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庄司浩太

JPCLの藤井フミヤこと、三浦大輔先生よりバトンを渡されました、庄司浩太です

有難いことに、バトンを渡されましたのは、ブラックプール本戦の意真っ最中、予選と予選の間のインターバルでこちらが集中している大事な時に三浦先生が徐にやって来て、藤井フミヤのような笑顔でこう言うのです。
「ねえねえ。庄ちゃん(ごく一部の選手からはこう呼ばれています)。忙しいところ悪いんだけど、今度JPCLのブログよろしくね!いつもそっちから回ってくるからさあ、、、たまにはこっちから回そうと思ってね。」
こちらの集中力が一瞬途切れたのは言うまでもありません。えーと何を書こうか。きっと三浦先生はブラックプールのネタで攻めてくるだろうから、同じじゃつまらないし、ロンドン留学ネタも既に結構書いたし、、、など競技会とは関係ない思いが3秒間ほど頭の中を占領します。ちょうどその時、コーチャーの一人が通りかかります。
「コータ(コーチャーにはこう呼ばれます)。今日はいつになくナーバスだな。リラックスしてエンジョイしないと!」
先生先生!そんな事は分かっているのですよ。たった今集中力を邪魔する思考が3秒間ほど紛れ込んだだけなのですよ。あの藤井フミヤの笑顔がそうさせたのですよ。そうとは言えずに、
「I’m OK!」
「じゃあ頑張って!」
それから帰国まで、半日のうち3秒間ほどは同じ思考が邪魔しにやってくるのでした。

というわけで、今回はいつもと違った側面からロンドン留学を考察してみたいと思います。テーマは「お金」です。
私たちが初めてロンドン留学をしたのは2003年1月のUK選手権前後の1ヵ月でした。オーナーの山野先生には、
「ロンドン留学には1ヵ月100万円はかかるから、その分貯金しておくように」
と言われておりました。当時の相場は、およそ£1=200円でした。その当時本当に100万円かかったのかはよく覚えていませんが、今よりも物価が安かったのは間違えありません。まずレッスン代ですが先生によって多少は違いますが、1レッスン45分で£47-50、200円換算では9,400-10,000円となります。

ガソリン代はリッター74p位でしたから、およそ144円。それが、現在では、レッスン代は倍の£100、ガソリン代は111.9p位です。ただし現在の相場は145円位ですからレッスン代は14,500円、ガソリン代は162.2円程度となます。物価の上昇と円相場でかかる費用は大きく変化してきます。
さて、そのレッスンですが、私たちが1日に受けるレッスン量は大抵2-4レッスンですから、平均3レッスンとして、週に21レッスンとなります。レッスン代は先生によって£85-100ですので、平均£95として週に£1,995、日本円にして289,275円となります。もしこれを1ヵ月続けたとしたら、1,157,100となります!レッスン代だけですでに100万円オーバーですね。
生活するのには家が必要です。私たちは北園ハウスというフラットを年間契約しております。大家さんが北園さんという日本人の方ですので安心です。

年間契約とは、毎回自分たちがロンドンに行く期間は同じ部屋を確保してもらえますが、ロンドンに行かない期間も家賃を払います。その代わり、いない間に他のテナントがその部屋に入った場合、いない期間中の家賃の9割が戻ってくるというシステムです。行くたびごとに、家や部屋が定まらないというのはとても落ち着かないので、1年の間に短期間で複数回ロンドンに行くダンサーにはとてもいい条件だと思います。あの藤井フミヤ似の三浦先生カップルや中嶋カップルも同じ北園ハウスに滞在しております。

さてその家賃ですが、もちろん部屋の大きさや条件(バスルーム付き、トイレ付など)によって値段は異なります。私たちの部屋は割と広めの部屋ですが、バスルームやトイレが部屋の中にはついておりませんので家賃はそれほど高くは有りません。家賃には別途インターネット使用料がかかります。光回線のWifiが24時間使えるのは大変便利です。2003年に初めてロンドンに行ったときは、別のフラットでしたが、大家さんの固定電話の線を外してパソコンにつないでダイヤルアップで「ピーヒョロヒョロ」と接続しメールの確認だけして貯金箱に£1入れる、というシステムでした。当時は実家や教室にエアメールを出したものでした。LINEやFacebook すぐに世界中につながる今は、ホームシックなどという言葉は死語かもしれませんね。当時は本当に家に帰りたくなったものでした。さて、その家賃ですが、今回はおよそ7週間の滞在でおよそ£1,730ですから、250,850円。1ヵ月ではおよそ143,000円となります。忘れてはいけないのが、ブラックプールでのホテル代です。大会期間中はロンドンからブラックプールに移動となります。その間ロンドンのフラットは借りたままですので、家賃を二重に払っていることになります。さらに忘れてはいけないのが日本の家賃です。渡英中も当然日本の家賃、水光熱費等は請求されます。
ロンドンでは、レンタカーを借りて車での移動となります。レンタカー代金は車種にもよりますが、今回は7週間でおよそ250,000円ですから、1ヵ月ではおよそ142,800円となります。計算すると家賃とほぼ同じです。レンタカー代も馬鹿には出来ませんね。

