ジロがゆく

なんとなく生きてます

ある、死んだ男の追憶

2021-02-27 16:12:12 | 日記
 死んだ男の残したものは、会社一つと伝説と・・・・・


ばいきんとへびがこわいぞしちじゅう老
※ 六尺豊かな大男だった。開放的な性格だった。


褞袍(どてら)着て 火種かき出す 小火鉢の 灰の表の へのへのもへじ
※ 髪は、ロマンスグレイ(死語?)白洲次郎ばりの美丈夫だった。華やかな雰囲気をまとった、豪放磊落なイメージだった。が、時に暗い影を見せることもあった。一定の直線上を往復する単振動めいた落差が感じられた。ワカリヤスイ性格だった。ただし、その直線は、縦横斜めに幾つも重なっているように感じられた。会社経営者としては、カリスマ性を具えていた。一旦信頼を置いた部下の仕事ぶりに、口出しすることは一切なかった。


高き背と小さき姿の障りある身の影二つ花の宵街
※ 花街で鳴らした艶福家でもあった。家庭円満とはゆかなかった。




・・・・・あらゆる点において、わたしとは真逆の在り様だった。8年前、男は死んだ。そのときほど泣いたことは、ほかにはない。

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