【#朝鮮日報】「コメよりマスクの方が重要」と言っていたのに…政府の指針次第で言葉を変えるKBS

　3月3日、韓国公営放送局KBSの『ニュース9』のアンカーが白い保健用マスクを1枚持って現れました。アンカーは「今はコメよりマスクの方が重要らしい」という大邱市民の言葉を伝えました。「外出するときは必ずマスクを用意する『社会的距離を置く行動』に多くの方が参加している」とも報じましたね。続くリポートでは「食品医薬品安全処（食薬処）は乾かして再利用を勧めているが、1回用の保健用マスクを使い続ける場合、細菌が増殖することは避けられない」と指摘しました。

　それから5日後の3月8日、KBS『ニュース9』では、こんな報道がありました。「週に2枚しか買えない保健用マスク。習慣的に使わないで！」「コロナウイルスの特性上、野外はもちろん屋内でも保健用マスクの着用が不必要なケースは多い。マスクを使わなくても感染の危険は低く、コットンマスクを使ってもいい」という内容でした。続いての報道では「マスクを再利用するつもりなら、日が差したり風通しが良かったりする場所に掛けておいて乾かせ」「1時間ほど使ったマスクは3日使える」という専門家の言葉を伝えました。

　このニュースを見た韓国国民は、どう思ったでしょうか。KBSのニュースは、これまで「KF80以上を使い、一度使ったマスクは翌日には必ず交換するのがいい」（1月29日）、「WHO（世界保健機関）は細菌感染などの理由で再利用を勧めていない」（2月24日）、「一般のコットンマスクはコロナ19予防に効果がない」（2月28日）、「65歳以上であったり慢性疾患があったりする人は、やむを得ず外出するときはマスクの着用が必須」（3月2日）と報じてきたのにです。

この報道を行った記者も、すっきりしない様子でした。放送翌日、KBSの社内掲示板に、こんな書き込みが載りました。「急に？　これまで私たちは何をやり、国民はばかだったのか」。この記者は、放送当日にこういう内容の記事を指示されたと書きました。「保健用（KF）マスクは使う必要はない。コットンマスクを使うだけでもいい。これでだいたい1分50秒やろう。『まず私からコットンマスクを使いたい』という丁世均（チョン・セギュン）首相のきょうの発言も入れよう」

　この記者は「政府の一言で、われわれも何事もなかったかのように『使おう』というのか」と抗弁しましたが、結局3月8日のニュースでは、「KF94、KF99等級を使え」→「コットンマスクも役に立つ」→「使わなくてもいい」と続く韓国政府の「ジグザグ指針」に対する批判はありませんでした。KBSニュースの視聴率（13.9％、3月11日現在）は、ほかの地上波ニュースの2倍に達します。この数字は、災害放送の主管社であるKBSが韓国国民の安全を代弁するだろう、という信頼のおかげではないでしょうか。ところがこのごろのKBSは、韓国政府の代弁者になったような感じです。

ソン・ホヨン記者