市川在住

読んだ本の紹介に加えて,市川での暮らしで何気なく目に留まったものごとを綴ります.ご飯屋さん,街並,風景など.

ぼくのボールが君に届けば

2010-06-09 11:49:08 | 趣味(本・映画・音楽etc.)
昔からのお気に入りの作家である
伊集院静さんの作品を久しぶりに手に取りました.

・ぼくのボールが君に届けば
・えくぼ
・どんまい
・ミ・ソ・ラ
・風鈴
・やわらかなボール
・雨が好き
・キャッチボールをしようか
・麦を噛む

以上,9編の短編小説がおさめられています.

それら9編の小説には,全て何かしら
野球が関わっていいます.

内容については,小説の最後に角田光代さんが
素晴らしい解説を書かれていたので
その解説から一部引用します.

『(前略)
おさめられた九つの小説の、テーマは死ではない。
それでもやっぱり、どの話にも、死を思わせる川が流れている。
死、という言葉が強すぎるならば、不在、と言い換えてもいい。
だれかの不在によって、それまで均衡を保っていたバランスが
崩れかけた瞬間のような、あやうさ、はかなさが、どの短編にもある。
(中略)
死というものを、この作家は川のように書く、と冒頭に書いた。
私は伊集院さんの小説を読んで、思い出す。ああそうだった、
だれかの不在というのは、特殊なことではなく、本当にいつも
そこにあるものだった、と。そして小説を読み終えたとき、
不在というのはかつてそこにその人が存在したという、
まぎれもない証拠であることに、気づくのである。
そう思って近くに流れる川に目を凝らせば、
それは高く澄んだ空を映して、なんとあざやかに美しいことだろう。』


ぼくのボールが君に届けば
伊集院 静
講談社文庫


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