イリエカズヲBLOG Irie Kazuo's Blog

----- since October 5, 2010

日記『Brandon Ross / Stomu Takeishi Liv e in Tokyo on Dec 14, 2011 (Special Guest: Sotoyama Akira)

2011-12-16 | 日記
戦前ブルーズ、ロフトジャズ、ドビュッシーを繋ぐアヴァンギャルド王子、来日。

ブランドン・ロス(Brandon Ross, guitar, voice)が相棒のツトム・タケイシ(acoustic bass guitar)を伴って来日。
きのう、スペシャルゲストに天才パーカッショニスト外山明氏を迎えた「青山 月見ル君想フ」公演を観に行ってきました。

ブランドンはナイロン弦を張ったソプラノギターとスティール弦を張ったアコースティックギターを6対4の割合で演奏。
ツトムさんはクラインの5弦エレアコベースですが、これが60年代のゲイリーピーコッックを彷彿とさせる生々しい音色!(もちろん弾き手がすごい)
この楽器、テイラーから同タイプのものが発売されていたと記憶してます(ベーシストの方は要注目ですね)。

そしてステージの背景には、この店のトレードマークである大きな大きな満月が。

奏でられたのは、音を使った美術作品と申しましょうか、詩と申しましょうか。

ほとんどがテンポ・ルバートですが、そんなことは問題じゃなくて、もっとこう、より大きなまるいものに包まれているような。

僕はまるで自分が木の葉か雪片になったかのような錯覚をおぼえたのでした。

ときおりブランドンは歌うのですが、歌詞に耳を傾けてみると、その内容はとてもとても激しい詩。
しかし、声はあくまで清らかで、天使のようです。

自らの音楽に関するブランドン・ロス自身の言葉を紹介します。

「コードやスケールに基づかない、つまり音程やハーモニーを使って即興するという、とても自然な表現で、民俗音楽に由来するものだ。スキップ・スペンスがやってるようなこと、つまり“身振り(Gesture)”を使ったものなんだ。モダンな楽器を使っているんだけど、古いサウンド、空間を感じさせる響き…つまり、深さ、サイレンス、演奏についてのコンセプト、音楽と響きや音色の関係といったことを念頭に作曲した」(リーダー作『コスチューム』ライナーノーツより)

終演後、ちょいと楽屋にごあいさつ。

「そとやまさーん」
「おー、エリイくんじゃないか!入って入って。」
(「イ」と「エ」が逆転する長岡弁の話を憶えておいでの外山氏、ありがたいことにブランドンに紹介していただきました。)

「ブランドン。紹介するよ。エリイだよ。」
「やあエリイ。はじめまして。」

そとやまさんのおかげで僕の名前はエリイに決定・・・まぁいいか。

この日の感想をブランドンに伝え、アルバムの話、ツトムさんの音の話、その他楽器談義、音楽談義などなど。
ほんの短いあいだでしたが、ブランドンと直接語り合うことができてとても楽しかった。

そして伝えたかった「あなたは世界の音楽を変えた」ということばを本人に直接届けることができ、たいへん嬉しく思いました。
(Cassandra Wilsonの有名な2枚のアルバム"Blue Light 'til Dawn"と"New Moon Daughter"でブランドンがみせた革命的なアレンジが世界中の音楽に与えた影響の巨大さについて、音楽家は思いを馳せると思います。)

あ、そうそう、次回来日時は、あの大きなクラインアコースティックをぜひ持参したいとゆーてました。

おまけ。
所有するブランドン・ロス関連アルバム13枚。

▼Brandon Ross名義:

"Costume"

▼Harriet Tubman名義:

"I Am a Man"
"Treasure Hunt for the Prototype"

▼Cassandra Wilson名義:

"Blue Light 'til Dawn"
"New Moon Daughter"
"Glamoured"

▼Henry Threadgill名義:

"Spirit of Nuff...Nuff"
"Too Much Sugar for a Dime"
"Carry the Day"
"Makin' a Move"
"Where's Your Cup?"
"Everybodys Mouth's a Book"
"Up Popped The Two Lips"

