会場のブースにて
2017.9.10ハムの集い
SRA(super rad antenna)の紹介と留意事項
動作原理(原理は当局が分かった範囲で説明致します。)
ファラデーの法則を利用しています。 MHzオーダーで励振したコイルに発生する磁束を、シリンダにあてると電磁誘導を起こし高周波誘導電流(渦電流)が発生するのを利用します。 発生した高周波誘導電流を、シリンダから効率よく電磁波として放射するようにしています。
別の考察として、一次側コイルを高周波で励振し二次側コイルをショートすると、二次側コイルに大きな高周波誘導電流が流れます。シリンダはショートしたワンターンコイルとみなせますので、MHzオーダーの高周波誘導電流を、シリンダから良く放射するようにしているものです。
≪IHクッキングヒーターは、20k~100kHzの周波数で誘導加熱を極めた製品ですが、SRAは共振作用等を使い電磁波の放射を追及しています。≫
作り方
1.シリンダは、銅材かアルミ材を使用する。 絶対に鉄やステンレスは使用しない事。
(銅板を円筒形にして半田付けするか、ジュース・ビール等の空き缶、制汗剤の空き缶でも可)
2.共振コイルのボビンは、ポリプロピレンやPET、塩ビパイプ、紙筒で、シリンダ内径に合う径の物を用意する。
3.共振コイルの種類は、単線か被覆撚り線でも良いが、リッツ線のほうが性能向上を期待できる。
4.シリンダ最下部に共振コイルの線を接続してネジ締めした後、シリンダにボビンをねじ込んで、シリンダと共振コイルの間を開けずにコイルを巻く。巻き方としては、最初のうちは密着巻にするほうが巻き易い。
(スペース巻きにした方が効率は良くなるが、その場合もシリンダとコイルの一回目巻き部分は密着させる事)
5.1/4λ程度巻けば十分間に合う。解けないようにコイルの巻き終り部分をビニールテープ等で仮止する。
(目的周波数よりかなり下に共振しているはず)
6.共振コイルを巻き終わってから、カット&トライして共振周波数の大体の荒調整をおこなう。
(ディップメータやアナライザー等で荒調整する)
7.マッチングトランスは、フェライトコア(FT114-43)を利用したオートトランス方式とし、一次5回、二次巻数10回~13回程度巻いたところで、一次巻線側に7MHzの場合では3mの同軸とCMC1を接続してから、そこにアンテナアナライザーを接続する。二次巻線側には共振コイルの巻き終りを仮接続する。 そしてアナライザーで測定しつつ、共振コイルを更にカット&トライして、目的の共振周波数に調整する。
8.共振周波数を合わせてから、R=50Ω、jX=0になるようマッチングトランスの二次巻線数を解いたり巻き足したりして確定する。
9.共振コイル末端を正式に固定し、マッチングトランスの二次側と正式に接続する。これでアンテナは完成。
後はアンテナ本体やマッチングボックスを固定する支持ツールを取り付ける。(それぞれの環境に合わせて工夫する)
【7MHzの作成例】 一次巻数5回:二次巻き数12回 巻き数比1:2.4、Imp比1:5.76⇒50Ω:288Ωで、R=50、jX=0, SWR1.0となった。
(巻直すと微妙に違う値になるので、必ず同じでなくても良い。 いろいろな材質のコアで、巻き方、巻き数で試すのも面白い)
★.CMC(※1)は、FT114-43かFT140-43に1.5D2V等をW1JR巻きで15~6回巻き付けて作成する。(より大きなコアでは、適宜作成)
★.マッチングBoxからCMC1までの同軸の長さは、目的バンドの1.5/20λ程度とする。
★.ANT設置は、①屋根より出来るだけ高く設置する。 ②同一バンドのANTを近接させない。 ③金属類を近接させない。 ④濡れると性能が悪化するので、防水用カバーを用意する。
★.外設置する時、再度微調整する必要があるので、外と家の中を何度か往復する事となり、根気が要ります。
