(11/19):つらい境遇を若いうちに体験すると、何かし…
2021/11/19 10:00 (JST)
© 株式会社河北新報社
つらい境遇を若いうちに体験すると、何かしら前向きな教訓をそこから得る人が多い。
中国の文化大革命の混乱期、少年だった習近平国家主席は「下放」と称する厳しい
農作業に長い間、従事させられた▼指導者毛沢東を崇拝する幼少期からの教育、
さらには懲罰的な労働。そこから得たのは「毛の心にかなった模範的な共産党員に
なること」。中国の近現代史に詳しい愛知学院大の柴田哲雄准教授が著書『汪兆銘と胡耀邦』
で指摘していた▼毛を指導者の理想像とするかのような習主席の思想傾向には、
こうした背景がある。以前の指導者の江沢民元総書記や胡錦濤前総書記の場合は
少し事情が違う。成人に達してから迫害を被ったため、事態を批判的に見たようだ
▼中国共産党がこのほど採択した「歴史決議」は、習主席への個人崇拝をさらに推進する
内容となっている。民主化の道筋や少数民族の人権問題などは、当然ながら触れてはいない。
有益な教訓どころか、誤った政治手法を学んだらしい▼中国と米国とで「地球を2分割する」。
バイデン米大統領とのオンライン会談で習主席は平然とそんなプランを口にした。
開いた口がふさがらないが、そういう指導者が隣国にいる不運は心に留めておきたい。
習政権はもう数年は続きそうだからだ。(2021.11.19)
ウクライナ侵攻の背景や今後の見通しは? ロシア・ソ連史専門の東北大・寺山教授に聞く
2022/3/9 17:21 (JST)3/10 11:23 (JST)updated
© 株式会社河北新報社
「ロシアはプーチンから解放され、国をつくり直さなければいけない」と話す寺山教授=2022年3月8日、仙台市青葉区の東北大東北アジア研究センター
ウクライナにロシアが侵攻を開始して2週間。終結の兆しは見られず、戦闘は激しさを増す。戦禍に至った背景や今後の見通しについて、ロシア・ソ連史を専門とする東北大東北アジア研究センターの寺山恭輔教授に聞いた。(編集局コンテンツセンター・佐藤琢磨)
[寺山恭輔(てらやま・きょうすけ)氏]京都大大学院文学研究科博士課程修了。1996年東北大東北アジア研究センター助教授、2013年から現職。専門はロシア・ソ連史。長崎県対馬市出身。58歳。
■NATO入り阻止できず、占領へ
―侵攻をどう受け止めていますか。
「驚きはない。クレムリンに近い匿名の情報源によると、プーチン大統領は2021年11月19、20日、ショイグ国防相やパトルシェフ安全保障会議書記、ゲラシモフ参謀総長ら側近と会合を開いた。ウクライナを狙った地政学的な修正プラン実現に向けた全面的準備が進行中で、後はいつ実行するかが問題だということだった。今年に入り、具体的な日時も示されていた。ロシアの政権内部も全員がプーチン大統領を支持しているわけではなく、(外部
に情報提供する)まともな人もいる。ウクライナのゼレンスキー大統領の暗殺が未遂に終わっているのは、その協力もあったと思われる」
―プーチン大統領が全面侵攻を決断した理由をどう考えていますか。
「補給もままならず、他の専門家も指摘するように短期間で終結させる予定だったのだろう。2014年のクリミア半島侵攻で成功を収め、今回も同様に展開できるとみていたのではないか。侵攻がウクライナ住民に歓迎されると幻想を抱いていたと考えている」
「しかし現実は、ウクライナ東部のドネツクやルガンスクでウクライナ人約1万4000人が亡くなる戦争が14年以降、8年間も続いていた。親ロシアのルカシェンコ大統領が独裁するベラルーシと異なり、ウクライナでは選挙がきちんと行われ、親ロシア、親EUと揺れながらも民主的な制度が機能していた。その間に戦闘経験を積んだ人たちが今立ち上がっている」
「北大西洋条約機構(NATO)入りを目指すウクライナの方針がロシア侵攻の引き金になったかもしれないが、04年にはよりモスクワに近いバルト三国が加盟している。ウクライナはロシアや
ベラルーシと同じスラブ民族の兄弟国。ロシアはウクライナをベラルーシのようにしたかったのだと思う。ロシアはあらゆる手を尽くしてウクライナのNATO入りを阻止したかったができず、力ずくで占領するしかないとの決断に至ったのではないか」
■プーチン大統領、側近を「共犯」に
―2週間もの戦闘はロシア側の誤算でしょうか。