そして忘れてはいけないのは、航空券代です。航空券ほど時期や期間で価格が上下するものは有りません。ブラックプールの時期はUKやロンドンインターの時期と違って、日が長くなり、太陽が出て、日本のような蒸し暑さもなく、最高の時期にあたるのです。しかもこの時期、私たちは通常より長くロンドンに滞在します。航空券は滞在期間が1ヵ月を超えると価格が上がります。それでは今回の航空券代金はいくらだったでしょうか?なんと、ビジネスクラスで、二人で61,320円!!そう、実はANAのマイルがたまっていて、それを使ったのでした。航空券代は本当に高いもので、ブラックプールの時期ではエコノミーでも一人200,000円位かかります。ですので、私たちは比較的安いUKやロンドンインターの時期にチケットを購入し、比較的高いブラックプールの時期はマイル利用で行く様にしています。しかも、UKの時期はいつも年末年始の12月31日か、1月1日に日本を出発するのですが、ここ数年必ずビジネスクラスにアップグレードされます!恐らくダブルブッキングになり、上級会員(スターアライアンスゴールドメンバー)になっているので、アップグレードのリストに名前が挙がるようです。しかも、あのJPCLの藤井フミヤこと、三浦組も必ず一緒なのです!!

スターアライアンスゴールドメンバーになるには、マイルの達人への厳しい修行をしないといけません。その修行に関しては、また別の機会にブログで書くことにしましょう。
さて、ほかにかかる費用で忘れてはならないのが、生活費です。イギリスでは完全自炊で、僕が毎日料理をします。買い物は近所のスーパー、Sainsbury’sに車で行きます。日本では買い物と言っても自転車か徒歩で行きますから、一度に沢山の買い物は出来ません。ロンドンでは車のトランクに積んで帰ればいいわけですから、自然と買う量が多くなります。買い物は、僕が毎日料理をしますので、食材は僕が担当。

名美先生は洗剤やティッシュ、芳香剤と、フルーツ担当。朝のフルーツだけは名美先生が選び、切ってお皿に乗せてくれます。食材を見て思うのはお野菜のまあ安いこと。人参もジャガイモもおよそ£1/Kg程度ですから、キロ145円程度です。マッシュルームなども沢山入って£1。セロリやレタスは£1以下で買えます。豚肉や鶏肉も1kgで£6程度ですから100g90円以下で買えます。イギリスの牛肉は硬くて美味しくないと聞いていましたが、スーパー内のブッチャー(お肉を切り売りしてくれます)にあるフィレステーキ(1㎏で£36ですから100g522円程度)は大変柔らかくて美味しく、名美先生の大好物です。そして何よりも安いのは、ビールやワインです。ビールは500mlの4本セットで4ポンド程度ですから、1本145円程度、ワインはピンキリですが、£5(およそ700円程度)のワインでも十分美味しく飲めます。

そんなにお金と時間をつぎ込んで、どうして沢山の選手がロンドンに行くのでしょうか?それはレッスンや競技会の為に来るだけではなく、二人だけのダンスに集中できる時間がとても貴重だからです。私たちプロ選手は日本にいれば、日中は生徒さんのレッスンをして生活しています。自分たちの練習や受けるレッスンは午前中か夜になるでしょう。どんなに毎日練習しても二人の感覚は日々変化し、時にはパーティー業務や会議などで練習すら出来ない事もあります。1ヵ月間自分達二人だけで練習出来るという環境は自分たちのダンスを驚異的に上達させる可能性を持っていると思います。毎日先生か自分のパートナーとしか踊らない訳ですから、いい意味でも悪い意味でも、二人の感覚が繊細になっていきます。繊細過ぎて喧嘩になることもあります。でもそれも上達する為には必要だと思います。意見を言い合って、二人でいろんなやり方をトライして、解決しなければ次のレッスンで先生に質問する。いろいろトライしていくうちに、1年前にレッスンで言われたことを思い出したりして、それがきっかけでダンスが大きく変わることもあります。そんな試行錯誤し、考えて実行できる時間と空間がロンドンにはあるのです。1回の留学で結果がすぐに出るとは限りません。何回も挑戦し、失敗し、諦めないで取り組めば、きっと道が開ける。そんな環境はプライスレスです。ダンスには夢があると信じていますから!!


それでは、次のバトンは、限りなく夢を追いかけるダンサー、中嶋秀樹先生にお願いいたしましょう。



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