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岐阜近郊、側溝ふたの盗難止まらず 対策なく自治体苦慮
2019/07/31 05:00
自治体が管理する側溝などの金属製ふたが盗まれる被害が今年に入り、岐阜市や周辺で相次いでいる。確認されただけで岐阜市で４３枚、本巣市で５０枚、羽島市で３枚で、被害総額は１００万円以上。県警は何者かが転売目的で盗んでいるとみて捜査しているが、自治体側は有効な対策を見いだせず頭を悩ませている。
「また盗難の連絡が入るのではとドキドキしている」。岐阜市の担当者がため息をつく。市内の被害は昨年は１件だったが、今年は６〜７月だけで６件。現場は茜部地区や三里地区など市南部の道路に集中する。
今月１６日には同市茜部大川で、格子状のふた（長さ５０センチ、幅４１センチ、厚さ１０センチ、重さ１８キロ）が１０枚（計１４万円相当）盗まれたのが見つかった。うち２枚は、その約１カ月前に同じ場所で盗難があったため、市が設置し直したばかりだった。
県警は、盗まれたふたは金属買い取り業者などで換金され、最終的には溶かして再利用されているとみている。既製品は形状が同じであるため、盗品の疑いがあっても自治体名や通し番号が記されていなければ、どこから運ばれたのか特定が難しいという。いつ盗まれたのか、犯行日時が特定しづらいのも特徴だ。
ふたは１枚ずつなら１人で持ち去ることができる重さ。だが、ある捜査関係者は「見張り役を含む複数人で犯行に及び、盗品が海外の専門の業者に流れている可能性もある」と話す。
岐阜市によると、市道の側溝の総延長は２６００キロ。５〜１０メートル間隔で設置されたふたは約２０万枚に上り、いずれも固定されていない。専用の留め具は１個数千円。担当者は「ふたは大事な公共物で盗むのは許されない。歩行者や自動車が側溝にはまるとけがをする危険もある」と指摘するが、「全てのふたを固定するのは予算的に現実的ではない」と漏らす。
市は防止策として月１回の道路巡回を引き続き実施し、県警にパトロールの強化を依頼。異常を見つけたら連絡するよう、広報紙やホームページで市民に呼び掛けている。
（近藤統義、井上仁、藤矢大輝）