▼Kip Hanrahan名義:

"A Thousand Nights and a Night (Shadow Night - 1)"

つまり僕は大ファンなのです。

『うたう作品集 森本千絵』

2011-11-30 | 日記
11月30日午前2時。
コミュニケーションディレクター、アートディレクター
森本千絵さんの11年間のアートディレクションを1冊に収録した
『うたう作品集 森本千絵』
を読みはじめて3時間。

とりあえず81/232頁まで読了。

ご本人の作品解説や制作にかかわった人達のインタビューのほか、
アイデアスケッチ、企画書、現場写真などなど、
メイキングの様子がふんだんに盛り込まれていて内容ぎっしり(英文対訳付)。

またよくある「作品集」と違い、時系列に並べずに8つのキーワード毎に分けて構成。

その目次は?というと・・・


1 ENまる
2 STORYおとぎ
3 FIRST LOVE初恋
4 FANTASY絵空
5 PHYSICAL BODYからだ
6 MOVEMENT走る
7 SOCIETYきっかけ
8 LOVE愛

と、このようになっております。


「作品集」とあるけれど

彼女がまえがきに書いたとおり、これはちょっとちがう本。

なんていうか、手紙に近い。

装丁に使われている絵は
小学校時代の図画工作の先生が描いてくれたものだとか。

このことから読み取れるのは
彼女が自分のアートディレクションを、11年という枠内でとらえてないってこと。

もしかしたら「自分の」という表現さえも、少しちがっているのかも知れない。


まだ読んでいる途中ですが
自分自身の過去と現在、そして未来のことを考えながら読みすすめています。

そういう気持ちにさせる本だね。

関連サイト: goen゜

2011年の青キャンを終えて

2011-10-11 | 日記
2011.10.8-9見附市大平森林公園で開催された4年目の『青空キャンプ』。
県外からやってくる出演陣に混じり、何げに初年度から毎年出演させてもらってます。

今年はチビカブトスのレギュラーの黒木雄一郎に加え
川上圭介、安斎理という二人の若い才能をプラスした「チビカブトス+」として出演しました。

プラスの二人は一般にドラム奏者として名が通っていますが、二人とも楽器にとらわれないマルチな才能を持っています。
今回は川上圭介にドラムスを、安斎理にエレクトロニクスを担当していただきました。

二人の飲み込みの早さは既に折り込み済み。
なによりもコンセプトを噛み砕きさらに前進しようとする二人の情熱を感じたひとときでした。

自分のような者にとってこうした情熱こそすべての基本。
若い二人に対し、この場を借りてあらためて礼を言いたいと思います。

そしてあの場にかかわったすべての人達にも御礼申し上げます。
どうもありがとう。


9.17『キャラママセッションデイ』

2011-09-22 | 日記
 東京から新幹線に乗り長岡に到着したのが夜9時前。その足でキャラメルママへ。

入り口入ってすぐのテーブル席に佐藤隆雄(sax)、斎藤弘靖(g)の"おばんざい"コンビ、そして法事で帰省中の金子央(g)。
ステージにはランス(vo,g)、スコット(kb)、そして挙式をあげたワイハーから帰って間もない燕市在住新婚ブルーズマン中田健(g)が演奏中。
カブリツキのテーブル席には川上圭介(ds)が普通にお客さんとして鎮座まします。
ちょっと前にblues scaleを覚えたばかりだというアメリカ人スコットの演奏がなぜか阿波踊りっぽく、むしろ健ちゃんがアメリカ人みたいなのはスコットの日本生活が長いせいか?それとも仕込みのドンカマのせいか?などとどうでもよいことを考えてみたりした。

