ミモザの春雨日和

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汚染水流出で今後も海の汚染は続く 小出裕章(京都大学原子炉実験所助教)

2014年12月07日 | 原発関連情報・被ばくしないために
たんぽぽ舎より転載します。

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┗■1.高コストの原発導入は、核兵器技術を獲得するため
 |  原発再稼働は、実に愚かな選択  (連載その1)
 |  汚染水流出で今後も海の汚染は続く
 └──── 小出裕章(京都大学原子炉実験所助教)

○ 鹿児島県の伊藤知事が、川内原発再稼働に同意した。福島原発事故に関して誰1人として刑事責任を問われることなく、政治責任も不問にされたため、「何が起きても自分が政治責任を問われることはない」と確信した上での政治決定だ。これを指摘する内田樹氏は、「事態は『3・11』以前より悪くなってしまった」と嘆いている。

 原発再稼働・事故原発の現状・IAEAの実体などについて、小出裕章さんに聞いた。いつもの明快な解説とともに、原子力ムラへの深い怒りが表明された。

 衆院が解散した。半永久的な環境汚染や健康被害のリスクを受け入れてまで経済成長を追い求めるのか?国土の一部を失ったことを忘れて、無人島の争奪に血道を上げるのか?問われているのは、有権者の側だ。(文責・人民新聞編集部)


編集部…川内原発再稼働が焦点化しています。小出さんは11月に鹿児島に行かれたそうですが、講演内容を含めて、見解をお聞かせください。

小出…11月9日に、「日本平和学会」で、「原子力と核」というタイトルで「原子力は、実際には核兵器と同じものであり、平和と密接に関係しているんだ」という講演をしました。8日は、市民グループの集会で川内原発の話をしました。

 皆さんは十分ご承知だと思いますが、福島第一原発の事故が起きてしまっても、自民党政権は原子力発電をやり続けようとしています。そのために安倍首相は、「安全性の確認された原発は動かす」と言っているわけですが、元来「安全性」なんて確認できる道理がないのです。

 原子力規制委員会にしても、「安全基準」を作ったのではなく、「規制基準」というものを作ったのです。言葉はとても大切なものですが、彼ら自身が「安全基準」とは言えず、わざわざ「規制基準」としたのです。

 その上で規制基準に適合したと発表しましたが、「安全とは申し上げない」と、田中俊一委員長自身が言っているのです。

 原子力発電所は機械ですから、その機械がもっている特性上、最悪の事故が起こりうる、と考えなければなりませんし、新しい規制基準も、最悪の事故を想定しているのです。過酷事故を想定した上で、住民の避難計画が必要という立場に立っているわけですが、あろうことか、「避難計画」に関して「俺たちは知らない、各自治体で勝手にやれ」という、丸投げをしている訳です。もう国家としての体裁をなしてないし、こんな状態で原発を再稼働させるのは、私はもちろん反対です。


編…前小渕経産大臣が「老朽原発の廃炉を検討すべきだ」と発言し、一定評価する人たちもいます。再稼働との関連も含めてコメントをお願いします。

小出…私は政治が大嫌いですし、政治家の思惑がどこにあるのか?などわかりません。でも、40年を超えた老朽原発は廃炉にした方が、電力会社にとっても得策だと思います。なぜなら、再稼働のためには追加の安全工事等で金がかかりますし、金をかけても既に40年動かしているので、いずれにしてもある時期に廃炉の決断をしなければいけません。

その意味では、40年を経た老朽原発の廃炉は、経営サイドからみても合理的な判断だろう、と私は思います。

 ですから小渕さんの発言は、そういう思惑を踏まえた発言かと思いました。ただし小渕さんは辞任に追い込まれたので、ひょっとすると、そんなことを言う経産大臣は許さないという裏の思惑もあったのかもしれません。

 ただ、老朽原発の廃炉方針は、同時に、「40年に達していない原発は再稼働すべき」というメッセージが強いと思いますし、それは実に愚かな選択だと思います。


○汚染水流出で今後も海の汚染は続く

編…汚染水が漏れ続けて海が汚れていますが、汚染の度合いは、何がどこまで分かっているのでしょうか。

小出…ウランが燃えて核分裂生成物という放射性物質ができるのですが、単に核分裂生成物と言っても、およそ200種類もの放射性物質の集合体です。それは、セシウム137、ストロンチウム90、ヨウ素131やゼノン133などですが、ほとんどの物質は短い寿命です。

 事故から3年半経って、ほとんどは消えてなくなっています。事故直後には、ゼノン133やヨウ素131といった、人間の健康に深刻な影響を与える放射性物質が大気中に噴出したのですが、それは今からでは取り返しのつかないことなので、今重要なのは、セシウム、ストロンチウム、トリチウムのほぼ3つ。加えてプルトニウムくらいだと思います。

 なかでも問題にすべきなのは、陸地の汚染ではセシウムだけです。なぜならセシウムは揮発性で大気中に噴出し陸地を汚染したからです。

 また、セシウムとストロンチウムは水溶性です。福島第一原発では解けた炉心に向かって水をかけていますが、ほぼ同じ量のセシウムとストロンチウムが汚染水の中に溶けています。この汚染水が原子炉建屋などに溜まっているのです。

 東京電力は、汚染水を汲み上げてセシウムを捕捉する装置に送っています。セシウムについてはかなり捕捉していると思いますが、セシウム以外の放射性物質は取れません。このため東京電力は、ALPSという装置でストロンチウムを捕まえようとしましたが、ALPSがまともに動かず、汚染水が海に流れています。海の汚染については、ストロンチウムが主な汚染源です。

ストロンチウムは、セシウムに比べて数倍危険ですが、ベータ線しか出さないために、測定が困難です。このため海の汚染に関しては、データが無いのです。これが一番の問題で、今後も海の汚染が続くでしょう。

 ではどうすべきか?ですが、それは、セシウムによる海の汚染を調べることです。それと同等、あるいは何倍のストロンチウムの汚染があると推測することで、当面は対処するしかないでしょう。 (連載その2に続く)

 ※(人民新聞オンライン 1531号 2014/11より許可を得て掲載)

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以上転載



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