父のような外国人がタイに移住を考えたとき、一番気になることは何でしょうか。気候?治安?物価?就業機会?食べ物・・・・・? もし僕のような小学生や姉のような中学生がいれば、教育のことも考えると思います。
でもある程度の年齢になった人が外国に長く住もうとすれば、医療のことがとっても気になるようです。
父も、実はそれを気にしていたようです。外国に永住すれば、いつかは老人になり、いやでも病院のお世話になるからです。そうなってから、悲惨な毎日が待っていることに気づいても遅いのです。いくら最愛の人がいるからといって、医療が充実していなければ、その国に移住することを躊躇するのは道理です。元気な若い人は別かもしれませんが。
僕はタイの医療については、時々風邪で熱を出したりするくらいで、今のところ大きな世話にはなっていません。ところが、あの元気でエネルギッシュな母がこの1年以上、ずっと病院のお世話になってきたのです。ですから母を通して、父はタイの医療についていろいろと感じるところがあったようです。
これからしばらくは、母の事例を通して、タイの医療の実情についてお伝えしていきたいと思います。
事件が起こったのは去年の5月でした。ちょうどゴールデンウイークで、父が4月の終わりから来ていました。父が日本にもどる2日前、5月7日だったと思います。母と父は2人連れだって病院に行きました。僕たち子どもを連れて病院に行くことは何回もあったのですが、母と父の2人だけというのは、もちろん初めてです。その前の夜、僕は母がこう言っているのを耳にしました。
「脇の下あたりが変なの。なんかおかしい。痛いわけじゃないけど、なんか動いているみたい。」
「えっ?動いている?いつからだい?」
「3月の終わりくらいから、ちょっとずつ。」
「明日病院に行こう。脇の下はリンパ腺があるから、気をつけた方がいい。」
というわけで、翌日2人は、車で15分くらいのところにある中規模の私立病院に行きました。そこはぼくも 熱を出した時に母に連れて行かれたことがある病院でした。
その病院では、何を間違えたのか整形外科らしい医者が対応したそうです。
母の訴えを聞いた医者は、触診をしてから「大丈夫。問題なしです。」と断言したのだそうです。ロビーで待っていた父は、その報告を聞くなり、「そうか。よかったね。」と言ってはみたものの、「ちょっとおかしいのではないか。」と直観的に思ったんだそうです。それは母も同じでした。
2人は家に戻ってから話し合いました。
「その医者が言うには、脇の下に新しいおっぱいみたいなものができているみたいですけど、心配ありませんって言ったの。で、何の検査もしてくれなかった。」
「CTで調べるとか、なんか納得のいく検査をしてもらわないとダメだ。明日別の病院へ行こう。」
5月9日の早朝に日本に戻ることになっていた父は、次の日に行くべき病院をインターネットで調べました。その結果、「バンコク病院」という私立病院が大きくて、いろいろな診療科があって、日本人もよく使っている病院であることがわかりました。母もその評判は聞いていて、高い病院だけど良い医者がそろっているという口コミを聞いていました。で、次の日、2人はそのバンコク病院に向かいました。病院のハシゴです。
バンコク病院は、オンヌットの家からタクシーで20分の距離でした。前日の病院とは雰囲気がまったく違って、受付の人も丁寧でした。母が脇をさすって病状を説明すると、「Breast Center」という部門に行くよう指示されました。日本語では何と訳せばいいのでしょうか。乳房の専門部門です。
父は、さすがに受付の対応からして的を射ていると思ったそうです。実はこのときすでに、父はある予感がしていたのです。
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