ギネスを一杯飲んだあと楽器を取りに行って再びお店へ。
健ちゃんがいると斎藤くんの演奏も自然とアグレッシブな感じが出てくる。
そんな中俺もジャムセッション参加。せっかくB.B.KING様のお誕生日だというのにちっともそれらしいものを演奏せず、確かビル・ドゲットのオリジナル「ホンキー・トンク」から始めたんだっけか?
お手本はガッドギャングで来日した時のコーネル・デュプリー。
ギター一本で始まる超シンプルなイントロなんだけど、リラックスしつつもこれぞグルーヴ!まるでリズム隊いらず。
当時あのノリを出したくて繰り返し繰り返し真似たっけ(←遠い目)。

健ちゃんと久しぶりにセッションできたのも嬉しかったし、たまたま法事で帰省してた東京在住スタジオギタリスト金子央と一緒に弾けたのもよかった。
央は斎藤くんのギターを借りての演奏。素晴らしい楽器と称賛。
しかし央ってよくうねるギター弾くよなぁ。健ちゃんは間近で観るのが初めてだったらしく「デビTそのものじゃないですかっ!はふー!!」とえらく感心していた。
俺は央に煽られてスティーヴィーのハイアーグラウンド(もどき)を演ってみたり、タモリ倶楽部のテーマソング「Who Wears Short Shorts」(もどき)を思いついて演ってみたり。楽しかったなー。

央へ。毎月第三土曜に帰ってこーーーい!

8.28『とんちさんとROJO で』

2011-09-05 | 日記
福岡アンダーグラウンド界の帝王と異名をとる天才「とんちピクルス」の鈍行ツアー長岡公演二日目。
会場の「ラテンバールROJO」は、神戸出身で世界放浪の旅路の果てに長岡に辿り着いた実に奇特な男リキの店。
真っ赤に塗られた壁にチェ・ゲバラの肖像、陽気なキューバンミュージック、そしてその音楽に負けじと陽気な店主。
まさにとんちピクルスのライブにうってつけの場所だ。

とんちさんが長岡にやってきたのは、今回のツアーで三回目。
前日、水道公園で開催された野外ライブ、信濃川夕焼け音楽会にご出演。
僕はまだ新幹線の中で観ることかなわなかったから、この日を本当に楽しみにぷらぷら散歩していたところが!道端でとんちさんと遭遇、僕が持っていたギターケースを一瞥し

「よかったら一緒に演りませんか」

やらいでか!というわけで突然のゲスト出演が決まった。

とんちさんのショーは休憩をはさみ二部構成。クスリとほくそ笑んだり、ゲラゲラ笑ったり、ホロリとくる目頭をおさえたり。本当に本当に魅力的な楽曲達とパーソナリティ。

僕は前半2曲、後半2曲、都合4曲も参加。知ってる曲は2曲だけだったけど、会場のムードにも後押しされ、とてもリラックスして臨むことができた。うまく融けあうことができたかな?
それにしても名曲揃いのとんちさんの楽曲を奏でるのは幸せ冥利に尽きます。また是非共演したいなあ。

とんちさん、ありがとう!
◇◇◇

8.27『信濃川夕焼け音楽会』

2011-08-31 | 日記
連続30時間勤務を終え新幹線の座席につくなり爆睡、危うく乗り過ごしそうになりながら長岡着。支度を整え会場へ着いたのは6PM。もはや息も絶え絶えだが、なんとか本番に間に合った。おー、お客さんも去年の倍以上入ってるぞ。

水道公園の場所は信濃川の畔、長岡市民なら誰もが知ってるモニュメント「水道タンク」が目印。敷地内には明治時代を彷彿とさせる建造物もあったりして、なんだか長岡らしくないほど美しいところである。
この「夕焼け音楽会」には昨年から参加させてもらってるが、俺なんかの世代が「夕焼け~」ときくと「~ニャンニャン」と反射的反応を示す。せっかくの美しい公園を前にしてどうかと思うが、ま、致し方あるまい。

出番は7:30PM頃。ステージは明るく照らされているのだが、既に日没過ぎ、辺りは真っ暗で客席にいるお客さんの表情がまったくわからない。なんだか夜の海に船を浮かべてるようだ…なんつってなかなか俺もオツなことを考える。

