1,The Essential Folk Blues/V.A. (Time) 2LP 300円
実に珍しい2枚組のレコードに遭遇しました、1964年1月に日本コロンビアから発売された邦題「フォーク・ブルースの真髄」です。原盤はボブ・シャッドが60年代当時運営していたTime Recordsで、ここから1962年に6枚に渡るシリーズでリリースされていた「Blues Folk Series」から日本独自に2枚組に編集されたものです(ジャケットデザインも流用されています)、ライナーは中村とうようさんですので選曲も氏が行ったものではないでしょうか。
収められている曲はボブ・シャッドが40年代後半から50年代に掛けて運営していたSittin' In Withに残された録音からピックアップされたものです。
で 先ずは収められている曲をご覧ください。
Side A
A-1:WHY DID YOU GO ? /Ray Charles
A-2:GUITAR BLUES
A-3:I FOUND MY BABY THERE
A-4:BACK HOME
A-5:THESE ARE MY BLUES/Peppermint Harris
A-6:OH, I GOT THE BLUES
Side B
B-1:HELLO CENTRAL/Lightnin' Hopkins
B-2:MAD AS I CAN BE
B-3:NEW SHORT-HAIRED WOMAN
B-4:GOTTA MOVE
B-5:ROBERTA/Lil Son Jackson
B-6:SHE'S GONE
Side C
C-1:DISSATISFIED WOMAN/Brownie McGhee & Sonny Terry
C-2:PAWN SHOP BLUES
C-3:GOIN' DOWN SLOW
C-4:MEAN OLD FRISCO
C-5:FEELING BLUES AND LOW/Arbee Stidham
C-6:I WANT TO ROCK
Side D
D-1:SAVED ALL MY MONEY/Smoky Hogg
D-2:WHAT IN THE WORLD AM I GONNA DO ?
D-3:FAST LIFE WOMAN/Lightnin' Hopkins
D-4:BACK DANCE BOOGIE
D-5:WORRIED LIFE BLUES
D-6:HOME IN THE WOOD
レイ・チャールズ、ライトニン・ホプキンス、スモーキー・ホッグ、アービー・スティッデハム、ブラウニー・マギー&ソニー・テリー、ペパーミント・ハリスにリル・サン・ジャクソン。今ではブルースファンにはお馴染みの人たちですね。
もう一度書きますがこの日本コロンビアからこのLPがリリースされたのは1964年の1月(東京オリンピック開催の年ですね)です。とうようさんはライナーでこう書いています「日本でも世紀の大歌手ライトニン・ホプキンスなどがこれで初めて日本で発売されるわけで、一段と意義深いと言わなければなりません」と。
そう、あのライトニン・ホプキンスの歌声が日本で最初にお目見えしたのが1964年リリースの本盤でだったのです。
フォーク・ブルース(今で云うカントリーブルースをこう表現していたようです)という表現を使っている通り、60年代に入ってトラディショナルなフォークミュージックが欧米の白人の間で注目を浴びていて、その流れで黒人のレッドベリー、ジョッシュ・ホワイト、スキップ・ジェイムズ、ミシシッピー・ジョン・ハートといったフォーク寄りのブルースマンによるアコースティックギターの弾き語りが人気を博していたという背景があるようです。
この辺りを察知した中村とうようさんがそんなフォークの文脈から実は外れるモノホンの黒人ブルースをレコード会社に働きかけて出してしまったとか、そんな邪推もしたくなる一枚だったりします。とうようさんのライナーノーツは各アーティスト紹介を始め極めて詳細に書かれていてこの時代から既にお持ちだった黒人ブルースに対する敬愛と博識さには驚きます。一方当時ジャズ評論の第一人者である油井正一さんのブルースに関する文章も載っていて、こちらは視点がジャズで今では凡庸と映る内容、1964年当時の日本のジャズ識者によるブルースの捉え方が良く分かるものです。
1964年というと日本でもビートルズの火が付きはじめベンチャーズを始めとする空前のエレキブームの前夜という時期でしょうか、こんな時期に発売されたライトニンやスモーキー・ホッグ、リル・サンジャクソンのテキサスブルース、一体どんな人が買って、聴いてどうだったのか? とても興味深いですね。
尚、この日本コロンビア盤ですが、日本でも黒人ブルースが聴かれるようになってきた1969年にタイトルも内容もそのままにジャケットだけ黒人少年がガットギターを抱えている写真を使ったものに変更されて再発されています(これはNMM誌に広告が載りレヴューされていたと記憶します)。
Hello Central Lightnin Hopkins
Lightnin' Hopkins - Fast Life Woman (1949)
Smokey Hogg Saved All My Money (1949)
Lil´ Son Jackson - Roberta Blues
Ray Charles - Why Did You Go
実に珍しい2枚組のレコードに遭遇しました、1964年1月に日本コロンビアから発売された邦題「フォーク・ブルースの真髄」です。原盤はボブ・シャッドが60年代当時運営していたTime Recordsで、ここから1962年に6枚に渡るシリーズでリリースされていた「Blues Folk Series」から日本独自に2枚組に編集されたものです(ジャケットデザインも流用されています)、ライナーは中村とうようさんですので選曲も氏が行ったものではないでしょうか。
収められている曲はボブ・シャッドが40年代後半から50年代に掛けて運営していたSittin' In Withに残された録音からピックアップされたものです。
で 先ずは収められている曲をご覧ください。
Side A
A-1:WHY DID YOU GO ? /Ray Charles
A-2:GUITAR BLUES
A-3:I FOUND MY BABY THERE
A-4:BACK HOME
A-5:THESE ARE MY BLUES/Peppermint Harris
A-6:OH, I GOT THE BLUES
Side B
B-1:HELLO CENTRAL/Lightnin' Hopkins
B-2:MAD AS I CAN BE
B-3:NEW SHORT-HAIRED WOMAN
B-4:GOTTA MOVE
B-5:ROBERTA/Lil Son Jackson
B-6:SHE'S GONE
Side C
C-1:DISSATISFIED WOMAN/Brownie McGhee & Sonny Terry
C-2:PAWN SHOP BLUES
C-3:GOIN' DOWN SLOW
C-4:MEAN OLD FRISCO
C-5:FEELING BLUES AND LOW/Arbee Stidham
C-6:I WANT TO ROCK
Side D
D-1:SAVED ALL MY MONEY/Smoky Hogg
D-2:WHAT IN THE WORLD AM I GONNA DO ?
