マイケル・ハドソン研究会 の「文明の命運」和訳
序文 By 温鉄軍 教授
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cf. 「文明の運命」インタビュー@ワシが舞い降りたった
原文: https://michael-hudson.com/2022/12/oligopoly-unchecked/
「「民主主義とは何か、独裁主義とは何か、社会主義とは何か」
=『文明の運命』の全体的な枠組み」=「歯止めのない寡頭制」の問題を指摘
西欧での「民主主義」は「レンティア(≒金融資本家)が支配する寡頭政治(金権政治)」
(レンティア=「レント(広義の「地代」=生産ではなく所有からの利得)を貪る者」)。
「商人や金融の寡頭制を防ぐ、強力な指導者による政治」を西欧では独裁主義と呼ぶ。
「レント」ではない「生産による利益」を重視する経済(産業資本主義)が成熟すると
自然に何らかの形で「社会主義」に移行する気運が高まる。
∵「構造的な独占」段階に達した経済では、資本主義下での経済発展の原動力である
「競争」が機能せず「独占利潤」というレントが社会の発展を阻害することが明らか。
「金融資本主義」は「レント=広義の「地代(生産ではなく所有からの利得)」と
「生産から得られる利益」を区別しないか、むしろレントを優遇するので、生産を
高コストにする結果、脱工業化を招く。
「すでに2500年前、アリストテレスは、民主主義だと思われている多くの経済や憲法は、
実は寡頭政治であると述べています。今日も確実にそうです。寡頭政治が民主主義を
僭称しています。」
「紀元前3世紀から1世紀にかけての文明は、インドや中国に至るまで、西洋以外の文化は
すべて、商人や金融の寡頭制が発展するのを防ごうとしました。」
# 「商人や金融の寡頭制を防ぐ強力な指導者による政治」を西欧では独裁主義と呼ぶ。
「なぜ中国が経済を成長させ、国民の生活水準、教育水準、健康水準を上げることが
できたのか、欧米がそうできなかったのかを説明」
「問題は、誰が国家をコントロールするのか、ということ」
「どうすれば経済の生産性を上げ、生活水準を向上させられるか、長期的な計画を立てる
指導者が国家を運営するのか、それともコストを上げ、脱工業化を目指す金融寡頭制に
国家が乗っ取られてしまうのか?」
# 「新自由主義/新古典派経済学」は「金融資本主義」のイデオロギー。「新古典派」
# という名に反して「古典派経済学」の主張、さらには用語の意味すら逆にしている。
# 「古典派経済学」の主張は、産業資本主義的な経済発展のため、封建的支配体制での
# レントの縮小/解消を志向する。「新古典派経済学」は「レント」など存在しないと
# 主張することで「レント」の存在を隠蔽し、その温存さらには拡大をも志向する。
「封建的支配から経済を解放」=「産業資本主義と古典派政治経済学の両方の歴史的課題」
「19世紀の地代への課税の戦いは、ほぼ成功したが、第一次世界大戦後に勢いを失った」
「1890年代後半になると、レンティアが反撃に出ます。学界では不動産業者と銀行が一緒に
なって、経済的レントなど存在しないと否定」←新古典派経済学/新自由主義の教義
「自由市場に関する古典的な概念がいかに反転しているか」
「公共インフラの生産性は、原則として、補助金や無料の公共サービスを提供することに
よって、経済全体の生産コストをどれだけ下げることができるかで測られるべき」
i.e.「マーガレット・サッチャーやロナルド・レーガン(の私有化政策)と対極」
# 新自由主義の「生産によらない利益の追求」の「究極形」は露骨な略奪。
「新自由主義の理想は、ボリス・エリツィン政権下のロシアにアメリカがやったこと」
=「公共資産、ニッケル鉱山、石油、ガス、土地をすべて取り上げ、経営者に与えて
自分たちの名前で登記させること」
→「ロシアは新自由主義的「民営化(私有化/私企業化)」の結果、第二次世界大戦中に
失った人口よりも多くの人口を失うことになった。」
# レントの縮小/解消は、「労働者と使用者の利害対立による問題の解決」の前提。i.e.
# より優先度の高い社会問題。
「レンティアの諸経費から経済を解放しても、使用者による労働者の搾取の問題は解決
しない。しかし、レンティア債権から解放された古典的経済を創造するという中間段階を
踏むことは、資本主義を封建主義のレンティア遺産からようやく解放した後、労働と資本の
対立が政治改革の焦点になるための前提条件」
# 新自由主義はアダム・スミスの思想とは真逆で*見掛けが違うだけの封建制*を擁護する。
「新自由主義のシンクタンク…アダム・スミス研究所…アダム・スミスが唱えたことすべてを
嫌っています。」←人々を混乱させるためにアダム・スミス研究所と自称。
「スミスは地代に課税しようとしました」
「アダム・スミス研究所は地主を美化し、公営住宅を「民営化(私有化/私企業化)」し、
1%の人々のためのレンティアと金融の理想郷を作ろうとしています。」
「アメリカは進化した奴隷制国家です。奴隷制がなくなっても連邦権力との戦いは
レンティア階級が引き継ぎました。文字通り、ネオ封建制クラスです。」
# 金融資本主義/レンティア資本主義の「教義」=新自由主義(その背景が新古典派経済学)
「金融資本主義は、マルクスや彼の同時代の人々の大多数が期待したこと、すなわち
産業資本主義が…社会主義に向かって発展することを回避しようとするもの」
「土地や天然資源からだけでなく、インフラへの公共投資の民営化や新たな独占企業の
設立など、レントシーキングを主な搾取源とする」
∴「金融資本主義は経済を高コスト化」→社会の発展を阻害し、大多数の人を不幸にする。
更新履歴
2023-08-28 06:46:05 作成(「マイケル・ハドソン研究会」の洋書和訳ページから分離)
2024-10-19 11:21 「文明の運命」インタビュー@ワシが舞い降りたったのリンク+抜粋追記
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