今回のチビカブトス(イリエカズヲ×黒木雄一郎)+稲田伸太郎という組み合わせは、考えてみたら丸一年ぶり。などと感慨に浸る暇はもちろんなく、いつものように集中して即興音楽を奏でる。手持ち機材にトラブルもあったりして、なかなかのスリル。これぞ人力ジェットコースターだ。
そして稲田伸太郎という希有な才能が生んだ名曲「サカナ」へシームレスにつなぐ。お、クロちゃんが気の利いたことやってるなぁ。ちょっとみない間にまたスゴくなっとる。俺の周りは才人だらけで、自分はほんと助けられてるし、恵まれてるなぁと感じる。
なんかリンパ腺が腫れてることを忘れるほど気持ち良かった。

この日福岡のとんちピクルスさんのステージに間に合わずみれなかったのは残念だが、翌日の彼のワンマン・ライブを楽しみに打ち上げの酒を飲んだ。即効で気絶した。

8.7 『ダブルヘッダー:音食(ねじき)/音食(おんしょく)その二』

2011-08-16 | 日記
音食(ねじき)から音食(おんしょく)へ

19:30過ぎに稲田くんと音楽食堂へ移動した 

高橋 直人」 
ステージでは新潟のシンガーソングライター高橋 直人さんが歌っていた 
なんだか茶目っ気みたいなのが滲み出てるフレンドリーな雰囲気を持った人 
こちらがあわただしく注文などしているうちに演奏終了 次回はゆっくり聴いてみたいな 

「鹿」 
長岡界隈では言わずと知れた元「鹿ライオン」の鹿くん 
相変わらず歌うまい 
次回はバンド形態でのライブを考えていて
そのメンバーにチビカブトスの相方 黒木雄一郎(kb)が入るらしい 
不思議な話だけど この日鹿くんの音楽からバンドサウンドが聴こえてきたのです 

稲田伸太郎
独りステージに立つ稲田くん 
客席から稲田くんの歌を聴くのは久しぶりだ 
内側からはもちろんだけど 外側から気づく感覚もあるんだなー 

しばらくするとお呼びがかかり 竹太鼓とガンザを持ってステージへ 
さっき耳にした感覚を混ぜてみると とても面白かった 

ここ音楽食堂でもありがたいことにお客さんが盛り上げてくれて
おかげでとってもリラックスして演奏できた サンキューです 

No Miss Guitars(のみすぎたーず, SHIBA & TAKE)」
SHIBAと知り合って10年ほど経つだろうか 
場所はもう死んでしまったろくでなしがやっていた店「キングスネイク」 
二人でジャムったとき SHIBAのあまりのギターのうまさに舌を巻いた 
カントリーブルーズを間違いなく通ってきているのだけれど 
自作曲ではその臭いをおくびも出さないことにとても感心した 
背中を追いかけるだけじゃ駄目なんだってことをこの男は知っているのだ 

TAKEちゃんとのコンビを観るのは二度目だけれど 
今じゃまるで双子みたいに互いのことがわかるんだなって思った 
激情的な曲をいくつか続け やがてみんなが笑顔になるような感じに持っていく 
実にドラマチックでしたわ わおわおー 
 
----------------
ライブ予定
----------------
◇8/20(土) キャラメルママセッション
キャラメルママ
長岡市城内町2-5-6 
TEL : 0258-34-5033
※要オーダー、願わくば投げビールも
※ライブは8pmから イリエは少し遅れて10pm頃会場入りします

◇8/27(土)
第8回信濃川夕焼け音楽会(*無料)
日時: 2011.8.27(sat.) 4 PM~ 8 PM
会場: 長岡市水道公園 (土手側特設ステージ)
*雨天の場合:田中組自宅駐車場 (水道町2-3-10)
16:00 カモネプ
16:30 小林光男
17:00 アンド・モア・・・
17:30 とんちピクルス
18:00 としひこ(尺八)
18:30 藤井たかゆき+藤間富三
19:00 稲田新太郎+チビカブトス(イリエカズヲ×黒木雄一郎)+川上圭介
19:30 Soul Loose
主催: NPO信濃川学校
<お問い合わせ>
NPO信濃川学校副代表 権藤一弥  
TEL.0258-33-8271