「チェチェン紛争の時を思い出す。当時のエリツィン大統領に国防相は『空挺(くうてい)部隊なら3時間で首都を制圧できる』と進言したが、10代の未熟な兵士を送り込んで返り討ちにあった。今回もロシア政権は当初の作戦に失敗し、苛烈な空爆を始めた。プーチンは自分を解放者と思い込んで侵攻を決めたが、全く歓迎されていない。今行っているのはウクライナへの懲罰的攻撃だ」
―人道回廊の設置もなかなか進んでいません。
「ロシアは15年に介入したシリア内戦でも人道回廊を作ったが、市民が逃げている最中に爆撃した。想像したくないが、今回も逃げる市民を狙って爆撃し『ウクライナ軍の仕業だ』と言うのだろう。ウクライナは国土が日本の1.6倍。首都キエフからポーランド国境までは仙台から名古屋ぐらい離れている。ロシア軍に囲まれている状況ではどうやっても逃げられない」
―終結が見通せません。
「もちろん早期に終結してほしいが、時期は分からない。重要なのは、プーチンに核のボタンを押させないこと。冒頭で話した
情報源によると、今月初めに軍や治安機関のトップら側近に核使用の賛否を問い、今のところ支持する声しか出ていないという。プーチンは側近を核使用の共犯にしたかったのではないか」
「ポーランドが保有する旧ソ連製のミグ戦闘機をウクライナに提供しようという米国との計画があるようだが、ロシアはそれを『NATO参戦』とみなして核使用の口実とするかもしれず、とても懸念している」
■毎日のように体制寄り討論番組
―即時停戦を願う世界の声はロシア国民に伝わっているのでしょうか。
「例えば元モスクワ国際関係大教授のワレリー・ソロヴェイ氏は、ネットで得た国内外の情報を動画投稿サイトのユーチューブで発信しているが、登録者は50万人ほど。1億4000万のロシア国民と比べごく少数だ。情報源がテレビだけの多くの人は真実を知らず、プーチンによる正義の戦争とみなしている」
「ロシアのテレビ局NTVは、第1次チェチェン紛争の映像を現
地から放送した。それがロシア国民の政権批判を呼び、1996年の一時停戦につながったとされる。NTVはプーチンの大統領就任後の00年にオーナーが横領などの容疑で逮捕され、国営企業ガスプロムの傘下に入った。現在、大きなメディアは全てプーチン政権の支配下。ロシアでは毎日のように夕方ごろから体制寄りの討論番組が放送される。大多数の国民は政権のプロパガンダしか見ることができない。間もなく自由なインターネットも遮断されるだろう」
―ロシア国内でも反戦デモが行われています。
「ロシア国民しかウクライナを助けられない。国際銀行間通信
協会(SWIFT)の取引停止は、平和的な手段でロシア国民に経済的打撃を与え、その意識に影響を与えられる唯一の手段。気づいてほしい。『どうか立ち上がって』という世界中からの声なきメッセージに。経済的にはもう届いているはずだ」
「2月初旬は1ドルが76ルーブルほどだったが、侵攻を始めてすぐ90、100と下落していき、8日現在で150ルーブルにまで低迷した。1カ月余りで価値が半分になった。世界中の企業も撤退している。『おかしいぞ』『政府の言うことは本当なのか』と疑問に思う人が増えてほしい」
「ロシア当局が拘束しきれないほど多くの人が街へ繰り出し、一斉に反プーチンの声を上げることに望みを懸けるしかない
ディア支配を進め、ソ連時代のKGBをルーツとするFSBを強化するなどプーチンは20年以上かけて現在の体制を築き上げた。簡単ではない。それでもプーチン体制に終止符を打たなければこの戦争は終わらない」
■「戦後の終わり」迎える
―この先、世界はどうなるのでしょうか。
「第2次世界大戦で、旧ソ連が2000万人を超す犠牲者を出すことによって得られた国連安全保障理事会常任理事国のステータスは消滅するだろう。今回の侵攻で、ロシアは権利を自ら放棄したとも言える。それは『戦後の終わり』を迎えるという意味でもある」
「常任理事国の拒否権は戦争を止めることができないおかしな制度。ウクライナもロシアも多くの死者を出している。平和のための新たな仕組み作りに向けた機運が高まるといい。日本も将来を見越しながら行動するべきであり、安全保障をはじめ食糧、エネルギーなどあらゆる問題を率直に議論していかなければならない」
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