「少女はなにかについて深く思いをめぐらせているように見える」
村上春樹 「海辺のカフカ」下巻P26
「深く思いをめぐらせる」
この表現がいいなと思う。
読んでいるとたいしたことない表現のようにも思える
ありきたりな容易な言葉にすぎない
私は自分の心のありようや、感じていることをうまく言葉で表現できない。
だからこそ、こうしてうまく説明されている言葉に出会うと、「そう、そういう風に言いたかったんだ」とひとりで合点がいく。
まるで、自分のことをわかってくれる人に出会えたようで嬉しくなる。
「深く思いをめぐらす」
「考える」でもない、「悩む」でもない、「思う」でもない。
「深く思いをめぐらす」
そうなのだ、私も時としてそうやって何かについて考え思いをめぐらせることがある。
その状態をこれまでうまく説明できなかった。
自分のなかに、説明するだけの言葉のストックがなかったのだ。
言葉を入れておく引き出しの中なかには少ない言葉しかなかった。
だからうまく自分のことを説明できずにイライラすることが多かった。
それが、こういう言葉に出会うと、新しいツールを手に入れたようで嬉しくなるのだ。
私が小説を読む理由のひとつは、こういう心や気持ちを説明する言葉に出会うためである。
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