◇9/4(日)4pm~
オープンマイク@JazzCafeねじき 0258-36-7655
※チビカブトスPlus、他

◇9/24(土)詳細後日!
音楽食堂 8周年企画
出演:
モアリズム / JSGシスターズ / 稲田伸太郎イリエカズヲ /他


8.7 『ダブルヘッダー:音食(ねじき)/音食(おんしょく)・その一』

2011-08-13 | 日記
今回は長文ですよ(笑)

8月7日(日)。
毎月第一日曜恒例のJazzCafe音食(ねじき)オープンマイクに参加。
4pm開始のところ到着が遅れ、最初に出演された「十字路CEOL」さん(ボタンアコーディオン奏者)を観れずじまい(残念)。
ってことで「長谷川裕二」さんの後半から観させていただいた。

長谷川裕二
ご自身のバンド「エンターテイメント・ブルース・ショウ」や、ゴスペルクワイア主催のBro.タイスケさんと組んで活動されてる新潟市在住のギター講師。
このオープンマイクには第一回からレッスンの合間をぬって参加してくれている。
この日もドブロを抱えてロバート・ジョンスンの"Love In Vain"をスライドプレイ弾き語り。
持ち前のエンタメキャラがお客さんを引き込んじゃうから、Bluesに馴染みのないお客さんにとっても、かっこうの案内役じゃないかと思う。

======
豆知識
======
ついでといってはナニですが、ロバジョンの入り口としてはイキナリ聴いてみるのもよいけど、ノイズばかりでよーわからんって人もいるかもね。
そんな皆さんにオススメしたいのが映画『クロスロード』(ベストキッドのラルフ・マッチオ主演)、そして漫画『俺と悪魔のブルーズ』(著者は「あごなしゲン」の平本アキラ)。

『クロスロード』…いまだ知られざるロバジョンの未発表曲を探して老ブルーズマンと旅に出る少年の話。まぁブルーズファンからしたら、ラストの展開が三枝師匠よろしく椅子から転げ落ちること請け合いなのですが(笑)それを差し引いて観ればとってもよいロードムービーだと思う。
ちなみに音楽はライ・クーダーが担当し、劇中のギター・トラックも主にライの吹き替え演奏。ジム・ケルトナー、ネイザン・イースト、ヴァン・ダイク・パークス等も演奏で参加、スティーヴ・ヴァイがギタリスト役で出演、終盤のギター対決シーンでは主人公のギター演奏の最後の部分も、スティーヴが吹き替え演奏。

『俺と悪魔のブルーズ』…(←ズと濁るところがいかにもなのね)ギターの腕と引換えに悪魔に魂を売り渡す契約を交わす主人公。「あごなしゲン」では類例のないギャグ漫画を展開した著者。優秀なお笑い芸人同様、「笑い」をよく知ってる人=人間観察の達人だから、シリアスな物語を描いても、こちらにリアルに迫ってくるのですよ。
悪魔との契約を交わしたあと酒場で取り憑かれたようにギターを弾く主人公が我にかえったとき、既に数ヶ月家を空けていたというエピソードは音楽のダークサイドをよく表現していると思う。

以上、豆知識コーナーでした。ではライブレポに戻ります。

_/_/_/

安斎理(あんさいおさむ)」
次に登場したおさむくんは大学生。既に新潟ジャズシーンで一目置かれてる存在で、まだ若いのにセンス溢れるドラムを叩く。いわば「飛び級」ミュージシャン。
そして更に凄いのが、百科事典みたいにあらゆる音楽に精通していること。
この日はまさにそれを証明してましたわ。
持ち込んだのは一台のサンプラー。
即興的MIXを披露、一瞬たりともノブを操る指が休まることがない
ドラム奏者としても大した腕前なのに、こりゃすごい。まさに未来形をみた思いがする。
はっきり言って我がチビカブトスに引っ張り込みたいわ。フッフッフッ。

