地元の報道を見る限り、洪水は相変わらずバンコクの北にあるパトゥムタニとノンタブリーの両県で深刻です。バンコクに関しては、ドンムアン空港の西側を流れるプラパ運河があふれているので、ラクシー地区のチェンワタナー通りなどの冠水がジワジワと進んでいるようです。
わが家へも、ジワジワと影響が出てきました。まず今日は水道水がときどき濁っているんだそうです。一昨日でしたか、水道水を作っている運河に洪水の水が入り込んだことと関係があるかもしれません。飲料水ではありませんが、濁りがひどいと、洗濯や洗いものに水道水が使えなくなります。それから、食品の値上がりがものすごいと、妻は嘆いています。さらに、家から2キロくらい離れたパタナカーン通りの一部で浸水が始まっているそうです。
日本のテレビニュースは、今日の午後、チャオプラヤー川が決壊してバンコクの中心部に洪水が広がったと報じています。テレ朝を見ると、いよいよ深刻な事態に突入したような印象を与える取り上げ方となっています。
NHKのニュースでは、「日本人の多く居住するスクムビットと呼ばれる地区からは10キロほど離れています」と言っていました。
(Nationチャンネルのニュース番組)
タイのテレビニュースをここ数日インターネットで見ていて気がついたことは、現場の<生>の映像が日本での災害報道と比べると随分と少ないことです。またタイのテレビ報道では、ヘリコプターから撮影した映像をめったに目にしません。洪水だったら、空から見るとよくわかるはずなのに、どうして使わないのか不思議になります。タイでは、あまり面倒くさいことはやらないのかもしれませんね。お金もかかりますし。
でも、今日初めて見たネーション・マルチメディアのニュースチャンネルは、現場からの生のリポートを結構入れていました。今日は状況が状況なので、ドンムアン地区の現場が多かったようです。
(22日午後のNationニュースから)
さて、今日もバンコクポストとネーションのタイの2つの英字新聞は、またまた政治的な記事をメインに据えています。昨日インラック首相が宣言した「災害防止法31条」の適用をめぐってです。
この法律によって、「バンコク都知事の権限は政府に従属することになる」という解釈があるようですが、これは洪水対策に関して、知事を「主役から外す」という政府の作戦だと受け止められているようです。この31条は2007年にできた法律で、民主党政権が作ったものです。インラックの主張は、もちろん「民主党の作った法律で、あなたを主役から外します」とストレートには言ってなくて、「もう非難合戦をやめましょう」と言っているそうです。
一方、民主党のスクムパン知事は、ちからを削がれて困っているかというと、そうではなく、「もちろん法律の適用には全面的に賛成する。この法律は、バンコク都の権限を制約するものではない。」と逆に宣言しています。もうこれも、非難(避難)合戦に見えますよね。タイという国はすべてにこうですから。
2つの陣営の対立は、やっぱり、ここまで根が深いんですね。
分かりやすく言えば、インラック政権は、多少の犠牲をバンコク市民にも負わせて、この洪水の始末を早くつけてしまいたいのです。インラックの支持基盤のある地域での被害は小さくないのですが、洪水はもう収まっている。残されたバンコクだけ特別扱いするのは、支持基盤の理解は得にくいのかもしれません。
一方のスクムパン知事は、少しでもバンコクの首都機能への影響を排除して、多少時間がかかっても、自分の責任の及ぶ地域での被害を最小限にしたい、ということではないでしょうか。
どちらの政治家が、正しい主張をしているのでしょうか?
私は、それぞれがきれいごとを並べず、自分の立場をわきまえた正しい主張をしていると思います。でも、それによって水門の開閉で決定的がミスが起こるのだけはやめてください。全部フルに開放しろという政府と、コントロールしながら開放しようとしている都知事の、一体どちらが結果的に正しいのか、それは今後も正解を検証できないのです。実際の現実は一つしかなく、2つの選択肢の結果を比較することができないからです
そこで、またぞろ軍が登場するのです。ネーション紙によると、軍のプラユット氏は昨日、「首相が非常事態宣言を出せば協力するよ」と言っているんだとか。「非常事態宣言は、政府の災害対策本部の力を強化することになるんだ。こんな非常時に、クーデターを考える馬鹿はいないよ。心配なんかいらないさ。」と述べているんだそうですよ。「はいはい、では非常事態宣言を出しましょうね」とインラックが言うわけないと、私は思いますが、これも力関係でどうなるかわからないのがタイです。それにしても、こんなときも、「クーデター」という言葉を記事に刷り込むタイの新聞っていうのは、懲りないんですね・・・・。
事態の推移(水位)を見守るしかありません。
ところで、今日タイの公共放送、TPBSを見ていると、「洪水なんでも相談?」みたいな、電話で市民からの質問を受け付け、専門家が回答する番組をやっていました。
(TPBSの生放送、左の人が何かの専門家)
こんな風に、スタジオに電話が並んでいて、リアルタイムで市民から質問が来て、その中から選んで放送しているわけです。あんまり見栄えがしませんね。
これは、「エアコンを浸水から防ぐにはどうすればよいの?」というような質問に答えているところだと思います。電話で質問者とやりとりしているのですが、どのように答えているのか、私のタイ語能力では理解できませんでした。まさかエアコンも2階に上げろ、とかは言ってなかったように思います(笑)。
家の中の家具を守る方法や、家の入口を浸水から守る対策方法などについての質問もありました。この図ではないのですが、例えば、まず扉の隙間に新聞紙を詰めた後、ホームセンターで売っているシリコンを塗って防水しろとか・・・・・・・
新聞紙とシリコン?
感想としては、大洪水が来るかもしれないのに、随分とチマチマとした質問が多いんだなと思いました。そして、専門家の答えも、まるで日曜大工の指導みたいでした(笑)。「家に水が迫ってきたら、とにかく早く逃げろ」とかは絶対に言ってなかったような気がします。ま、恐ろしい津波ではないので、質問の電話をする視聴者も、答える専門家も、みなさん、ある程度の余裕があるんでしょうね。
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