今年は家人の退職などのわかっていたけれども大きな変化もあり、急に起こったこともありで、なかなか色々とあった年でした。
人生を過ごしていると思いがけないこともあるわけで。
そんな今年の私が一番心の中で大切にしていた言葉は「ネガティブ・ケイパビリティ」でした。
この言葉を知ったのは2011年に読んだ箒木蓬生さんの『ネガティブ・ケイパビリティ』
「答えの出ない事態に耐える力」でした。
この本を読んだのはもう三年も前だったのですね。
まだコロナの時代だったし、股関節の手術をしたばかりの時でした。
コロナの時のなんとも言えない出口の無いような空気感の中で読んだこの本にとても共感しました。
生きている中で、黒白付けられることとか答えがはっきり出ることの方が少なくて、多くの事柄にはっきりとした答えを求めるのは無理。
そのはっきりしない事をそのまま置いて置いて、待つことができるか?ということ。
私はもともとせっかちなので、ぱぱっと答えを出したくなるけれど。
物事はそんなに単純に答えは出ないし、先のことはどうなるかわからないし、他人のことはもっとわからないし、思った通りになることの方が少ない。
そんな中で、答えの出ないことについて、白黒つけずに待つこと。
これはなかなか難しいけれど、そのためには物事を俯瞰的に見て、多様な考え方を知り、決めつけないことが大切かなと思いました。
今年になってからもう1冊、この考え方をさらに深く書いた本を読みました。
『ネガティヴ・ケイパビリティで生きる』 谷川嘉治/朱喜哲
副題が「答えを急がず立ちどまる力」
即決即断をよしとする世界にますますなっていく現代だけれど、不測の事態や色々な問題に直面した時に即断せずにわからないならそのままに留めて考え続ける力を持つこと。
特に先行き不透明な変化に満ちた現代の世界においては特に必要なことだということで、こちらは学術的に語っている本でした。
ちょっと難しかったけど、なるほどなと思うところも多かった。
きちんと理解したかどうかはわかりませんが、私の中ではネガティブ・ケイパビリティを意識することによって、自分ではどうしようもないことに対峙した時に、それに対してすぐに嘆いたり悩んだり答えを出したりしようとせずに、なるべく俯瞰的客観的に見てすぐに結論を出さないようにと思うようになりました。
すごく簡単にしたら、「とりあえず、今は曖昧なまま置いとこう」
村上春樹的には「やれやれ」かなと。
私は村上さんの「やれやれ」がそんな風にに思えるので好きだったのかもと腑に落ちたところがありました。
ネガティブ・ケイパビリティを意識していることで、色々と待つことができているような、できなくてもそういう方向で考えている気がします。
来年もこの言葉を心に留めていこうと思います。