「某大学生」
続いて登場したのがこれまた驚愕の一人芸『ヒューマン・ビート・ボックス』を披露した大学生(名前を訊き忘れた)。
いわゆるヴォイス・パーカッションにスクラッチ音やハミング、効果音などを加えた高度な技にお客さんも大興奮。
でも一番印象に残ったのは彼の卓越したグルーヴ感でした。
そこが身体に染み込んでいるひとは本物のドラムを演奏する人でも案外少ないと思う。

「山崎直子(vo)と斉藤弘靖(g)デュオ」
実はとっても楽しみにしていたnaoちゃんとさいとうくんのデュオ。
なんでかっていうと、さいとうくんには珍しく「自分としっくりくるボーカル」と自画自賛。
そしてnaoちゃんは、以前バスカーズってバンドで観たことあるから。
初めてこの二人の組合せを聴いて、さいとうくんの言ってることがよくわかった。
声のトーンとギターのトーンが互いを消し合ってるケースって巷に多いんだけど、この二人は違う。
加えていうなら、今まで聴いたさいとうくんのギタートーン、この日がベストだったな。
まだライブ2~3回目っていうから、これからもっとすごくなるって確信しました。

「おばんざい」
馬車馬(種馬?)サキソフォン奏者・佐藤隆雄×斎藤弘靖のデュオとして生まれたおばんざいは、毎月第三土曜日恒例のキャラママセッションから生まれたユニットで、もはや長岡や県央界隈ではすっかりお馴染み。
何気に久しぶりに観たんだけど、ドラム(つってもハット&スネアのみ)が加わって深化してるではないですか!!
あえてベタな選曲ってのも好感度高し、です。

「JSGシスターズ」with渡辺正樹(g)+名古屋スリム(p)
JSGシスターズはBro.タイスケさん率いるジョイフル・スプリング・ゴスペル・クワイアの若手選抜チーム。
生き生きと歌う姿がなかなか感動的で、何気に黒いボイスを持ったリードシンガーがいたりするんだよね。
かつての(30年位前)長岡のバンド事情ってBlues色の濃いものだったんだけど、いつしかそういう色が少なくとも表面的には失われて久しい。
だけどどっこい生きてるってことを彼女達やワキを固める正樹さん、名古屋くん証明したのだよ。

稲田伸太郎(vo, g)+イリエカズヲ(per)
最後に演奏したのは我々二人。
なんかお客さん盛り上げてくれて楽しかったです。
いつものように打合せまったくなし、ぶっつけ本番、このスリルが堪らない。

そしてこの日の我々二人はダブルヘッダー、音楽食堂に移動するのでした。
(以下、次号)

8.6『縁日 - 着物屋「縁」浴衣パーティ』

2011-08-12 | 日記
稲田伸太郎のニューアルバムのデザイン打ち合せにお邪魔する。
到着した頃には既に打ち合せにケリがついていて、デザイナーや稲田くんと三人でビールを飲みながらまたーり。

その後稲田くんと二人で先日移転パーティでお世話になったばかりの着物屋「縁」の浴衣パーティ『縁日』へ。

DJ集団ハローズが会場を盛り上げ浴衣女子が踊るの図。
浴衣女子もええのんですが、僕のお目当てはお久しぶりのジャムバンド、Hed Makersのライブ。
みんな元気そうで何より。
この日はサックス奏者の佐藤隆雄がゲストミュージシャンとしてステージに加わってた。

ヘッドメイカーズの演奏は独特で、ドラムはソリッドなリズムを刻むんだけど、ベースは音を置いていく感じ。
この関係は二本のギターも同様で、いわゆる典型的グルーヴとは異なるユニークさを際立たせていると思う。

