真衣歌の心~蛸壺の中で

生きているとあれやこれやあるわねえ

片耳

2020-01-30 11:58:01 | 
片耳を立てる
片耳で聞く
聞くに二つの耳はいらぬ

片耳が豊かな髪から見え隠れしている
耳たぶにピアスを付けている
重たそうに揺れている

片耳で会釈する
チョットね
恥じらっている

ところで
忘れられた片耳は
もう一つの片耳がどうしても思い出せないので
困惑しているようだ

ふるさと

2020-01-30 10:01:32 | 
ふるさとの道を歩けば

いま春は手の中にあるよ


妹に誘われ蓮華を摘めば

畑のくろんぼうに笑いかけられたよ

汽車を送り迎えして

土手の土筆の頭を出せば

夕餉に母はおつゆにいれたよ

小砂利敷き詰めたあぜ道を

優しい風がお澄ましをして歩いていたよ


東京はあまりに狭くって

ふるさとからの便りは皆通り過ぎて行ってしまったよ


雪解けまでに~過去との決別

2020-01-30 06:39:24 | 日記
雪解けまでに過去との決別をする為の作業をする
雪が解けたら過去を切り捨てる
過去の一切を捨てて私自身に立ち戻って出直す
今は過去の一切が憎くてたまらない
そんな思いが苦しくてたまらない

部屋の片隅に設えた旦那の祭壇に
悲しい思いで蝋燭を灯しているんじゃない
苦々しい思いで蝋燭を灯している
旦那にとって私は何者だったのか
反芻ばかりしながら

病気になってからの旦那の言動は
威圧的で命令調で
まるで下女か奴隷にでも対する態度だった
そんな態度が最後まで続いた
どうせ果てるのだから好きにして居ればいい
言い返す言葉もなく
旦那の顔を見るのが嫌だった

旭川に往復した日々
士別に転院して通った日々
それら日々の思い出も
忘却の彼方に押しやってしまいたい
旦那と築いた日々も全て

後始末には金も時間もかけたくはない
人生の大きすぎるごみを洗い流す作業のみだ
思い出は粗大ごみになった
この先夢にすら出てくるなよ
粗大ごみの夢なんか見たくもない

最後の夜は涙すら流れなかった

音愛~ 我を去りぬ~






以下 個人用






さすらい 唄 小林旭  





ちあきなおみ 東京ブルース

相続問題

2020-01-29 20:42:42 | 日記
感傷に浸る暇がいつまであるかどうか
(たいして感傷に浸ってはいないが)
相続問題が起こりそうな予感がする。

抗がん剤が効いた頃
「俺の財産は東京にいる弟にやる」
と、旦那が私に言っていた。
病床で旦那はその弟だけは格別かわいいと言っていた。
私が旭川の病院に通っていた時
実にくどくどと言っていた。
遺言状を書いていたかどうか、
あるいは電話で弟にいったかどうか、
その場合弟が、その電話を録音していたかどうか、
不明。
病気も死亡も知らせなかった。
しらせたのは北海道の弟だけだ。

東京に移住してからは全く収入を上げず
完全なタケノコ生活をしていても
大きいビニールハウスを次々と3棟建て
大量の猫に大金をつぎ込んでいた。
猫は確かにかわいいよ、
でも、猫の数にも限度があるよ。
避妊をしないからどんどん増えたよ。
物にも限度がある。

経済的なことにはまったく、我関せずな旦那だった。
生活費も病院代も全て私一人が苦労していた。
現金預金はないとしても、
住んでいた家と、栃木にある別荘地(ど田舎の分譲地)と、
弟にくれてやりたいといった旦那だ。
残された嫁の事なんか考えてもいなかったのだ。

葬儀場で葬儀屋さんに不動産の名義変更について
子供がいない場合の問題点を教えてくれて
心が寒くなった。
それでなくとも寒いのに。
見も心も寒いってこういうことを言うのね。

旦那は10人兄弟、
これだけ兄弟が多いと,色々付き合いの差があって
北海道の弟だけは付き合いがあって
私の身元引受人になってもらい、
どんな保証人にもなってくれると言っている。
この弟なら私も文句は言わない。


1月25日 猛吹雪到来

2020-01-26 21:56:18 | 日記
何気に古い詩を思い出す
どへたくそだと笑わば笑って

今夜はついぞない猛吹雪の夜
横なぐりの雪で病室の窓は真っ白け
呼吸数1 こきざみに揺れる波線が続いて
止まった
後は1本の線が続いた
人は果てる時最後の息を引き取るというけど、
呼吸数1がそれだった。
その後息を吐くことはなかった。
最後に
「愛してる」とか「有難う」とか、
そんな言葉を吐く人もいるようだけど、
旦那は実に静かに息を引き取った。

物言わぬ君
物も言えぬ私
ただ立ちすくす


ふたりぼっちの雪

ひとりぼっちが寂しくて
ふたりぼっちになりました
ふたりで膝を付きあわせ
それぞれ 心をかみ締める
いつもあなたの心がよめなくて
もっと寂しくなりました
それでも一人じゃ嫌なので
ふたりぼっちで生きてゆく

ひとりぼっちでいた頃は
ふたりぼっちに憧れて
行く先ざきを夢みてた
あなたの夢の入り口に
いつも私は立っていて
手を振るばかりだったけど
それでも入って行きたくて
私の夢は捨てました

今夜も雪が激しいね
ふたりぼっちで見る雪は
どこかで春が見え隠れするんだと
あなたは言うけど

窓の向こうは雪ばかり
何も見えない雪ばかり