D-3:FAST LIFE WOMAN/Lightnin' Hopkins
D-4:BACK DANCE BOOGIE
D-5:WORRIED LIFE BLUES
D-6:HOME IN THE WOOD
レイ・チャールズ、ライトニン・ホプキンス、スモーキー・ホッグ、アービー・スティッデハム、ブラウニー・マギー&ソニー・テリー、ペパーミント・ハリスにリル・サン・ジャクソン。今ではブルースファンにはお馴染みの人たちですね。
もう一度書きますがこの日本コロンビアからこのLPがリリースされたのは1964年の1月(東京オリンピック開催の年ですね)です。とうようさんはライナーでこう書いています「日本でも世紀の大歌手ライトニン・ホプキンスなどがこれで初めて日本で発売されるわけで、一段と意義深いと言わなければなりません」と。
そう、あのライトニン・ホプキンスの歌声が日本で最初にお目見えしたのが1964年リリースの本盤でだったのです。
フォーク・ブルース(今で云うカントリーブルースをこう表現していたようです)という表現を使っている通り、60年代に入ってトラディショナルなフォークミュージックが欧米の白人の間で注目を浴びていて、その流れで黒人のレッドベリー、ジョッシュ・ホワイト、スキップ・ジェイムズ、ミシシッピー・ジョン・ハートといったフォーク寄りのブルースマンによるアコースティックギターの弾き語りが人気を博していたという背景があるようです。
この辺りを察知した中村とうようさんがそんなフォークの文脈から実は外れるモノホンの黒人ブルースをレコード会社に働きかけて出してしまったとか、そんな邪推もしたくなる一枚だったりします。とうようさんのライナーノーツは各アーティスト紹介を始め極めて詳細に書かれていてこの時代から既にお持ちだった黒人ブルースに対する敬愛と博識さには驚きます。一方当時ジャズ評論の第一人者である油井正一さんのブルースに関する文章も載っていて、こちらは視点がジャズで今では凡庸と映る内容、1964年当時の日本のジャズ識者によるブルースの捉え方が良く分かるものです。
1964年というと日本でもビートルズの火が付きはじめベンチャーズを始めとする空前のエレキブームの前夜という時期でしょうか、こんな時期に発売されたライトニンやスモーキー・ホッグ、リル・サンジャクソンのテキサスブルース、一体どんな人が買って、聴いてどうだったのか? とても興味深いですね。
尚、この日本コロンビア盤ですが、日本でも黒人ブルースが聴かれるようになってきた1969年にタイトルも内容もそのままにジャケットだけ黒人少年がガットギターを抱えている写真を使ったものに変更されて再発されています(これはNMM誌に広告が載りレヴューされていたと記憶します)。
Hello Central Lightnin Hopkins
Lightnin' Hopkins - Fast Life Woman (1949)
Smokey Hogg Saved All My Money (1949)
Lil´ Son Jackson - Roberta Blues
Ray Charles - Why Did You Go
かつてNMM誌ブルース増刊号で鈴木啓志氏が、「内容の充実したオムニバス盤なので中古盤屋で探してください」と書かれているのを見て以来、ずっと気にかけているのですが、再発盤も含め一度も遭遇したことがありません。
それにしてもこうしたレコ堀の醍醐味は、高価なレア盤のみ追いかけている人には中々理解されないんでしょうね。
黒人少年がガットギターを抱く写真の再発盤は広告も現物も記憶に有るのですが、今回初版盤を入手してこれが再発盤だったと初めて知った次第です。
もう、仰る通りでこれこそレコ堀の醍醐味そのものと思います。これDUで見つけたのですが、DUでさえ300円の捨て値、まぁ、悲しくもあり嬉しくもありの悲喜こもごも、です。
因みに入手盤ですが、ジャケットは経年劣化でそこそこ傷んでいますが盤は殆どミントに近い状態、前の所有者さん、殆ど聴いていなかったよう。64年と云う時代に1950年前後の弾き語りテキサスブルースはさすがにきつかったのかもしれません。