
”きこりのしみやん”がいうことにゃ、
暑けりゃ、木だって汗をかくと。
水をいっぱい吸い上げて、葉っぱの裏から、蒸発させる。
木だって暑けりゃ、蒸れてきつい。
水分を循環させて、涼しくいられるように、しているんだと。
だから、真夏の森は、木のかく汗で、しゅわっと涼しい。
栄養もきつく、環境もきついと、樹脂も多く、締まった木になる。
切り株を見ると赤身といって、ああ、この頃にはきつかったなあ、ずうっと、きつかったなあ、
と、わかるんだそうな。
今年のように、雨も霧も多ければ、木はとっても過ごしやすい。
ふんわりとした木に育つ。
建材にするには、頼りないかなあ。
そういえば、南洋の木は、柔らかい。

ますます色黒になった”きこりのしみやん”、
小学生のキャンプで、はしゃいできたそうな。
依頼があると、小学生のキャンプに派遣される、静岡県環境学習指導員だからだ。
場所は、静岡市の奥にある玉川キャンプ場。
ヒルのメッカだといった。
実は、ヤマビルはなんの刺激もなく吸血するので、気付かないことが多いのだそうだ。
痛くもなんともない、そおと忍び寄って、こっそり張り付き血を吸い始める。
ちゃんと情報が行き届いているので、子供たちに被害はない。
ヒル避けのために、ズボンの裾は、靴下の中に入れる。
そうしてから、裾の部分に荒塩をすり込んでおく。
そうすれば、さすがのヤマビルも吸い付けない。
それでも、もしもの時には、エアゾール系のスプレーをシュッ。
これで、ポロリといちころに剥がれ落ちる。
その後の手当ては、バンソウコウ。
ヤマビルは、血を凝固させない成分を出しているので、血が止まりにくい。
しばらくの間は、バンソウコウで、ぴちっと止血。
かさぶただって、柔らかくって、すぐにまた血が流れることもあるんだって。
なかなか曲者、ヤマビル。
ある日、山から帰ったしみやんに、子供が言ったそうだ。
「お父さん、足跡がついてるよ」
知らぬ間に、ヒルが吸い付き、血が垂れて、赤い足跡つけながら、家を歩いていたそうな。

しかし、嫌なやつだ、いないほうがいいと思うかもしれないけど、
そこはそれ、”きこりのしみやん”。
世界には、ないほうがいい物はないんだよという。
東南アジアでは、このヒルを使った治療がある。
肩こりなどには、ヒルに汚血を吸わせて、ラクにするんだと。
ヒルの、血を固まりにくくする成分の研究で、新しい病気の治療薬も開発されているんだと。
そうか。
もっとも、キャンプ場は、ヒルの住処にこちらがお邪魔するところ。
よくよく、準備をしておけばいい。
「ああ、そういえば、ね」
”きこりのしみやん”がいうことにゃ、
夏場にますます嫌われる、水虫だって、地球上に必要だなんていっている。
水虫菌は、白癬菌。
彼らが果たす役割は、とても重要なんだと。
動物が、昆虫を食べたフンには、昆虫の羽根や甲羅や、残骸が残る。
毛皮や髪も、溶けずに残る。
もしも白癬菌がいなかったら、地球上は、残滓の山。
彼らは、全部、溶かして分解して歩く。
「ホラね、地球上に、必要でないものなんて、いないんだね」

”きこりのしみやん”にも、悩みはある。
いま、環境教育なんていって、何かの知識を子供に与えることは、
果たしていいのだろうか、と考え込む時があるんだそうだ。
小さい時から、川で泳ぐ。
そうしていれば、川でまた泳ごうと訪れた時に、泳げなくなってきた川を見て、気付くはずだ。
せみのなきごえの中、虫取りをした森があれば、またそこを訪れた時に、虫の不在に何かを感じるはずだ。
与えられた知識は消え去っても、体験した情動は、消し去れない。
自分たちで、何かを掴んでくることが、やっぱり始めの一歩なんじゃないか。
悩みながら、”きこりのしみやん”は、また山に向かう。
仲間と一緒に、森こそ郷土、と森を遊ぶ。
*しみやんのいる森林療法研究会・静岡
*一緒に活動するNPO森林インストラクター静岡
暑けりゃ、木だって汗をかくと。
水をいっぱい吸い上げて、葉っぱの裏から、蒸発させる。
木だって暑けりゃ、蒸れてきつい。
水分を循環させて、涼しくいられるように、しているんだと。
だから、真夏の森は、木のかく汗で、しゅわっと涼しい。
栄養もきつく、環境もきついと、樹脂も多く、締まった木になる。
切り株を見ると赤身といって、ああ、この頃にはきつかったなあ、ずうっと、きつかったなあ、
と、わかるんだそうな。
今年のように、雨も霧も多ければ、木はとっても過ごしやすい。
ふんわりとした木に育つ。
建材にするには、頼りないかなあ。
そういえば、南洋の木は、柔らかい。

