価格は誰が決めるか?
長らくメーカーが決めていたというのは間違いないだろう。
松下電器(現パナソニック)とダイエーの争いがそうだった。
メーカーが決めた卸価格、組織化された全国の専売店。
そこで、メーカーが決めた価格で忠実に販売していれば皆幸せだった。
ところが、ダイエーという新進気鋭の会社がその暗黙のルールを破ったのだ。
「価格は小売業が決める」
メーカーから価格決定権を奪うというのが「中内」の口ぐせだった。
その当時は両社とも創業者が元気でありました。
松下電器はダイエーに対して取引停止の対抗措置を取る。
それが長年続いた松下vsダイエーの戦争の一部であります。
解説
メーカーが価格を決めてくれたから「価格破壊」という言葉がある。
メーカーが作る商品の価値を壊すことで「店」の価値を上げるというもの。
店そのものに価値があるわけではない。
小売業が巨大化して価格決定権もすっかり変わりました。
生産者と消費者
小売業が消費者の味方という構図(イメージ)を作り上げ。
安く販売する小売店は消費者の強い味方みたいな。
国内で戦っている時代から国外で生産し価格差のある日本や先進国で売る。
世界の工場と言われた「中国」はその筆頭でしょう。
人件費の安いところへ企業は動く。
人件費=生産コストに直結する企業はそうなる。
メーカーが作るという単純なものではなくなってきた。
ひとつ、対照的な業界として、
自動車産業
家電産業
どちらも日本のお家芸みたいな強い企業群でした。
どちらも、内需をベースに世界に打って出た。
自動車と家電の違いはなにか?
自動車は資本関係はいろいろだが、今でも日本の基幹産業である。
家電はご承知の通りです。
国内でいえば、自動車は系列販売店で売るのが主流であり小売価格も「メーカー希望小売価格」というものが今でも存在している。
値引きとはその価格から引くことを意味している。
一方、家電の場合はどうか?
かつては、メーカー主導の系列販売店経由であったが、今では家電量販店が主力。
価格はオープンプライス。
小売価格の設定をメーカーがしないということ。
日本国内では韓国のクルマ、家電は売れない。
日本を除く外国では売れる。
韓国や中国の製品も自社ブランドで売るようになってきた。
それは、日本というお手本があるからやれた部分もある。
マネ、はっきり言えばパクリでよかった。
先頭ランナーになるとそうはいかない。
また、自動車産業は極めて裾野が広いので中小企業が育っていないと成り立たない。
さて、価格決定権ですが、国内では様相が変わってきました。
大型店舗へ自分で運転して買い物に行く。
持って帰る。
家電量販店も当日配達、取り付けサービスというものをウリにしているところも多くなった。
ネット通販で買えるもの。
ネット通販に移行できるもの。
まだ、全体消費の中での割合(シェア)は小さいがすごいスピードで成長しています。
PC、タブレットからスマホへ。
通販ということは配達がつきものであります。
全国を網羅しているのは大手数社のみ。
膨大なインフラとシステムが必要な業態です。
商品価格に占める物流費の割合。
日常のものほどその割合は大きいだろう。
米や水、ビールといった利益率の低いものほどそうだ。
しかも、そういうものがECサイトで売れる。
どうやら、価格決定権は通販を含む小売業から
物流会社に移行しているのではないか。
オムニチャネルという新しい試みもそこに行き着くのではなかろうか。
コンビニは店舗まで届くインフラを整備しているので、店舗から近所は配達あるいは取りに来てもらうということをやろうとしている。
あなたの会社は?
追伸
安いことが良いことか?
安いことは付加価値が少ないということ。
純粋な消費者なんていない。
皆、生産側というか供給側でもあるわけだ。
国内生産を止めて外国で生産する。
国内生産の付加価値は無くなる。
およそ20年続いたデフレで日本はどうなったか?
モノの価格が安くなるというのは収入が増えない人が増えることも意味する。
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