楽園づくり ~わが家のチェンマイ移住日記~

日本とタイで別々に生活してきた私たち家族は、チェンマイに家を建てて一緒に暮らし始めました。日常の出来事を綴っていきます。

続・狂犬病の恐怖

2015-02-17 18:06:00 | タイの暮らし

近所の飼い犬に咬まれてから1週間以上が経ちました。7日目の昨日、狂犬病の「暴露後ワクチン」の3回目の接種を受けるために病院へ行きました。

これは前回もお見せした、私の「暴露後ワクチン」の接種管理票です。3行目の7日目(D7)に接種済みのチェックが入りました。日付は昨日、2月16日です。担当の看護婦さんは前回とは違い、それほどの美人ではありませんでしたが、それはさておき、注射する前に彼女は私に言いました。

「今日で3回目ですけど、あと1週間して犬が元気なら、次の4回目と5回目の接種に来る必要はありませんよ。」

ええっ?あと1週間?わが耳を疑いました。咬まれた日から1週間たって犬が生きていれば、その犬は狂犬病ではない、とすっかり信じ切っていたからです。さらにもう1週間待たないと完全にセーフとは言えないんだ。でも待てよ、本当にそうなのか?この際、狂犬病について徹底的に調べてみることにしました。

私が調べた複数の狂犬病に関するホームページには、犬と猫に咬まれた場合は<10日間観察してその動物が生きていれば、ワクチンの接種は3回目までで中止してよい>というふうになっていました。ただし、それはあくまでも犬と猫であって(厳密にはシロイタチを含む)、それ以外のネズミやウサギ、コウモリやキツネなどは捕獲して安楽死させて検査し、ウイルスの陰性が証明されない限り、5回のワクチン接種を全部受けなければならないのでした。このほかの動物としては、アライグマ、スカンク、コヨーテ、マングース、ジャッカル等が同様です。でも実際問題として、咬んだ野生動物を捕獲するなんて、あまり現実味がないですね。それに犬猫であっても、ペットとして飼われているものを除いて、野生化したものは容易には捕獲できないばかりか、観察も難しいでしょうから、やはり5回目までワクチン注射を続けるより他にありません。

ところで、「10日間」の根拠は何なのだろうと思って調べていくと、日本の厚生労働省が公開している「狂犬病対応ガイドライン(2013年版)」に次のような記述がありました。

「犬における狂犬病の潜伏期間は0.5~2か月ほどであることが多く、発症して以降は、通常は10日以内に死亡し、発症後15日を超えて生存することはまれである。」

これが正しいとすると、咬まれてから10日間、犬は生きていたのに狂犬病であった、なんていうケースはめったにないことになります。ただし、100%絶対と言うことはないみたいですね。そのあたりは実に微妙で悩ましいところです。そんなに悩ましいなら、つべこべ言わずに、4回でも5回でも注射すりゃいいじゃないか、と言われそうですね(笑)。

ところで、よくある誤解は、狂犬病はそのウイルスを体内に保持している動物(キャリア)に咬まれて発症すると思われていることです。実際は、発症していない動物が感染源になることはなく、危険なのはあくまでも狂犬病にすでになっている動物に咬まれた場合です。なぜなら、狂犬病ウイルスは唾液を媒介にして感染するのですが、発症していない場合はまだ唾液にウイルスが存在しないからです。

さて、もうひとつ気になったことがあります。それは狂犬病の可能性のある動物に咬まれたときは、「抗狂犬病ウイルス免疫グロブリン(略称ARI)」と呼ばれる血液製剤を一定量、傷口に注入しなければならないと多くの専門的なホームページに書いてあります。これと暴露後ワクチンの接種を組み合わせることによって、ほぼ完全に狂犬病の発症を防ぐことができるのだそうです。つまり、ワクチンの接種だけで十分足りるのかどうか、いまひとつ判然としません。

この点はかなり悩ましいですね。狂犬病の「免疫グロブリン」は日本では在庫がまったくないばかりか、世界中で品薄となっており、非常に高価なものなのだそうです。今回の私はもちろん、過去にバンコクで犬や猫に咬まれた私の家族も、この「免疫グロブリン」なるものとは全く無縁でした。犬への予防接種の徹底によって狂犬病を駆逐してしまった日本は、言ってみれば「狂犬病の平和ボケ」状態ですから、そんな血液製剤を準備しないのも頷けるとしても、狂犬病発生地帯であるタイでも、めったなことでは手に入らないのです。

最後に、昨日妻から面白い話を聞きました。面白いと言うより、実際は恐ろしい話です。今から30年以上も前のことです。妻が8歳の頃、実家のあるカムペンペットの家の近くにとっても可愛い子犬が飼われていたのだそうです。妻だけでなく、近所の子供たちがいつも子犬と遊んでいたそうです。ところがある日、その犬と、近所の野良犬が時を前後して急死しました。誰が通報したのかは定かではありませんが、日本で言うところの保健所の人がやってきて、子犬と野良犬の死因を調べてみると、なんと狂犬病だったのです。きっと野良犬から子犬に移ったに違いありません。

さあ大変です。子供たちがその子犬と遊ぶときは、いつも子犬に舐められていたんだそうです。子供ですから手や足に小さな傷くらいはあるでしょう。狂犬病は、実は咬まれなくても舐められただけでも感染する危険性があります。保健所は、犬が死んでから既に数日が経っていましたが、近所の子供たち10数人に一斉にワクチン接種を始めました。始めるのが遅かったので5回どころではありません。妻の記憶によると、ある日突然、おへその周りに、(今から考えると)ワクチンらしい液体を注射されたそうです。それも毎日のように。回数は都合20回くらいだったそうです。おかげで狂犬病になった人はいなかったのですが、手遅れになっていたら大変でした。

可愛い犬にも要注意です。狂犬病の予防には、めったなことでは知らない犬に近づかない“恐犬病”になっておくのも有効ですね。

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2 コメント

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ご丁寧な記事ありがとうございます。 (パタヤ君)
2015-02-18 10:18:42
前回も書き込みをさせて頂きお礼のコメントをと思っていましたので
今回もありがたく読ませて頂きました。

昨日 私も2回目の注射を終えてきました。
私の場合ですが
1) 噛まれた。
2) コンビニのスタッフの方に消毒してもらい。
3) 病院で治療
上記までが1日の出来事でした。
翌日↓
4) こちらの記事を拝見させて頂き
5) 夜シャワーと消毒と思い愕然と
治療した意外の場所で傷口と自分の血が

私の場合 相手は野良犬なので何処に居るのやら
そして 傷口もまだまだふさがってないので
5回目までの治療は仕方ないと思っていました

長々と書き込みし 申し訳ありません。
重ね重ねお礼をさせて頂きます
ありがとうございます。
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パタヤ君さんへ (うさぎ)
2015-02-18 10:43:27
コメントありがとうございます。
噛んだのは野良犬だったのですね。4週間、5回の注射は大変だと思いますが、辛抱ですね。

私の場合、1回目の治療を終えたところで、犬の飼い主が500バーツ入った封筒を持って謝りに来ました。トータルでは500バーツの何倍もかかるのですが、気は心、と受け入れました。タイでは、放し飼いが当たり前なので、飼い主を責めるわけにはいきませんからね。
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