グレイスシンフォニーオーケストラ Grace Symphony Orchestra

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No.20 ヘッケルバスーン #7035

2009年01月05日 | GSOの楽器庫
私がこの楽器に出会ったのは2000年秋のことです。 その時は他メーカーの新品の楽器と吹き比べしたのですが、その楽器とこのヘッ ケルとは全てにおいて全然違っていたのを思い出します。 他メーカーのものはまるで全体的に硬い石のような…触り心地も冷たく音も力ず くで絞り出すような…。 それに比べてこのヘッケルはなぜか触った感じも温もりが感じられ、慣れないな がらも音もスッと出たのを覚えています。 信頼する楽器修理屋さんによると、ヘッケルでも7千番台のものは古くても現役な のだとか。 「オールド」とつくヘッケルは通常は主に6千番台以前のものを指すのだそうです 。 色々調べたところ、このヘッケル#7035はなんと!1930年製であることがわかりま した。

 1930年というと…。 歴史に疎い私なので調べましたら、当時ナチスの総統であったヒトラーがドイツ 共和国の首相に就任したのが1933年、また音楽界ではフルトヴェングラーがウィ ーンフィルの常任指揮者に就任したのもちょうどその頃ということです。 日本では1930年は昭和5年、実はこのヘッケルはキーシステムが小さい手でも使え るように小ぶりな造りなので、もしかしたら日本人か東洋人がオーダーしたもの かも…と思っていたのですが昭和5年に日本でそんなことあり得ないと思いました 。   



見た感じは、今どきのヘッケルに比べて全然キーが少なくて、こんな楽器でちゃ んと吹けるの?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、少なくとも不便 を感じたことはありません。 どんな音がするのか?それは是非演奏会にいらしてくださいませ。 ちゃんと聴こえるように吹きますので。 この楽器が、当時戦火冷めやらぬヨーロッパでどんな方が所有してどんな音楽を 奏でていたのでしょうか。 また、どういう経緯で日本へやってきたのでしょうか。
 持ち始めた最初から、なんだか自分がきちんとしていないとちゃんと音が鳴って くれないような…、どんなに疲れていても体調が今ひとつでも、きちんと向き合 わないと演奏できない楽器です。 万年練習不足の私ではこの楽器の良さを発揮できていないように思い、なんだか 楽器に申し訳ない気さえします。 今回このヘッケル#7035について色々調べたのですが、今までの勉強不足も含めて 改めて知ることも多く、とても勉強になりました。 これからは今まで以上の気持ちを持ってこの楽器と歩んで行こうと思います。
Hitomi 



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2 コメント

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私も♪ (まったりん)
2009-01-08 22:42:31
いつも近くで支えてくれているヘッケル。振動すればするほど柔らかく耳に心地の良い音。まさに私がクラリネットでも目指したい音です。
こんな様々な歴史をくぐり抜けてきた楽器だったとはやっぱりすごいヴァイオリンはストラディヴァリウスなどで有名ですが、木管楽器でもオールドだからこそ名器というものがあるんですね。
これを読んでHitomiさんのこの楽器に対する愛情が伝わってきました。私も自分の楽器に対してそうありたいと思いました
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Unknown (ひよこ豆)
2009-01-09 19:09:34
トロンボーンのひよこ豆です。
JBに入るまでは気にも留めなかった楽器(ごめんなさい!!)でしたが、ファゴットとはこんな音の楽器だったのか!と思ったのを覚えています。

なんと80歳にもなる楽器なんですね(*_*)!
国境と時代を遥かに越えて、今Hitomiさんの手にあることの、なんとも不思議な運命。
楽器は自分を引き出してくれるひとの元へ来るのかしら…
Hitomiさんの記事を読み、自分もそうでなくては!と思いました。
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