森林政策学研究室の日々

北海道大学農学部森林政策学研究室で行われる活動や研究を紹介します。

知床世界自然遺産の科学委員会の地元説明会

2008-12-24 14:17:27 | 調査・研究
11月下旬に知床の斜里町と羅臼町でそれぞれ開催された地元説明会に行ってきました。これは世界自然遺産を科学的に管理していくために結成された科学委員会の人たちが、地元の人たちに知床の現状を分かりやすく説明するというものです。

世界遺産管理に地元の人たちがかかわる機会としては、地域連絡会議というものがありますが、これは国や北海道や地元の関係機関の人たちが協議する場で、地元の一般の人たちと科学委員会が直接触れ合う説明会というのは、今まで殆どなかったそうです。

斜里町では知床博物館を会場にして、羅臼町では地元の公民館を会場にして、夕方から2時間ほど専門家からのお話と地元の人たちとの質疑応答がありました。海の管理と持続的漁業のこと、砂防ダム等の改良とサケ科魚類の保全のこと、エゾシカの急増とその影響のこと、を中心としたお話でしたが、どれも非常に興味深かったのと、地元の人たちの質問が鋭かったのが印象的でした。特に、羅臼の漁業関係者の方が、エゾシカが増えすぎて山が荒れて、そのせいで海まで悪影響が出てしまう、海の管理をするには山も管理しないとだめだ、というような趣旨の発言をして、非常にありがたかったです。

私自身はエゾシカ保護管理の研究をしていますが、知床の遺産地域のように人が殆ど住んでいないところでは、シカが増えすぎたことによる生態系への悪影響はあまり強く人々の関心をひかないのではと思っていました。ですが、川を通じて山と海がつながっており、山が荒れることは海が荒れることにつながると漁業関係者の方が認識されていることを確認できて、地元の方々の山とエゾシカへの関心は必ずしも低くないと思えたからです。

こういった地元説明会は本当に有意義なものだと思いました。今後も定期的に開催されることを願っています。

カルロ

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。