※1 CMCは、コモンモードチョークの略号です。
系統派生した「High Level Joke」アンテナの紹介
スパイダーコイル式平面アンテナ(High Level Jokeアンテナ)
動作原理を踏襲していれば、放射器形状がシリンダでなくても、さまざまな形状が考えられます。
スパイダーコイルや、ループアンテナの中空になっている部分に放射板を取り付けて、共振コイルからの誘導電流が発生出来れば良いはずです。 常識的には、放射板を貼る事でコイルのインダクタンスが相殺されてアンテナにならないだろうと思うでしょうが、さにあらず! 効率は、上手に作ればシリンダ方式とほぼ同じになります。結構聞こえるし、そこそこ飛んだので、遊べる試作品として紹介します。
作り方
スパイダーコイルの中のスペースを大きくとって共振コイルを巻き、コイル内側に放射板を貼ったものです。
スパイダー枠は9羽、11羽、13羽程度。 共振コイル長は、1/4λ程度も巻けば目的周波数より低めに共振するので、カット&トライします。
(放射板に大きな穴を開け、スパイラルコイルを内側に巻くタイプもあるが、スパイラルコイルを巻き付けて固定するのが難しい。)
○ トランスマッチの方式はSRAと同じですが、接続は放射板とスパイダーコイルの巻き始めの箇所におこないます。
(巻き終りでも良いが・・・巻始め接続のほうが、共振周波数を調整するときに少し余丁を長めにしておけば、巻き足したり、逆巻が楽に出来ますので便利です)
○ フェライトコアトランスマッチは、基本的にFT114-43材を使いますが、手持ちのコアを使って試すのも面白いです。2次巻き数を増やせば共振周波数が若干下がり、巻き数を減らせば共振周波数が若干上がります。
※ 今までの経験値だと、巻き数は1次側を5回巻きで、2次側は12回~15回。巻き数比 は1:2.4~1:3、Imp比は1:5.76~1:9くらいです。
1次側50Ωとすると、50:288 ~ 50:450 くらいでベストポイントがありました。 共振コイルもマッチングトランスも巻き直す度、多少変動します。(共振コイルやマッチングトランスは、丁寧にしっかり巻くことが、このANT作成の第一歩です)
ただし、目的バンドと、使うフェライトコア材質によって巻き数は変わります。(いろんなコアと巻き数で試すのも面白いです)
○ 目的の周波数に共振させるには、アナライザーで、High Level Jokeアンテナのコイルの巻数を足し解き(逆巻)しながら、トランスの2次巻数も解いたり足したり加減します。当然ですが、R=50、jX=0、SWR1.0に近づくほど性能はUPします。結構デリケートで、測定数値の良し悪しがそのまま放射効率に反映しますので、しっかり合わせるのがコツです。 (ここが重要ポイントです。表ページのSRAも同じです)
※ でも最初は、神経質にならなくても良い。(室内で実験すると、周囲の浮遊容量が影 響して共振周波数は下がる傾向です)
○ SWRは、下1.5~上1.5迄の帯域は、放射板に共振コイルを重畳させると広くなりま す。(重畳させないと60~80KHz程度、させると約1.5倍)
ただし、重畳させた分インダクタンスが相殺され巻き数が多くなるのと、共振調整が難しくなるので、2~3回巻きを目途にします。
○ 同軸ケーブルには、ANT側とリグ側の2箇所にCMCを挿入します。
7MHzの例では、マッチングトランスから約3m※1 の箇所と、リグの出力コネクタのすぐ近くに挿入します。
※1 目的バンドの波長の1.5/20λ程度とし、マッチング部から離れた箇所にCMCを挿入する・・・表ページのSRAと同じ)
○ 放射板サイズは、バンドにより加減します。現在実験中なので、適正サイズは未確定。(3.5Mhzは直径約20cm、14、18Mhzで約10cmです。)
調整箇所のまとめ(SRA、High level Jokeアンテナ共通)