ドイツのリニアモーターカー、トランスラピッドの事故は、どうやら運行センターの情報確認ができていなかったという人為的ミス(産経新聞)という見方が出てきているらしい。担当の地方検察庁がOsnabrueck(ueはuにウムラウト)だと聞いて友人の住む町のそばらしいということがわかったので、google mapで調べてみた。ラーテンという街らしいが、ドイツ語ではLathenとつづる。
大まかに言うと、ブレーメンの西、Osnabrueckからは北西にそれぞれ60~70Kmぐらいのところの小さな村らしい。
で、トランスラピッドの試験線はというと、地図ではわからないので航空写真に切り替えてみると、ラーテンの市街地(DBの駅もあるようだ)の東側に南北方向に走っている。航空写真はこんな感じ。矢印は市街地で、その右側の濃い緑色(森か?)の真ん中を上下に突っ切るはっきりした線が試験線のようだ。
線路配置は鉄道模型で言うところのドッグボーン配置。アルファベットのPの下にbをくっつけた形である。終端部分のループの直径は"P"のほうが3km、"b"のほうが1kmくらい、南北方向の延長は20キロぐらいといったところか。
問題の管制センターは、直線部分の真ん中、Lathen市街地に近いところにあるようで、車庫も見える。
作業用とはいえ、前に車両がいるのに走らせたということは、「列車のいる区間には次の列車を入れない」という鉄道保安の鉄則を破ったことになる。これは地下鉄だろうと新幹線であろうと絶対守るべきことだ。この実験線には閉塞区間がないのかもしれない。そういえば、去年上海で浦東空港線に乗ったときも、2本の列車がそれぞれ単純往復する形態のように思えた。ちょうど、つるべ井戸とかケーブルカーの原理で、これだと複線である限り絶対に衝突しない。
閉塞区間を切っていないと、複数の列車を同方向に走らせられない。その辺の技術開発がどうなっているのか、さすがに新聞記事ではわからないので、専門誌などのレポートに期待したい。
ともかくも、亡くなった方に哀悼の意を表したい。
この見方には疑問を感じる。
「点検用車両の存在を”人為的ミス”で確認ができない」のが原因ではなくて、その人為的ミスを防げないシステム設計のミスが原因なのでは?と思えてならない。
「設計に問題はない。運用する人間の問題だ。」と人間に原因を押し付け、トランスラピッドを売り込む商売優先に誘導しているような気がするのは小生の思い込みかしら?
さて、いただいたご指摘に私も同意いたします。エントリーの中で「閉塞区間」について触れたのも、人のミスを防ぐ仕掛けがないのでは?という思いがあったからでした。
ましてや、外国で文化的背景の違う人に使ってもらう製品なら、そこは念を入れて設計すべきですね。ICEの脱線事故といい、今回の事故といい、ドイツの技術神話が徐々に崩れているような気がします。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。