一庵 (ひとつあん)

飛べないライター『いたっきい』の愚行をさらしています。

※普段ハtwitterニ居リマス。

津軽旅行記Vol.2 (青函トンネル記念館)

2006-09-09 | 旅行・見学

 

竜飛崎。
この地下には、53.85kmにおよぶ世界最長の海底トンネルが通っている。
このトンネルの建設当時の基地、その跡地に建てられたのが青函トンネル記念館だ。

 
 青函トンネル記念館

記念館付近には段々畑のような山肌が残っているが、これは建設当時の事務所や作業員の宿舎の跡地。
本当にこの世の果てのようなさびしい光景だ。

記念館には、巨大なトンネルの立体模型をはじめ、建設時のエピソードや掘削技術の紹介パネルなどがズラリと並ぶ。知れば知るほど驚くことばかり。
ムダ知識マニアのいたっきいも地味な展示物に大興奮。

 
 施設内にあった構造図

さて、この青函トンネル記念館の最大の目玉は、ケーブル斜坑を下って竜飛海底駅付近の作業坑まで見学に行けること。そこは実に海面下140mにも達する。
もしかしたら一般人が簡単にいける場所としては、日本最深の場所かもしれない。

当然、体験坑道の見学コースを申し込む。そのためにここまできたようなもんだし。

乗車時間になる。
ケーブルカー乗り場へ移動する。
乗り場の巨大な建物の出入り口は、頑丈な隔壁で仕切られている。
ケーブルカーが走る斜坑を通じて、ここから青函トンネル内に大量の空気を送り込んでいるからだ。
これはトンネル内の換気を行うためで、ここと北海道側の吉岡斜坑から毎分3800立方メートルもの空気が送り込まれている。こうして青函トンネル内では常時約1m/sの風が中央から両出口方向に吹いていて、絶えず換気されている。
つまり、この乗り場から外へ空気が抜けると、トンネルの換気ができないというわけだ。

 
 ケーブル斜坑を下るケーブルカー「もぐら号」

ちなみにこのケーブルカーは、日本一短い私鉄だったりする。
その名も「青函トンネル竜飛斜坑線」。
日本一という言葉になんとなく弱いいたっきいは、こっそり感激していた。

さて、いよいよ出発。
乗り場の出入り口の隔壁が閉じられ、次にケーブルカーの進路上の隔壁が開き始める。
瞬間、トンネルから逆流してきた加圧された空気に耳が圧迫される。気圧が上がったのだ。

 
 隔壁が開き、加圧された空気で耳が圧迫される

ケーブルカーはゆっくりと斜坑を下りはじめる。
終点は遠すぎてまったく見えない。
トンネル内部に、ケーブルカーが走行中であることを知らせるためだろう。一定間隔でピコーン、ピコーンという音を流しながら、9km/hで斜面を下る。

 
 一直線に続くケーブル斜坑

ちなみに、線路と並行している階段は、なんと2247段もあるらしい。。。
ケーブルカーの乗客は、常識はずれの光景と好奇心、海面下140mという大深度に降りるという本能的な不安に、あまり声を発することもなくただ前方を眺めている。

 
 定員15名のもぐら号の内部

9分後。
海面下140m、体験坑道駅に到着した。
9月の青森と、気温はあまり変わりない。しかし湿度は高い。
ここは年中通して気温約20℃、湿度は80~90%とのこと。
夏に来れば涼しく、冬に来れば暖かく感じるはずだ。

 
 奥は斜坑、手前は作業坑

今は使われていない、朽ちた線路があった。
朽ちたとはいえ、風雨にさらされないこの場所ではきれいな外観を保ったまま。
ここは建設当時、地質調査や工事に携わる関係者と、資材・機械の搬入、ズリ(掘った岩石)の運搬、また排水に使われた。

少し歩くと、作業坑に出た。
作業坑は本坑(列車が通っているトンネル)の正横30mの場所を、本坑と平行に通っているトンネルで、ところどころに本坑とつながる通路がある。
天井には電力線のほか、消火用の真水を通すパイプ、トンネル内に湧き出る水を排水するパイプが通っている。

 
 青函トンネルと平行に走る作業坑

なお、作業坑には線路もあるが現在は使われておらず、保守点検は通常のディーゼルエンジンのトラックまたは自転車で移動して行うとのこと。
どこまでも続くトンネルにめまいがしそうだった。

また、作業坑と本坑をつなぐ一部のトンネルには、建設当時の機材や、建設時のエピソードを記したパネルが並べられ、音声ガイドによって説明を聞くことができる。

 
 トンネル開削に使用した機材などが展示されている

それにしても、聞けば聞くほど息が詰まりそうな話だった。三回あった大規模出水の話なんてもう・・・
建設作業員の苦労や恐怖が、少しだけわかった。

見学コースは、本坑のすぐ手前まで行くことができる。

 
 扉の奥は、JR海峡線「竜飛海底駅」

地上からは想像もつかない巨大な地下施設が、そこにはあった。
しかし、見ることができたのは、この巨大な施設の1%未満に過ぎない。
あらためて青函トンネルの規模と技術力の高さを思い知った。

約45分の見学コースを終えて、またケーブルカーで地上に戻る。
今度来るときは、海峡線に乗って竜飛海底駅で下車する見学コースに参加してみたいと思った。

 

つづく。

 


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