森林政策学研究室の日々

北海道大学農学部森林政策学研究室で行われる活動や研究を紹介します。

「水辺遊びの生態学」を読みました

2007-08-25 14:22:27 | 本の紹介
「水辺遊びの生態学」(嘉田由紀子、遊磨正秀著、2000、人間選書231、農山漁村文化協会)を読みました。実はこの本、私が海外に出る前に餞別として友人からもらった本です。「生態学」というタイトルからちょっと敬遠していましたが、今になってようやく手に取り、ページをめくることができました。

その感想、とても面白かったし、読みやすかった。なんだか、目からうろこが落ちた気分です。琵琶湖周辺のある地方の子供たちに、自分自身、父母世代、祖父母世代の三世代に水辺での遊びについてアンケート調査し、その結果や聞き取り調査の結果をまとめて、水辺の環境の変化や生き物を捕まえるという遊びの持つ意味について書いた、とても面白いし考えさせられる本でした。調査の結果を本にしたといっても、そこには日々の暮らしを送る人々と同じ目線に立つ著者の住民に対する愛情が随所に感じられました。それがあるからこそ、この本は単なる調査報告書の一般向けの本にとどまっていないし、「昔はよかった」的なセンチメンタリズムにも陥っていないと思いました。

また個人的には、あとがきに書かれていた、「学会アカデミズム」に対する「地域アカデミズム」のあり方や魅力に関する文章を読んで、勇気付けられた感があります。今やろうとしている研究は社会学的なもので、私にはまだ馴染みがなく、これが研究になるのだろうかという不安が常に頭の片隅にあります。「フィールドワークの技法」や「現場主義の知的生産法」に書かれていた民族誌や物語は個人的には面白いものですが、研究としてどのレベルをクリアすれば認められるのか、そこはまだ自分にはわかりません。でもこの本を読んで、現場に行ってそこで繰り広げられていることを何らかの物語として整理し残すということが大事で、それをどう「研究」にするかは指導教官に教えてもらえばいい、そのための学生なんだから、という気がしてきました。まずは愛情を持って地域を訪れ接する、そこから始めてみたいと思います。

あと、どう研究にするかは、先生方、よろしくお願いします。

カルロ

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