ミモザの春雨日和

猫と花と沖縄の、散歩写真ブログです。

高コストの原発導入は、核兵器技術を獲得するため 小出裕章(京都大学原子炉実験所助教授)

2014年12月10日 | 原発関連情報・被ばくしないために
以下、たんぽぽ舎より転載します。

┏┓
┗■1.高コストの原発導入は、核兵器技術を獲得するため
 |  原発再稼働は、実に愚かな選択  (連載その2)
 |  IAEAは「原発事故の影響は大したことはない」ことを教育・宣伝する
 └──── 小出裕章(京都大学原子炉実験所助教授)

 ただし、これまで人間が放射能で地球を汚染してきたことに関しては、様々な経験があります。

福島第一原子力発電所の前には、チェルノブイリ原発の事故が1986年にありました。その前には1950~60年代にかけて、膨大な大気圏内核実験が行われています。空中で核爆弾を爆発させて、放射性物質をばらまいた訳です。

 福島原発事故でばらまかれたセシウム137は、日本政府の公式発表によると、広島原爆168発分だと言っています。それだけでも大変な量ですが、大気圏内核実験はその60倍です。それが太平洋・大西洋、大陸にも降り積もって、地球を汚染したのです。

 ですから、福島事故で海へ流れ出ていっている放射性物質は、正確な評価ができないのですが、セシウムについては、大気中に放出したものと海に放出したものはほぼ同等程度だろう、と思っています。

 そうすると、大気中に放出したセシウム137は、大気圏内核実験で既にその60倍をばらまいて地球上を汚していた訳ですから、全地球を平均的に汚染したとすれば、大気圏核実験のほうが多いのです。太平洋は、これから福島から放出される放射性物質で汚れていきますが、これまでの汚染を超えることは、たぶんないと思います。

 ただし、福島近海や阿武隈川河口は、放射性物質で濃密に汚れています。そこの海産物は取らないというような注意をすれば、良いとは言いませんが、有効な手段の一つだろうと思います。


編…IAEA(国際原子力機関)は、福島で1.放射線モニタリング、2.除染、3.福島県立医科大学と協同で健康管理に関する研究・事業を行うとしています。実際には何をやっているのでしょう?

小出…何もやっていないでしょう。実働部隊は、福島県や原子力開発機構などでしょうし、それらが収集したデータを眺めて、指示を出すことはあるかもしれません。

 IAEAは、加盟各国の意を汲む研究者が集まっている国際組織ですが、そもそも「核爆弾開発」に起源をもつ組織です。1945年 、アメリカ合衆国が広島、長崎で原子爆弾を爆発させ、人類は初めて核エネルギーに接することになりました。米国が核爆弾を製造できたのは、第2次大戦で主戦場にならず、資源も豊かだったからです。

 米国は、核兵器を当分は独占できるだろうと思っていたのですが、1949年8月には、早くもソ連が原爆製造に成功し、核の独占は崩れます。そこで米大統領・アイゼンハワーは、核独占を維持しながら核技術開発を継続するために、「原子力の平和利用」を打ち出します。核爆弾製造施設であるウラン濃縮工場や原子炉、再処理工場を、原子力発電施設として外国に売りつけ、金儲けをしながら技術開発を維持したいと考えたのです。

 しかし、原子力発電は核技術そのものなので、原発輸出は核兵器拡散になります。そこで1957年、 米国は国際原子力機関を設立したのです。このためIAEAは、2つの矛盾した役割を負わされることになりました。

 それは、1.「原子力の平和利用」を世界に広め、米国が原発ビジネスで金を儲けることを支えること、2.他国に核兵器を作らせないための徹底した監視、です。国連安全保障理事国は、核兵器を独占して世界を支配する国々ですから、IAEAを通じて核兵器の拡散を阻止しようとしてきたのです。

 IAEAとは、そういう国際機関ですから、原理的に原発否定はあり得ません。福島でやることははっきりしていて、「原発事故の影響は大したことはない」ことを教育・宣伝することです。

 IAEAから派遣された「専門家」の仕事は、「福島で事故は起きましたが、健康被害は大してことはありません」と事故を過小評価するための作業なのです。


○目先しか見ない人たち

編…再生可能エネルギー固定価格買取制度が、機能しなくなっていますが…

小出…目先のことしか見られない人たちだと思います。説明します。原子力発電は、燃料のウラン埋蔵量が石炭の数百分の1という少量ですから、早晩消えて無くなります。石油・石炭などの化石燃料は、当分大丈夫ですが、100年の単位では枯渇するエネルギー源です。そうなると、人類が頼るべき枯渇しないエネルギー源は、太陽しかないのです。そのためには、長期の見通しを立てて、計画的にシフトしていくしかありません。

 現状の再生可能エネルギー促進制度には数々の問題があると思いますが、いずれにせよ進まねばならない方向性なので、環境負荷を少なくしながら移行の方法を考えなければならないし、できるだけ早く実践に移す必要があります。

 固定価格買取制度は必要な制度ですが、電力会社は原子力を少しでも延命して、自然エネルギーへのシフトを遅らせたいために、足掻いているのだと思います。本当に困った人たちです。(連載その3に続く)

 ※(人民新聞オンライン 1531号 2014/11より許可を得て掲載)
____________


以上転載




最新の画像もっと見る