飯田橋ライブラリー

飯田橋ライブラリーを運営する図書委員会からのお知らせを掲載しています。

創作 テーマ「再会」

2024-07-31 14:52:00 | 日記
飯田橋ライブラリー図書委員会です。
今回より有志による創作短編を不定期にアップしていきます👏👏👏
ぜひ応援お願いします🤲

初回テーマは「再会」です。
読んでみての感想受付中ですよー
お待ちしてます😊

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
テーマ「再会」 作:林美沙希

 揺れるスカート。今日は垂れ目にしよう。
きっと驚くだろうな。私はこの日を首を長くして待っていた。昔あの娘に言ってしまった悪口。
内容は忘れたけど、傷つけちゃったのはたしか。ちゃんと謝りたい。そんなことを思いながら待ち合わせ場所へ向かった。

 かわいいハートのラテアート。勿体なくて飲めない。ガラス張りに映る自分の身だしなみをチェック。すると、外の男性と目があった。カランカラン。「彼」は私の目の前に座る。

「まさか、かれんちゃん?」

彼は頷いた。まさかこんな美男子になっているなんて。驚かすつもりだったのに。かわいいものが好きだった乙女同士仲良くなりたかった。何があったの?気まずい。

「似合うね」
「かっこいいね」
「モテそう」

とにかくこの空気をなんとかしたいのに、返事がない。

バン。バシャ。

え?冷たい。水をかけられた。「彼」はそのまま去っていく。なんでよ。どうして?
                   ・
        ・
                   ・
 私は今、昔好きだった人に水をかけた。運動ができてかっこよかった昔の彼に言われた一言が、私をずっと支配している。

「わーかれんちゃんスカート履いてる。ぶりっ子じゃん」

偶然なのか、その日は私を除いて女子は全員ズボンだった。スカートが怖い。捨てよう。髪を切ろう。かっこよくなろう。これが私なんだ。
そう思っていた。

 それだからスカートを履く「奴」が彼だと信じたくなかった。気持ち悪い。好きだったものが、好きだった人に奪い取られた。反吐が出そうだ。やっと口を開いたかと思えば、

「その格好、もう男子じゃん。似合うね」

 私は男子じゃない。ただスカートが履けなくなってしまっただけ。あなたに嫌われたくなかっただけの、女の子だよ。





最新の画像もっと見る

コメントを投稿