終演後はどうもお腹の調子がいまいちなので挨拶もせず早々に引き上げた…つもりが路上で出くわした素敵女子達に拉致されデスパへ。
ところが店内では、とある常連客のぼやきを肴に苦笑い酒、全然艶っぽくない(笑

7.30『渋谷毅(p)×市野元彦(g)@二子玉川ライラ』

2011-08-01 | 日記
蒲田から東急線を乗り換えながら30分、前日に引き続き二子玉川のバー・ライラへ。
ドアを開けると、いきなり店主と目が合う。互いに違う大学に通いつつ同じジャズ研の後輩だった男だ。

「あれぇ?長岡に帰ったんじゃなかったの?」

店主の素っ頓狂な声でこちらを振り向いたのは、この日出演のギタリスト市野元彦さん。
どーもどーも、と満面の笑みを向けてくれてとっても嬉しくなった。
長岡で逢ったのはほんの二週間前のことだ。

「いやーあの豪雨だから。今日は帰らないほうがいいって地元から忠告もあってさ」

まぁこのライブを観たかったってのがホントのとこなんだけど。
大御所の中の大御所ピアニスト/作曲家/アレンジャーの渋谷毅さんも僕に気づき、わざわざ席を立って笑顔で握手の手を差し伸べてくださる。
現在72歳の渋谷さんはまさに戦後日本のミュージックシーンを担ってきた最重要人物のひとり。
更にすごいのは、いまもって現役の最前線で活躍されていることだ。
まさに雲の上の存在なのに気さくすぎる。勿体ない。でも感激!
ビールを頼み、奥の"ディレクターズ・シートに陣取る。

ライブは休憩をはさんで2時間弱。
スティーヴ・スワロウの曲を「ポー・ドゥース」含め2曲、 
リー・コニッツ「サブコンシャス・リー」、 
スタンダードの「ボディ・アンド・ソウル」…あとはすべて市野さんのオリジナル曲だ。
演ろうとするとすごい難曲ばかりなんだけど、この二人はそう感じさせない。

ピアノとギターのデュオといえばビル・エヴァンスとジム・ホールの「アンダーカレント」が有名だけど、
あのアルバムからほぼ50年を経て、"ポスト・アンダーカレント"とでも呼ぶべき至高のインタープレイが目の前に。
もうね、ピアノとギターというより、二つでひとつの楽器なんだ。
そして二人の対話に耳を傾けてると不思議と開放されるんだなこれが。

市野さんの曲「ピクニック」はビートルズとバッハの融合がテーマなんだそうだ。
そしてこの夜最後の曲「フォーク・ソング」。
切なくて、切なくて、やがて救われる。
音楽を聴いてそんな気持ちにさせられるなんて、僕にしたら珍しいことだ。

終演後、市野さんとしばし談笑させていただいた。
バークリー時代に師事されてたミック・グッドリック先生の裏話やら、僕のギターのことやら、楽しかった。
そうそう、この夜はギタリストの宮野弘紀さんがボーカリストでもある奥様と二人で遊びにいらっしゃった。
宮野さんは市野さんのことを日本で一番好きなギタリスト、とおっしゃってました。
最近はピアニストのファビアン・レサ・パネさんと仕事してるとのこと。
「僕、大好きです。なんであんな音色が出せるんだろう?」と言ったら、その秘訣を明かしてくださいました。
その秘訣とは…内緒です(笑)

当日、豪雨に見舞われた我が故郷のことを思うとなんだか申し訳ないような気もする。
だけどこの日たっぷりもらったものを栄養にして、いい音楽を創ってお返しできたら、なんて思うのです。


さて、イリエカズヲの次回ライブは8月7日4PM開演のオープンマイク!
場所は渋谷さん、市野さんも出演された、JazzCafe音食(ねじき)です。
1オーダー500円+見学料500円。
おなじみ稲田伸太郎と二人で出ます。出番はトリ、6時半くらいかな。
どうぞお気軽に観にいらしてください。