ある日の気づき

読書日記:和辻哲郎の「鎖国」

バスティーユ襲撃事件当日のルイ16世の「日記」に、ただ一言 "Rien" (なにもなし)としか
書かれていないという話は有名だが、これは、 彼の「日記」なるものが、いわば「趣味日記」
でしかなく、最大の趣味の一つ(もう一つは錠前作り)である狩猟の獲物が「なにもなかった」
と書くのは、彼にとっては自然なことだったため、というタネ明かしまで語られる事は少ない。

これまで本ブログでは比較的長めの記事が多かったので、この記事は「肩すかし」になるかも
という(自意識過剰(笑)気味な)懸念から、上の挿話を最初に入れて見た(笑)。本記事は、
和辻哲郎の「鎖国」を「青空文庫」を利用して読んだ事についての、ごく簡単なメモである。
筆者は「青空文庫のXHTML,TEXTの読み方青空文庫のXHTML,TEXTの読み方」に書かれて
いる方法のうち「Vector というサイトにあるテキストビューワー」を主に使っている。

和辻哲郎の著作は「著者が1967年以前に死亡している場合、著作権の維持期間は死後50年」
との著作権法の規定により、多くは青空文庫で読める。「鎖国」のファイルは下記にある。

https://www.aozora.gr.jp/cards/001395/card51364.html

内容は、「西欧視点の大航海時代までの世界史概説」である前半と、「布教開始から江戸時代
初期の禁教令までの日本へのカトリック布教史」である後半を合わせたもの。最終的な結論と
して、「当時の為政者は、キリスト教への禁教令を出すべきではなかった。西欧文明を早期に
受容する方法は、それしかなかった。そうしていても、日本が征服される恐れはなかった。」
との趣旨を述べている。

筆者が同書を読んだ動機+経緯は以下の通り。
- 「歴史ノートその2」の 1. で言及した「原田 伊織」氏らによる「明治時代/明治維新」を
 批判する議論では、概して「江戸時代」を*全般的に*高く評価しているという印象がある。
- 筆者は江戸時代全般を高く評価することには違和感があるので、「江戸時代批判」的な記事を
 考えていたとき、「和辻哲郎が「鎖国」について批判的な見解を述べていた」事を思い出して
 「先人の見解は知っておくべきだろう」ということで関連事項を検索していたら、「「鎖国」
  という表題の著書がある」と分かった。
- 「青空文庫」にありそうな気がして調べたら、やはりあったので、読んでみた。

読後感は、正直言って、かなり「肩すかし」にあった気分が強い。筆者の視点や問題意識とは
方向性が全く違い、言ってみれば「1つ交点はあるが直交している線分」のような見解だった。
まあ、高校の教科書やネットで見かける記事には出て来ない細部(さすがに、よく調べるもの
だと感心させられる)を含めて「物語」として描ききる筆力は鑑賞できたが、筆者が書こうと
している記事の参考には、なりそうもない。ネット検索で出る記事(例えば定番の下記など)を
参考にするしかなさそうだ。

https://ja.wikipedia.org/wiki/鎖国
https://kotobank.jp/word/鎖国-68867

update: 2022-06-01 22:18 : 表記ゆれ修正、リンク追加。



名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「日本史」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事