新農業者年金制度は本当に安全なのか?
本当に農家の老後のためになるのでしょうか?
農業者年金制度とは
農業の担い手の老後生活に安心と安定を用意する制度です。サラリーマンの厚生年金や、自営業者などの国民年金基金と同様に、公的年金の二階建て部分のひとつですが、唯一、国の政策支援のある年金制度です。・・・・・越前市
http://www.city.echizen.lg.jp/office/060/020/iinkai/nounenkin.jsp
自分が受給する年金を自ら納める積立方式となっていますので、少子高齢化の影響
を受けにくくなっています。また、受給の際は納めた保険料とその運用益が年金原資とな
り、それを基礎に年金を受給できます。
財政方式を積立方式に切り替えることにより、将来受給する年金は自らが積み立てる方式となり、加入者・受給者数の変化などの影響を受けにくい長期に安定した制度になります
積み立てられた保険料は農業者年金基金が安全かつ効率的に運用します。
石川県農業会議
http://www.noukai.net/index.htm
以上のような文言で市の農業委員会をはじめ、農協が積極的に農家に農業者年金に加入を勧めています。
本当に加入者・受給者数の変化などの影響を受けにくい長期に安定した制度なのでしょうか。
農業者年金は農家にとっては必要な制度ですが、今の運用制度に疑問を感じます。
また、積み立て方式でその運用益を原資を基礎に年金が受給できるとありますと支払った年金額プラス運用益が年金としてもらえるように思います。
実際はどうでしょうか。
このようなうたい文句と市という自治体、、農協という農業団体の勧誘ということで安心してH氏が旧農業者年金が平成13年に廃止になったのを機に平成14年から15年の60歳になるまでの二年間、新農業者年金に加入しました。
今年65歳になってその農業者年金の受給者となり、当初の思いとその受給額の少なさに驚くとともに、勧誘内容と実態がかけ離れているように感じたのでここにその実態をお知らせし、現在農業者年金に加入している農家や今後農業者年金に加入をするであろう農家、そして実際に農業者年金を勧誘している全国の農業委員会、全国農業会議、農協の方々の参考になればと思います。
平成14年58歳
掛け金額:67,000円・・・一ヶ月の掛け金(新農業者年金の掛け金最高額、H氏は58歳で掛けれる年数が2年であることから老後のことを心配して、無理をして最高額を掛けた。)
平成15年60歳で納付は終了。2年間の掛け金総額:1.608.000円
平成17年度運用(付利)結果のお知らせ
新制度の保険料や国庫補助に対して、平成17年度決算に基づき実施した年度末付利の結果が、以下の通りとなりましたのでお知らせします。
平成18年6月27日 独立行政法人農業者年金基金 理事長 西藤 久三
http://www.nounen.go.jp/
農業者老齢年金平成17年3月末(前年度末)
保険料納付額:1.608.000円
付利額:101.989円
計:1.709.989円
農業者老齢年金平成18年3月末(当年度末)
保険料納付額:1.608.000円
付利額:260.325円
計:1.868.325円
当年度増減
付利額:158.336円
計:158.336円
平成18年度運用(付利)結果のお知らせ
新制度の保険料や国庫補助に対して、平成18年度決算に基づき実施した年度末付利の結果が、以下の通りとなりましたのでお知らせします。
平成19年6月27日 独立行政法人農業者年金基金 理事長 中川 坦
農業者老齢年金平成18年3月末(当年度末)
保険料納付額:1.608.000円
付利額:260.325円
計:1.868.325円
農業者老齢年金平成19年3月末(当年度末)
保険料納付額:1.608.000円
付利額:315.207円
計:1.923.307円
当年度増減
付利額:54.882円
計:54.882円
平成19年度運用(付利)結果のお知らせ
新制度の保険料や国庫補助に対して、平成19年度決算に基づき実施した年度末付利の結果が、以下の通りとなりましたのでお知らせします。
平成20年6月27日 独立行政法人農業者年金基金 理事長 中川 坦
農業者老齢年金平成19年3月末(当年度末)
保険料納付額:1.608.000円
付利額:315.207円
計:1.923.307円
農業者老齢年金平成20年3月末(当年度末)
保険料納付額:1.608.000円
付利額:239.008円
計:1.847.008円
当年度増減
付利額:-76.199円
計:-76.199円
こうした通知書が65歳になった平成20年まで送られてきました。
運用益を含めた計:1.847.008円が年金受給額と錯覚をしていましたが、この金額は受け取れる金額ではありません。あくまで、年金額を決める金額でした。しかし、決して悪い数字ではないと思っていました。
しかし、この数値を元に計算されて送られてきた報告書は以下の通りです。
農業者年金振込み・支払い通知書
今年度、あなたにお支払いする年金額は、次のとおりですので通知します。
平成21年 5月7日 独立行政法人農業者年金基金 理事長 印
支払い年月日:21年11月10日 新農業者老齢年金 支払額 ¥73.050
(12万円未満の場合は年一回支払います。)
今年度の新農業者年金の受取額は¥73.050/年ということになります。
この¥73.050を単純に掛け金総額の納付額で割ると
保険料納付額:1.608.000円÷73.050円=22年
¥73.050を掛け金総額に利息の付利額を加えた額で割ると
保険料納付額+付利額の計1.847.008円÷73.050=約25.3年
65歳+22年=87歳まで生存して納付額の1.608.000円
65+25.3=90.3歳まで生存して利子を含んだ1.847.008円
となり、90.3歳まで生存してようやく利子を含んだ金額をもらえることになります。
これは、余りにもひどい、87歳、90.3歳は現実には不可能に近いので、H氏は不審に思い独立行政法人農業者年金基金に電話を掛けた。
その結果、次のような答を得ました。
今年は初年度なので途中からの計算になっています。
あなたに次年度から支払われる年金額は¥97.400円/年となります。との返事を頂き、ちょっとほっとした気分でしたが計算してみてやはり納得がいきませんでした。
保険料納付額:1.608.000円-73050=1.534.950÷97.400=15.8年
保険料納付額+付利額の計1.847.008円-73.050=1.773.958÷97.400=18.2年
66+15.8=81,8歳で掛け金(元金)が戻る計算になります。
66+18.2=84.2歳で利息を含めた金額を受け取れる計算になります。
H氏は男性なので男の平均寿命は厚生労働省の平成19年簡易生命表によると71.19歳であります。81.8歳で掛け金の総額が戻るのは問題があるように思います。
まして、如何にも運用によって239.008円稼ぎ1.847.008円でしたといっても84.2歳まで長生きしなければ全く絵に描いたモチでしかありません。
財政方式を積立方式に切り替えることにより、将来受給する年金は自らが積み立てる方式となり、加入者・受給者数の変化などの影響を受けにくい長期に安定した制度になります
この中には、平均寿命になっても掛け金がもらえなくなる場合があります。などのマイナス面は一つも書いてありません。説明もありません。
農業者の皆さん、ご自分の掛けている農業者年金は、大丈夫ですか。
受給するようになってから、とやかく言っても、後の祭りです。
全国の農業委員会、農業会議、農協の担当者の皆さんはこの現状をおわかりで勧誘されていますか。
農業者年金受給者 H