ますます色黒になった”きこりのしみやん”、
小学生のキャンプで、はしゃいできたそうな。
依頼があると、小学生のキャンプに派遣される、静岡県環境学習指導員だからだ。
場所は、静岡市の奥にある玉川キャンプ場。
ヒルのメッカだといった。
実は、ヤマビルはなんの刺激もなく吸血するので、気付かないことが多いのだそうだ。
痛くもなんともない、そおと忍び寄って、こっそり張り付き血を吸い始める。
ちゃんと情報が行き届いているので、子供たちに被害はない。
ヒル避けのために、ズボンの裾は、靴下の中に入れる。
そうしてから、裾の部分に荒塩をすり込んでおく。
そうすれば、さすがのヤマビルも吸い付けない。
それでも、もしもの時には、エアゾール系のスプレーをシュッ。
これで、ポロリといちころに剥がれ落ちる。
その後の手当ては、バンソウコウ。
ヤマビルは、血を凝固させない成分を出しているので、血が止まりにくい。
しばらくの間は、バンソウコウで、ぴちっと止血。
かさぶただって、柔らかくって、すぐにまた血が流れることもあるんだって。
なかなか曲者、ヤマビル。
ある日、山から帰ったしみやんに、子供が言ったそうだ。
「お父さん、足跡がついてるよ」
知らぬ間に、ヒルが吸い付き、血が垂れて、赤い足跡つけながら、家を歩いていたそうな。

しかし、嫌なやつだ、いないほうがいいと思うかもしれないけど、
そこはそれ、”きこりのしみやん”。
世界には、ないほうがいい物はないんだよという。
東南アジアでは、このヒルを使った治療がある。
肩こりなどには、ヒルに汚血を吸わせて、ラクにするんだと。
ヒルの、血を固まりにくくする成分の研究で、新しい病気の治療薬も開発されているんだと。
そうか。
もっとも、キャンプ場は、ヒルの住処にこちらがお邪魔するところ。
よくよく、準備をしておけばいい。
「ああ、そういえば、ね」
”きこりのしみやん”がいうことにゃ、
夏場にますます嫌われる、水虫だって、地球上に必要だなんていっている。
水虫菌は、白癬菌。
彼らが果たす役割は、とても重要なんだと。
動物が、昆虫を食べたフンには、昆虫の羽根や甲羅や、残骸が残る。
毛皮や髪も、溶けずに残る。
もしも白癬菌がいなかったら、地球上は、残滓の山。
彼らは、全部、溶かして分解して歩く。
「ホラね、地球上に、必要でないものなんて、いないんだね」

”きこりのしみやん”にも、悩みはある。
いま、環境教育なんていって、何かの知識を子供に与えることは、
果たしていいのだろうか、と考え込む時があるんだそうだ。
小さい時から、川で泳ぐ。
そうしていれば、川でまた泳ごうと訪れた時に、泳げなくなってきた川を見て、気付くはずだ。
せみのなきごえの中、虫取りをした森があれば、またそこを訪れた時に、虫の不在に何かを感じるはずだ。
与えられた知識は消え去っても、体験した情動は、消し去れない。
自分たちで、何かを掴んでくることが、やっぱり始めの一歩なんじゃないか。
悩みながら、”きこりのしみやん”は、また山に向かう。
仲間と一緒に、森こそ郷土、と森を遊ぶ。
*しみやんのいる森林療法研究会・静岡
*一緒に活動するNPO森林インストラクター静岡
そう、この世の中、太古の昔から受け継がれてきた自然の中には不必要なものはひとつもないのですよね。
神が望んで意味を持たせて創ったもの。
その意味と役割をきちんと理解することが
大事なんだなぁって改めて思いましたよ。
小さな環境とのふれあいと
祖から生まれる感動はいろんな意味で
子供たちの人生を変えると思います。
そういう活動を続ける人が
一人でも二人でも増えていけばいいのにね。
ただし、実験は、施す手が既に実験に含まれていることを気付かないと、ほんとのところが見えないっていうジレンマ。
彼らのように、やってる人の言葉には、まったくかないません。