宝泉寺 ブログ

テンプルフリー

 以前から、檀那寺を替わってもいいですかということを聞かれることがあります。江戸時代に始まった檀家制度が、今でも根底には続いています。そういう前提の中でも、檀那寺を替えたいということは、よくあります。
 何年も前のことですが、別の寺で葬儀式を終えたばかりの方が宝泉寺にやって来られました。その家の葬儀式での僧侶の振る舞いに疑問を感じられたのか、不安に感じられたのか詳しいことは聞いてはいませんが、これからこの葬儀をした寺とは、付き合っていくことに抵抗感を感じた方が、宝泉寺に檀那寺を替えたいと言うことで来られました。
 
 自分のお寺を替えていきたいという話は、実はよくある話でもあります。宝泉寺から別のお寺に替わりたいというという申し出があったときには、どうぞ!とニコニコ言って受け入れています。
 「信教の自由」は、日本国憲法にも明示してある大切な原則です。自らの思想信条については、その個人の思いを尊重しなくてはいけません。だから、寺を替わりたいという申し出には、快く受け入れるようにしています。振り返りますと、この5年間の間に2軒の方が他の寺に替わって行かれました。申し訳なさそうにおっしゃるので、どうぞ気になさらないで下さい、どうぞお元気でお過ごし下さいねとお伝えした記憶があります。

 つまり「来るものは拒まず、去る者は追わず」という思いでいます。去って行く方には、事情もあることでしょうし、また当方の未熟さ至らなさがあったのかもしれないと考えています。
 逆に、宝泉寺と新しい縁をつなぐ方には、ようこそ有難うというという思いでいます。令和になってから新しい縁が出来て、宝泉寺とのお付き合いをして下さる方は7軒(佐藤さん・木全さん・後藤さん・山本さん・小倉さん・川俣さん・小塚さん)あります。もちろん、新しい縁がすぐに消滅する場合(お葬式だけで、以後は何もないケース)もありますが、それでも一所懸命に勤めていくしかありません。
 新しい縁がつながる理由は何ですかと聞かれることもあります。数字上で最も多いのは、葬儀業者さんからの紹介です。今年に入ってから葬儀2軒の紹介を受けました。テレビやインターネットで広告が打たれているような葬儀での紹介は、以後のお付き合いは難しいです。供養はしたいと思っているが、寺との縁を出来る限り控えていきたいという方が選ぶようです。
 寺にとって、一番うれしいのは、檀家さんのクチコミです。宝泉寺ならイイよ!って紹介して下さった方とは、きちんとお付き合いが継続できます。令和になってから7軒の継続的な御縁が出来たと書きましたが、そのうち5軒が檀家さんの紹介です。この事実からは、日々の姿を見られているという思いで過ごしていかなくてはいけないと感じます。

 宝泉寺に檀那寺を替えていきたいという方がありましたら、どうぞご相談下さい。一人一人の思いに、つながっていけるような寺でありたいと思います。
 嫌なお寺、嫌な坊さんだったら、付き合わない方がホッとできますからね。好きとまではいかなくても、フツーの付き合いが出来るなら、その寺との付き合いを維持していけばいいです。
 ただし、世の中の倣いで、寺との縁を切るときには、それなりの礼儀があります。そこは、きっちりしていきましょう。

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