私の家族はバンコクにいるのですが、私自身は今は日本にいるので、どうしても客観的な記事を書こうとしてしまいます。バンコクに実際に住んでいる人は、いよいよ心配になってきた今日この頃ではないでしょうか。
日系企業へのダメージの問題があるので、日系じゃなかった、今日は”日経”新聞がいろいろと記事を書いていました。この事態は、経済の問題が一番大きいとは私は思いませんが、その側面が日本企業にとってはほぼ100%でしょうね。日本商工会議所なども、会頭名でタイ政府に要望を出したようです。税の免除のこととか、設備機械を国外に持ち出す際の事前通知を免除しろとか、あえて言えば、あえて言えばですけど、タイが国難に瀕しているというのに、日本企業のことばかり考えているように誤解されかねない内容が報道されていました。あえて言えば、私はすごく、いや~な気持ちになってしまいました。家族はタイ人ですから。ものごとには、「タイミング」というものがあるのではないでしょうか?日本はタイを利用しているだけですか? ちょっと悲しくないですか?
さてさて、すでにご覧になった方も多いと思いますが、1942年のバンコクの洪水の映像がYou Tubeにアップされていることを、遅まきながら発見しました。ほぼ70年前の洪水の映像ですが、映っているタイの女性の表情がすご~く楽しそうなのが、とっても印象的です。70年前も、バンコクは大都会だったのですね。
http://www.youtube.com/watch?v=m21ze7Rvwmg
さて、今日も仕事の合間を縫って、地元の新聞に目を通しました。昨日にも増して、インラック首相への風当たりが強くなっているのを感じます。
The Nation を読みました。インラック首相が、集中砲火を浴びていると報じています。このメガ・クライシスにあたって、彼女を補佐してくれる人物が一人もいないというのです。例えば、「非常事態宣言」を発するかどうかという大変重要な問題があります。もし「非常事態宣言」を出せば、軍部に多くの権限を与えることになります。ご存じのように、軍は兄のタクシンを追放した勢力です。その本質は今も変わりません。でも「非常事態宣言」を出せという圧力は、もう1週間も前から、彼女を取り囲んでいるのです。でも誰も適切なアドバイスをしません。できません。できる人物がいません。
民主党のバンコク都知事は、個人的には信頼できる人物ですが、中央政府とバンコク都との確執は目に余るものがあります。記者会見も別々に行われ、洪水の現状や今後について、それぞれ違う見解が示されてきたのです。それを聞いた記者たちが混乱するのは当たりまえですし、混乱した記者の書く記事を読まされるバンコク市民が、わけが分からなくなって当然です。私も、何が真実かさっぱりわかりません。
今日のネーションの記事で目を引いたのは、「バンコクも、応分の洪水を受けなければならない」という記事です。これは、タクシンのブレーンであった女性が政府幹部に対して、「首都のバンコクだけを洪水から逃れさせようとしているのは間違いである」と進言している、という内容です。
その進言自体の是非は、私にはわかりませんが、私が関心をもったのは、別のことです。その記事の中で、中国の水管理担当の閣僚が今週の月曜日にバンコクに来て、洪水対策についてタイ政府に指南し、昨日中国に帰って行ったということが書いてありました。中国は、他の国に先駆けてタイに災害支援を表明していますが、洪水対策まで指導しているとは、少々驚きました。だからうまくいかないんだとは決して申しませんが、改めて、現在のタイ政府と中国政府との親密な関係を見てしまった思いです。
それはともかく、インラック女史に対する風あたりはものすごく強くなってます。いちいち引用しませんが、すでに「レームダック」という言葉まで使っていますよ。これは菅直人のように、近々辞めることがわかった政権に対して使う言葉です。びっくり仰天しましたよ。タイの新聞というのは、節操がないんですかね。ついこの間まで、天使の救世主が現れたような記事まで書いていたくせに。こうなったら、私はインラックを支えてあげたくなりますよ。
そうは言っても、ネーション紙は、最後にこう書いています。「インラックは、兄(タクシン)を支えた人たちではなく、自分自身が選んだ支持者を結集させなければならない。そうした人々を通してこそ、自分の思うように物事を進める力を行使することができるようになるのだ」と。
日本もそうでしたが、国難の時の政治のリーダーシップをめぐる議論は、国こそ違え、似たような論調になるものですね。
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政府がやることの基本は「自国民保護」なので、国際的な事件事故の時の国の対応は理解できますが、確かにおっしゃるように、報道はもう少し国や自国民だけの利害を超越した視点があってもいいですね。
というか、ナショナリズム丸出しのメディア、どこに対してもバランスを取ろうとするメディア、もっと地球的な視点を訴えようとするメディア、さまざまな報道や言論がないと困ります。
また企業の活動こそ、マーケットは世界なのですから、国やメディア以上に、「国」という枠にとらわれないグローバルな考え方必要だと思います。そして実際、そのような企業人が多いと思います。経団連は単なる圧力団体なので除外です(笑)。
「それじゃ、(事故にあった)現地の人はどうでもいいのかよ」と言いたくなることがありますね。
日本の企業も国内の震災の時は、被災者に対し政府より早い対応をする処もあるように、自社の利益を犠牲にしても行動を起こすことが出来るのですが、自国以外のことになると「日本人の発想」を超えることが出来ないようです。
それとも、楽天の社長が言ってるように(経団連をはじめとする)大企業の発想がズレて
いるだけなんでしょうかね?