横浜市で現存するただ1校の震災復興小学校「旧三吉小学校」の見学会+シンポジウムを開催しました。
横浜の震災復興小学校31校は、すでに30校が解体・改築されており第1号施設(1926年4月竣工)の旧三吉小学校ただ1校が歴史のすき間からすり抜け現存しております。
JIAとしては、関東甲信越支部の保存問題委員会・神奈川地域会として2010年6月23日に横浜市 林 市長宛に旧三吉小学校の保存活用の要望書を提出しました。7月14日に横浜市より要望に対する回答書が出され、その中で、老朽化・地元町内会からいたずらが絶えない為早期に解体の要望が有り8月末より解体される事に決定され、記録保存と一部部材の保存を検討していく旨回答がありました。
以上の経緯をふまえ、解体前に急遽、見学会とシンポジウムを開催致しました。見学会としては、8年間使われていない建物で、不法侵入者のいたずら等で足下が硝子の破片等もあり、建築関係者のみの見学会となりました。案内含め約30人弱の見学会で薄暗い校舎内の教室・廊下を懐中電灯を照らしながら見てまわりました。メディア方も、NHK・TV神奈川・朝日新聞・神奈川新聞等多数、取材に訪れ、反響の大きさにとまどいました。
シンポジウム会場までの、移動の途中で旧埋蔵文化材センター資料保存整理館(1937年)・神奈川県警 警邏隊(1930年頃)同武道館を途中見学しながら歩いて行きました。昭和初期の建物がまとまって残っているこの地域の特質を話ながら猛暑の中の移動でした。参加された皆様、誠にお疲れ様でした。
シンポジウムは、熱い体をクーラーの涼しさで一段落した所から始めました。皆様、お疲れの中、予定の2時間をフルに使い横浜国立大学大学院の吉田先生の話、横浜市元職員の鈴木正己さんの「昭和を生き抜いた学舎」の編集・企画にまつわる話など興味深い話が聞けました。
最後に会場からの質疑で、この敷地の角地に1950年の戦災復興の市大医学部校舎・1926年の震災復興の旧三吉小学校が並んで建っている貴重な一角である。この二つの建物が街並みに大きく寄与している点を評価しながらどのように生かして行くかを考えて欲しいとの意見でした。あらためて、ディティールにこだわるのでなく街全体を見る視点で考えていくべき事を考えさせられるシンポジウムでした。
pm13:30よりpm17:00までの長時間参加頂いた方には、誠にありがとうございました。
かもめのたより
http://blog.goo.ne.jp/jia-kanagawa/
笠井先生には11月の賛助会全体会の講師をお願いしているところです。