横浜ニューグランドホテルを訪れました。
1927年(昭和2年)開業。国際都市横浜の迎賓館の名にふさわしいホテルです。
浅田次郎さんの小説『シェエラザード』の中で中島吾市さんがベーカリーとして働いていたホテルとしても登場しています。
【本物の力、素晴らしさ】
まちづくりの仕事をしていたときに先輩が街中で見かける擬木などに対して話をしてくれたことを思い出します。
木に似せてコンクリートでつくられた柵などに使われている擬木。
その良しあしはともかく、いまの建築の中にも【本物に似せた】建材が多く見受けられます。
本物の木のように見えるフローリング
本物の無垢の柱(四面無節)に見える集成材の柱
木に見える外壁
タイルに見える壁紙や外壁
クッションフロアなども木目がプリントされているものもあります
その本物に見せる技術には感動すら覚えますが、私は本物を使いたいと思います。
本物に似せた材料は、メーカーさんの説明曰く、強度が無垢材より強い、反りやねじれがない、大工さんなどの手間が省ける、同じ品質で大量生産が可能などのお話を聞きます。
しかし本物に似せた材料をつくるための環境負荷や廃棄時の環境負荷などについてはあまり論じられません。
まして本物に似せた材料をつくる際に使われる化学物質については論じられることは皆無です。
私はなによりも子どもたちに本物を体感してほしいという思いがあります。
本物の木はどのような手触りなのか、どのようなにおいがするのか、本物の素材に囲まれた空間の居心地はどうか
本物に似せたフローリングの中で育った子どもたちが木のフローリングはこのようなものだ、と誤った体験、認識をして欲しくはありません。
本物と本物に似せたものを見分ける力
この視点はいろいろなところに応用できるように思うのは私だけでしょうか。
ひと・すまい・くらし一級建築士事務所